また、この作品へのご意見ご感想お待ちしております。
最後に、更新遅れて申し訳ありませんでした!
「あの、本当に、ごめんね?でもほら、任務だからさ。部下の恩人に対して礼を欠いてしまう訳だけど、背に腹は変えられないしさ。ね?」
「そこをなんとか!お願いします!」
「うーん・・・。」
どうも、絶賛助命嘆願中の佐久間信盛です。
いや、だってほら死にたくないし?
縄で縛られてなければ土下座してる。
あ、その隙に首切られちゃう。だめじゃん。
「・・・実を言うとさ、この任務は失敗する訳にはいかないんだ。やっと私に仕官の話が来たのに、ここで信用を下げることはできない。」
「へぇ、仕官かぁ。それはおめでとう!今夜はお赤飯だね!」
「あ、ああ!そうだな、君の血で赤飯だ!」
グロッ⁉︎なにそれグロッ⁉︎やっぱ死んでるし俺!
てかそれで赤飯って炊けるの⁉︎マジに赤飯じゃん!
なんでそんな発想ができるんだよ!怖いわ!
「と、ところで、誰に仕官するんだ?」
「越後の龍、長尾景虎の配下、北条高広だ。」
「・・・それは、止めといた方が良いんじゃないかな?」
「何故だ?」
「もし、もしだよ?その長尾景虎に君の実力を見せた時、味方に付けるより裏切られたら怖いと思って殺そうとするかもしれないだろ?」
「・・・はっ。何を言っているんだ、君は?」
段蔵は口でこそバカにしているものの、その可能性も捨てられないでいるようだ。
俺が知っているのは、謎の多い忍者である加藤段蔵のエピソードの一つ。細かいことは覚えてないので要約すると加藤段蔵は、その強過ぎる力により主君として仕える筈の上杉謙信や武田信玄などから命を狙われる事になる。
揺さぶりをかけるならここしか無い。そして何より。
女の子が辛い目に遭いそうなのに知らん顔は出来ない。
敵だけど。でもまぁ、根は良い人だしな。多分。
「いや、断言しよう。加藤段蔵、君は長尾景虎や武田晴信から命を狙われる事になる!」
「・・・何故君は長尾景虎に仕えることが出来なかった時、私が次に武田へ向かおうと思っていたのを知っている?」
「長尾景虎とソリが合わなかったのなら、次は長尾景虎とは対極的な武田晴信かな、と思ってね。」
嘘です。記憶です。知ってただけです。
「じゃあ、私はどうすれば良い?今挙げた二人にすら仕えられないのなら、もうこの世に私を信用する人はいないのでは無いか?」
そう、問題はそこだ。加藤段蔵程の人間、いやほぼ人間辞めてるわ。ともかく、それを信用しようとする者。それでいて、長尾景虎、武田晴信と並ぶほどの実力者、か。
いっその事ウチに来てもらうか?いや、今はまだ織田信奈は無名もいいところだ。むしろ悪評しか聞かない。
なら今川?ダメだ。こいつが桶狭間の合戦に参戦したら問答無用で負ける。
六角?こっちも敵になるし何より既に甲賀忍者と仲良いいしね。
朝倉?ナニソレオイシイノ?
伊達?まずまだ伊達政宗生まれてなくね?
毛利?良いかもしれないが忍び雇うかな?海賊じゃね?
それに毛利も後々戦うしな。
うーん、あ。そういえばいるじゃないか、後に武田晴信と今川義元と同盟を結び、難攻不落の小田原城を所有し相模の獅子と呼ばれる戦国武将が。
彼(彼女?)なら織田信長の存命中に戦うことはなかったはずだ。
まぁ加藤段蔵が仕官した場合滝川一益とは戦うかもだけど。
あ、そうか。歴史を知っている俺なら本能寺の変を回避できるかもしれないのか。でも待てよ、確か俺こと佐久間信盛って追放されたんじゃなかったっけ?まずはその回避からって待て待て、今は目の前の危機片付けようぜ俺。来年の話をすれば鬼が笑うっていうしな。一体どんな面白い話を・・・。ってやっぱ俺死んどるやないか。
「なぁ?一つ提案なんだけどさ。」
「なんだ?」
「お前、長尾景虎の所へ行く前に、北条のところへ仕官してくれないか?」
「は?いや、だから、長尾景虎の配下である北条高広の所へ行くとさっき言ったばかりだよ?」
「あー、違う違う。きたじょうじゃなくて、ほうじょうだよ。北条氏綱。」
てか喋ってんだから分かるだろ。ボケかましてんじゃねぇよ。
「漢字一緒じゃん。でも、北条氏綱か、確かに有力ではあるけど、うーん。」
おい、さっきあんた聞き間違えてたよな?何が漢字一緒じゃんだよ。
しかし、食いついてきた。これは行けるのではないか?
「北条家の実力については俺が保障しよう。それに、北条氏綱なら、もしかするとお前の事を信用するかもしれない。」
「・・・そうか、試してみる価値はありそうだな。とりあえず礼を言おうか。恩に着るよ。」
「その情報の見返りと言っては何だけど、その〜・・・」
「・・・・・・。」
しつこく助命嘆願する俺。
もし僕が漫画の主人公だったら、迷わず土下座!
だから首切られるって。そんなに地面好きなのか俺。
「・・・まぁ、お前を殺しても任務達成ではないしな。うん、決めたよ。今回の任務の達成を諦め、加藤段蔵は死のう。」
「・・・は?」
いきなり何言ってんのこのクノイチガールは?
馬鹿なの?死ぬの?
あ、そう言ってるんだったね。てへぺろ☆