不束者ですがよろしくお願いします。
時は戦国、乱世の時代。
時代の英雄梟雄が各地で鎬を削る激動の時代で
尾張のうつけと呼ばれる者が歴史の表舞台で活躍する少し前、一人の若者が遠く離れた未来からこの時代にタイムスリップしておりました。
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「あれ?ここは?」
俺はまだ少しぼんやりとする目をこすりつつ周りを見渡す。俺は見たことのない場所で横になっていた。
「は?」
よく見ると、遠くの方で何かが動いている。
あれは、鎧武者?時代劇かな?にしてもリアルだなぁ。
槍や刀なんかは血がついてるし。
死体役の人も迫真の演技だよ、本当に死んでるみたいだもん。
ってあれ?
さっきまで殺陣を演じてた二人の鎧武者のうち一人がもう一人の首を
本当に討ち取った様に斬り落としちゃったよ?
「うわぁ、これは流石に・・・」
流石におかしい。よく見るとテレビカメラとかも無いし。
「まいったな、どういう状況なんだこれは?」
唐突過ぎて理解が出来ないよ。
タイムスリップ?漫画かよ(笑)
ってあれ?一人馬でこっちに向かって来てないこれ?
えっ、嘘だろ?
「貴様何者だ!織田の足軽か⁉︎奇妙な服装をしおって!」
鎧武者は興奮した様子でまくし立てて来た。
怖い!とにかく怖い!
あ、俺制服じゃん。学校だっけ?つーか今なんて言った⁉︎
「えっ、織田⁉︎てことは、織田信長がいるのか⁉︎」
俺は血相を変えてそう言った。歴史好きだもん☆
すると鎧武者はこちらをみて吐き捨てる様にこう言った。
「織田信長?誰だそれは?織田家現当主は織田信秀と言う名前だぞ?」
「えっ、そうなの?」
織田信秀って確か、信長のお父さんだったっけ?
それなら会いに行きたいなぁ、歴史オタクとしてはさ。
などと考えていると、
「朝比奈泰能、覚悟!」
と、横からもう一人鎧武者が出てきてさっきの鎧武者に襲いかかった。ん?よく見ると新しく来た方は、女の子⁉︎
「クッ、こんなところまで織田軍が来ておるとは、やむを得ん、撤退だ!」
叫ぶや否や、最初に来た鎧武者は馬に乗って走り去って行った。あー、本当に怖かった。
女の子の方は口惜しげに去って行く鎧武者を見た後に俺の方を向き、
「む、貴様は何者だ?」
と言って来た。またかよ。つーかよく見ると可愛いな。
そのおかげでさっきの人より怖くないな。
「よもや今川の者ではあるまいな?」
って怖ッ!
素で喉元に槍の穂先突きつけて来た!何この人!
俺の命風前の灯なう。
「違う違う!俺は今川とか織田とか以前にそもそもここが何処かすら分からないんだよ!」
途端に女の子の表情が訝しげになる。
「何を言い出すかと思えば。まぁ良い。お前、名は?」
「名?名前か。名前はな」
あれ?俺名前なんだっけ?思い出せないんだけど。あれ?
「な、名前が思い出せない・・・」
戦国時代にたった一人でしかも記憶喪失かよ。
前途多難過ぎるわ。どうすんの俺?
「なんだお前?頭でも打ったのか?」
女の子が心配そうに見て来るのが辛いよ・・・
「打ったかどうかは知らないけど、覚えてない・・・」
結局、見るに見兼ねた女の子がしばらく居候させてくれる事になりましたとさ。
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