魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen   作:ルル・ヨザミ

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 タイトルの桜金は造語です(読み方決めてない)。
 お久しぶりです鳳来です。全然投稿できなくて申し訳ないです。
 単純に時間がなかっただけなんですが、まぁ言い訳ですね。すいません。
今回もお気に入りしてくださっている方、チラッと見に来てくださった方、ありがとうございます。どうか最後まで読んで下さい…(切実)。
宜しくお願いします。



第52話 輝くは桜金の如く

 地響きが聞こえる。空気が震える。ピンク色の光が迫ってくる。

 自分の胸には黒い“影”が刺さっている。じわりじわりと痛みが広がってくる。

 相手と同じ魔法を自分も使おうとしている。なのに、出てこない。心がまるで死んでしまったかのように。ここまで相手を説得しようとしていたのに、このままじゃ、こんなところで終わってしまう。ただ、“影”が刺さっているだけなのに。それだけなのに。魔法が使えない。

 あと一度きりでもいい、この一発だけでもいい。魔法を。あの目の前にいる自分と同じ顔をした彼女を救うことのできる一撃を。スターライトブレイカーを…。

 

 『どうやら、力が欲しい状況みたいだな。元宿主?』

 

 私の頭に響いたのは、聞いたことのある不快な声だった。

 

 『無視をするなよ。我はせっかくお前のためにこの身体に戻って来というのに』

 

 どういう事か…、確か“影”の殆どはもう一人の私、パラレルワールドの高町なのはによって吸収されてしまったはずなのに、なんで私の身体の中にいるのだろうか。そもそも、今話している“隷属の影”はフェイトちゃんが完全に倒してくれていたはずなのに…。

 

 『ここに来た方法は、まぁ、今お前に刺さっている“影”を経由してやって来た。そして、なんでこうして、生きている?かというと、“影”は“影”でしか倒せないからだ。たとえ体の中に潜んでいても発現させなければ意味がない。故に我は今もこうして存在している。そして、お前の側に着いた方が面白そうだと思ったのだ』

 

 “影”は“影”でしか倒せない…。つまり、フェイトちゃんがあの時“影”が潜伏していたとしても、その力を使える状況じゃなかったから倒しきれてなかったって事なのかな…?

 ていうか、私に着いた方が面白そうって…?

 

 『面白そう、その言葉の通りだ。我が、我らが倒したかった者は今目の前にいる「高町なのは」だ。それを奴の身体の中にいる全“影”と話し合い決定した。確かに当初はお前を含む「なのは」を全員並行世界から消そうとしていた。しかし、本当に我らが思っていたことを見つめ直したというわけだ。そうしたら、お前の声が外から聞こえてきた。そして思い出したのだ。我らの本当の目的を』

 

 貴方たちの本当の目的って…?

 

 『我々は異世界に行くことができるという事がわかってからおかしくなってしまった…。しかし、そう、我々の目的は自分の自由ではない。「高町なのは」の自由を取り戻そうとしていたのだ…。今の奴を縛ってしまっているモノから解き放つために』

 

 もう一人の私の自由…。もし、本当にそれを思っていたとして、私と何をするつもりなの…?このままだと、多分だけどジリ貧で負けると思うんだけど。

 

 『ふはは!随分弱気じゃないか!まあ、あれだけ負け続けたらそうなるか…。しかし、方法はある。それはお前自身のモードを創るのだよ。』

 

 私自身のモードを創る…?モードフォーレンじゃなくて?でも、どうやって?モードって“影”が必要で、その“影”も、もう一人の私が研究に研究を重ねて、作り出したものなんでしょ?どうやってモードなんて…。

 

 『我をベースにするのだよ。つまり、我を利用しモードを創れ。それにモードフォーレンじゃ奴には手も足も出ない』

 

 じゃ、じゃあモードを創るとして、そんな事をしたら貴方はどうなるの?

 

 『我は消えるかもしれぬ。しかし、またそれも良い。運命として受け入れよう』

 

 そんな…!?なんでそんな軽く受け入れちゃうの?おかしくなったって言ってたけど、あれだけ必死に自由を手に入れようとしていたのに…。

 

 『我は一度死んだようなものだろう?フェイトによって完膚なきまでに叩きのめされて、“影”の力が無く完全に倒されなかったとしても、私は確かにあの時死んだも同然だった。故に自らの死くらい受け入れよう。別に自暴自棄になっているわけではないぞ?ただ、今そう思うから、我の心に従い動き、発言しているのだ』

 

 …そんなこと言われたら断りづらいよ…。

 

 『そう言うなら、我を使いモードを創れ。お前自身の最強のモードを!』

 

 わかった…やるよ!私自身の、私だけのモード!

―NANOHA SIDE OUT―

 

 PWなのはのスターライトブレイカーがなのはに迫る。PWなのはは自らの勝ちを確信した。腹部に“影”を差し動けなくさせ、真正面からブレイカーを撃ち、それも回避不能の距離まで迫った。もう、これで終わる。PWなのはは確信していた。

 しかし、事態は急変した。収束していたなのはのスターライトブレイカーと放たれていたPWなのはのスターライトブレイカーが急に融合を始めたのである。そして、それはなのはの身体に吸い込まれていった。まるで“影”を吸収したPWなのはのように…。

 

 「一体なにガ…?」

 

 そして、なのはの身体から“影”が抜けてしまう。

 

 「何!?抜けないように返しまで付けていたはずなのニ、傷一つないなんてどういウ…」

 

 PWなのはの次の言葉は出なかった。なぜならばなのはの身体が黒い球体に包まれたからである。そして、その球体は色を変え桜色となった。

 

 「マ、まさカ…!?いやでもどうなっテ…」

 

 PWなのはに結論が出る前に、結果が向こうからやってきた。

 桜色の球体が割れ、内側には桜色のバリアジャケットに身を包み金色のオーラを纏った、「高町なのは」の姿があった。

 

 「その姿は一体…?」

 「これはモード。私が作ったモードだよ」

 「なん…だと…!?そんな馬鹿ナ!モードは“影”がないと作れないシ、貴方にはそれを作るための知識なんてないはズ!」

 「確かに、私にはそんな知識はなかったよ。でも“影”は貴女がくれたでしょう?私のお腹に刺していた“影”、あれをもらったよ」

 

 その話を聞き、PWなのはは驚愕した表情で動きを止めてしまった。口をパクパクさせて、声すら上げることすらできなくなってしまっていた。まるで鯉の如く、目を丸くし口を動かしている。

 それもそうだろう。自らの最高の発明であり、最強の武器でもある“影”を奪われたと言われたのだから。

 足元に伸びる“影”を見る。動かす。PWなのはは気づく、奪われていないのではないかと。

 

 「どういうこト?すべて奪ったというわけではなく一部を奪ったというノ…?一部…ッ!?身体から“隷属の影”が感じられなイ…!?」

 

 そして、PWなのははその顔を上げ、なのはを見る。その顔は真顔でなければ、笑顔でもない表情を浮かべ、とても奇妙な雰囲気を醸し出していた。

 

 「そうだよ。“隷属”が私に力を貸してくれたんだ」

 「奴が力ヲ…?裏切ったのかッ!」

 「違…。いや、貴女から見たらそうなるのかな?でも、目的は裏切る事じゃないよ。あなたを助けるためなんだよ。“隷属”がそう言ったんだ」

 「私を助けル…?誰がそんなことを頼んだノ!“影”の協力を得たからっていい気になるんじゃなイ!」

 

 アクセルシューターをなのはに向かって放つ。その光弾は真っすぐになのはにぶつかり、薄黒い桜色の魔力光が散っていく。

 しかし、その攻撃はなのはに全くダメージを与えていなかった。なのはの纏う金色のオーラとあふれ出る魔力がそのダメージを無効化しているのだ。

 

 「今度はこっちの番だよ!」

 

 そう叫ぶと、なのはは一直線にPWなのはに突っ込み、その体を掴んだ。そして、次に行ったのは、PWなのはが行った様な次元移動を開始した。通常のなのはではそもそも行うことができず、身体に大きな負担がかかる技だが、このモード状態であれば次元移動が可能になり、身体への負担もほぼゼロに抑えることができる。

 なのはが最初に移動したのはミッドチルダ上空。先ほど移動させられた場所に自ら行ったのだ。

 

 「ええイ!何なノ、こんなところに連れてきテ!」

 「ほら、空を見てごらん。貴女の世界が落ちてきていないでしょ?」

 

 そう、つい先ほどまで海鳴市同様に世界の同化が進んでいたはずなのだが、空に見える町は動かず、落ちてきてはいなかった。

 

 「私が生きていている限りこれ以上の同化は進まない。私という存在が同化を止めているの」

 「存在ガ…同化を止めていル?そんな事がありえるノ…?」

 「今そうなっているんだから、あり得るんだよ。さ、次の世界に行こうか」

 「させるかッ!!」

 

 PWなのはは、もう一度次元移動をしようとするなのはを拳で直接殴り飛ばした。魔力を使わない攻撃なら効くのではないかと考え、実行したのだ。

 飛ばされたなのはは、ミッドチルダの地面に墜落し、大きなクレーターを作った。土煙が立ち込めなのはの姿はすぐには確認できなかった。

 

 「効いたのかナ…?」

 

 PWなのはがそう呟くと、土煙が渦を巻き始めた。

 

 「何!?いったい何ガ…」

 

 そして、渦の中心から目にも止まらぬ速さでなのはが突進してきたのだ。あまりの速さにPWなのはは反応できず、腕を掴まれ次元移動をさせられた。

 

 「ぐうぅゥ…!何なのヨ!本当二!何がしたいの!!」

 「こうやって、いろいろな世界を見て行ったら、世界観変わるかなって思ってさ」

 「はァ?私の考えが変わるのを狙っているという事?残念だけド、そんなのは永遠にないヨ!」

 

 PWなのはは次元移動の最中に、なのはの腕を振り払い蹴りをなのはの横腹に与えようとした。

 しかし、なのははその攻撃をよけ、カウンターとして魔力弾を放った。その魔力弾はPWなのはに命中し、大きくのけ反り動きが止まってしまった。

 

 「しょうがない。じゃあ元の世界に戻ろうか。とはいっても貴女には別世界だけど」

 

 なのはは再びPWなのはの手を掴み、次元移動を再開し海鳴市上空に戻ってきた。そして、PWなのはの手を放し、少し距離を置いた。

 PWなのははフワフワと浮きながらも、少しづつ冷静になっていき、意識もはっきりと戻ってきた。

 

 「はァ…はァ…。今気づいたけど貴方無傷なんだネ…。一応殴り飛ばしたはずなんだけどなァ。全ク、理不尽の塊みたいなモードだヨ」

 「“影”っていう無敵の魔法を創り出しておいて、今さら何を。…ねぇ、やっぱりもうやめようよ。これ以上戦うのは無意味だって私は思うんだけど」

 

 なのはがそう言うと、PWなのはの表情は怒りや悲しみの混ざった様なものに変わり、左手に魔力を込め始める。

 

 「意味なんていらないんだヨ。…最初から意味なんて必要としていなイ。私は過去を取り戻そうとしているんじゃなイ、未来を取り戻そうとしているんダ!だから意味なんていらなイ!」

 「ど、どういう事…?未来を取り戻すから意味なんていらないって…わけがわからないよ」

 「わからないなラ…いや説明してあげるヨ。そもそも未来っていうのはここから続く時間の先の事を指す言葉。そして過去は既に過ぎた時間や出来事を指す言葉…。人はただ何も考えなくても未来には否が応でも進んでいク。しかし、過去はもう戻る事の出来ないもノ。もし、過去に戻りたいと思ったのだとしたラ、そこには意味が存在すル。過去を想う時人は必ず無意識でも意味を持っているものなんだヨ。だけど未来はどウ?未来は向こうからやってくるもノ、意味がなくても気づいたら立っているんダ。未来という時間ニ…」

 「で、でも目標や夢を持って生きれば意味を持って未来に進んでいると言えるんじゃないの?」

 「それは意味を持っているんじゃないノ、意味を持たせているノ。同じように聞こえるけド、全くの別の事なんだヨ。…だから私は未来を取り戻すことに意味はいらず持たせる必要もないと言っているんダ」

 「…意味もなく、家族を取り戻そうとしているの?」

 「取り戻すことデ、意味を持たせることができるようになるノ。貴方が言ったようニ、人は未来に様々な意味付けを行ウ。でもその意味付けは強い意志が無いとできないノ。夢破れて絶望したなんて話、よく聞くでしょウ?強い意志があれば未来に意味付けをできル、そしてそこに強大な力があれば今度は未来に付けた意味を現実のものにすることができル!」

 「な、なんて滅茶苦茶な理屈…。それに、結局意味を付けているじゃない!言っている事矛盾だらけだよ!」

 「私が要らないと言た意味ハ、今すぐには必要ないという事だヨ。私の未来を取り戻すという行動には意味は必要ないノ。そこから先、取り戻してからの時間には意味が必要なノ」

 「…だとしても、貴女がそう考えるのだとしても…!貴女がやろうとしている事は、未来を取り戻すことにならないし、厳しいことを言うようだけど、現在を見れない人が未来を取り戻せるだなんて思わない事だね」

 

 そう言うとなのはは手のひらをPWなのはに向けた。少し空気が振動し、PWなのはの左手に溜めていた魔力が霧散していく。

 いったい何が起きたのか、PWなのはにはわからなかった。理解の範疇を超えた現象に混乱の連続だった。

 

 「もう、貴女に魔法は使わせない…。戦うとしても、拳同士になるね」

 「くッ…!どうしてそこまでのモードを創ったノ…?」

 「どうして?私はただ、貴女を助けたいって人がいたからその人に力を貸すためにこのモードを創っただけだよ。私も、その助けたいと思った人の一人だけどね」

 

 PWなのははもう一度魔力を溜め始める。しかし、それもなのはが手をかざすだけで、散り散りになっていった。

 

 「マ、まさカ…空気の振動で魔力を霧散させているノ?そんな事が可能なノ…?」

 「できているんだから、可能なんだよ」

 「科学をバカにしているノ!?空気振動なんかで魔力が霧散するなんて聞いたことなイ!」

 「貴女だって考えた通りの魔法が使えるっていう魔法が使えるじゃない。あれって、原理とか仕組みとかがあり得なくても作れるんでしょ?」

 「タ、確かにそうだけド…」

 

 そして、PWなのはは拳を振りかぶり、勢い良く攻撃するも、なのはにその手を掴まれてしまった。掴んだまま振り回され、近くにあったビルに思い切りぶつけ、地響きのような音が周囲に鳴り響く。

 

 「がはッ…!うあああァ…。何でこんなニ…差があるノ…!ついさっきまでこんな事無かったのニ!」

 

 PWなのはがビルの外壁から抜け出そうとすると、なのはが魔法陣を展開し、叫んだ。

 

 「縛れ!!鋼の軛!!!」

 

 するとPWなのはの周囲から、桜色の柱が伸び、PWなのはの腕を貫き、その動きを止めた。

 

 「ナ…にィ…!?この魔法はザフィーラの物のはズ…!」

 

 動けなくなったPWなのはの前になのはが降りてくる。いつまでも止めどめなく溢れ出る魔力のオーラがなのはに威圧感を与えていた。

 

 「ごめんね、ちょっとフェイトちゃんたちから通信が来て、貴女と話してほしい人がいるって言うから拘束させてもらったよ」

 「それでもこんなに強引に止めるものかナ…」

 

 そうして、PWなのはの目の前に通信画面が表示される。そこには、PWなのはの世界のアリサ・バニングスが映っていた。

 画面のアリサの目は決意をしている様だが怯えている様でもあった。

 

 『…久しぶりね…。高町…いや、なのは』

 「急に馴れ馴れしヨ。失礼だとか思わないノ?デ?何の用なノ。私の計画を邪魔する奴らに加担してまで話したい事なんでしョ」

 『単刀直入に言うわよ。私と友達になりましょう』

 

 自らの止まった時間動かすため、もう一度今をやり直すためのPWアリサによる説得が始まった。

 

 「…急に何を言うかと思えバ…。何、死ぬかもしれないから命乞いでもしに来たノ?」

 『そういうんじゃないわ。ただ、今すぐじゃなくてもいいけど友達になって欲しいって思ったから、伝える手伝いをそっちの世界の人達にしてもらったの』

 「命乞いでなけれバ、ただ友達になりたイ?何を考えているノ、こんな状況デ」

 「こんな状況だからよ」

 

 PWアリサは震える声をどうにか抑えながら話した。かつて自分が行ったいじめや嫌がらせの謝罪だったり、PWなのはが落ち込んでいた時、声をかけようとしたがいじめの事もありできなかった事や、今この世界にいるPWなのはの知り合い全員が帰りを待っており、もう一度一からやり直し、本当の友達になりたがっているという事を。

 まさか、ここまで話せると思っていなかったPWアリサは、心の中で今ある異常な状態がここまで自分を動かさせるという事に驚いていた。

 

 『とまぁ…こんな感じかな…。今の私の気持ちは心の底から思えているかは私自身にもわからない。でも、友達になりたいんだ…』

 「……」

 

 PWなのはは沈黙していた。腕が肩より上になっている影響で顔が俯くようになってしまっているため、表情を窺うことはできないが、肩を小刻みに震わせているのがわかった。

 なのはは感動や改心からくる震えかと見ていたが、顔を上げたPWなのはの笑顔からそうではない事がすぐにわかった。

 

 「よくそんな白々しい事が言えたネ!まあ言いたいことはわかったヨ。しかシ、その話は受け入れられなイ。私が何故こうやって並行世界に来ていると思ってるノ?そもそモ、私は貴方たちに興味はないシ、今や管理局には恨みすら感じなイ。今私が恨んで復讐の対象としているのハ、私の家族が死ぬ運命を良しとしたあの世界ト、あの忌々しい魔導師を生んだミッドチルダの二つだヨ。そしテ、この世界にはその復讐と家族を蘇らせるための肥やしになってもらウ!!」

 

 PWなのはは、無理やり腕に刺さっている軛を破壊し拘束から逃れ、空高く飛び上がった。

 そして、下にいるなのはや通信画面に映るPWアリサを見下すような視線を向けながら腕の傷を癒した。

 

 「交渉?は決裂だヨ。もう貴方と話す事はないヨ。バニングスさン」

 

 PWアリサは、苦々しい表情を見せ、誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。

 

 『…やっぱり…ダメだったじゃない…』

 

 その時、再びPWなのはは拘束された。しかし、今度は軛ではない。桜色の鎖である。彼女の身体をきつく締めあげる鎖を出したのはやはり、なのはであった。

 

 「ダメじゃないよ…。全然ダメじゃない。こうやって口にする事としないのじゃ大きな違いがあるから。大丈夫、きっと貴方は…並行世界のアリサちゃんや他の人達も、あの子の友達になれるよ…」

 『そう…かな…?だって話す事無いって…』

 「沢山話す事が友達ってわけじゃないでしょ?心配しないでいいよ、私があの子を直接助けるから。その後、心を助けるのは貴方たちの役目になっちゃうけど…大丈夫だよね?」

 『心を助ける…そうね…任せなさい!』

 「流石!どの世界でもアリサちゃんはアリサちゃんだね!…じゃあ、もう一人の私…貴女が望む決着の付け方で勝負しよう…!」

 

 鎖を引きちぎったPWなのははゆっくり近づいてくるなのはを睨みながら、拳を強く握りしめた。

 

 「全力全開、手加減なしの真剣勝負で決着を付けようカ…。貴方も好きでしョ?そういうノ」

 

 同じ高度まで昇って来たなのはは少し笑っている様な表情で、ボクサーのファイティングポーズの様な姿勢をとった。

 

 「別に戦うことが好きなわけじゃないよ。そうしないといけないからそうするだけ。戦わなくていいならそれに越したことは無いからね。」

 「私は好きだヨ。だって一番誰が正しいか決めるのにわかりやすいからネ」

 「いい事教えてあげる。暴力を互いに使う戦いはどっちも正しくてどっちも間違っているのが基本だよ」

 

 二人のなのはが同時に突進し、その拳がぶつかり合う。

 最後の戦いが幕を開ける。

 




長い事投稿しなかったくせにあんまり内容長くない、本当に申し訳ないです。
多分そろそろ最終回です。できれば最後まで読んで欲しいです…。
感想などお待ちしています、モチベーションにつながるので…。

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