魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen 作:ルル・ヨザミ
14:30にグラナードは時空保安局の拠点の世界『リーリョ』に到着した。
フェイトによって、整列させられる隊員たち。ついに始まる戦いに各々の緊張がひしひしと伝わってくる雰囲気になっている。
そんな中、高町なのはは小さな声でレイジングハートに話しかけていた。
「レイジングハート、前言っておいたモード最適化できた?」
≪はい。しかし、まだどのくらい稼働できて身体に対する影響がどれ程のものかわかっていません≫
「そっか…わかった。ありがとうレイジングハート」
≪どういたしまして≫
そして、フェイトに本局より出撃命令が下されたとの報告がついたため、いよいよ出撃だというところで、グラナードを大きな揺れが襲う。そして響くエマージェンシーのアラート。
ブリッジの通信士から次のように報告された。
「グラナードの真下に魔力反応!恐らく白騎士と呼ばれる魔導師の物かと思われます!」
それを聞いたフェイトは次のように指示した。
「なのは、シグナムは今すぐ出動を!お願いします!」
予想外の出来事に慌てるフェイトだったが、なのはは実に落ち着いた声色で「了解!」と返した。
ーNANOHA SIDEー
到着早々の白騎士による攻撃…予測していなかったと言われれば嘘になる。でも今までの情報だと保安局に手を出さなければ攻撃はしてこないと言われていた。なのに今回はさっそく攻撃。流石に20回も部隊を出されたら多少の対処は考えてくるか…。
「アクセルシューター!」
≪ACCELE SHOOTER≫
「シュート!」
グラナードの真下に仁王立ちしていた白騎士に6つのシューターを放つ。
コントロール…!弾によってスピードを変える変則的な攻撃でどう…!
「なのは!私は地上に降りる。援護を頼む!」
「わかりました!」
シグナムさんが地上に着く前に白騎士がその手に持つジャマダハルを空に掲げ、横に振った。それだけだった。
「なに!?」
シグナムさんの目の前で6つ全てのシューターが爆破されたのだ。一体何が…?
「大丈夫ですか!?」
「ああ、問題ない。しかしこれは…」
すると下から女性の声が聞こえた。
「ただ魔力弾を斬っただけでその驚きよう。どうやら今回も私の相手ではなさそうだな」
白騎士だ。ここで私はその声に既視感を覚えた。この声どこかで聞いたことがあるような…。
「貴公が白騎士か?」
私が考え事をしてしまっている時、シグナムさんが問いかけた。
「白騎士…そうだな貴方たちからはそう呼ばれているわね」
「話方が一定ではない…まるで”影”に操られている時の高町だな…。まぁいい、ならば武器を置き話し合おう。グラナードに攻撃したことなどはいったん置いておいてな」
「話し合い?なぜ」
「なぜだと?そんなのは勿論戦わずに済んだら物事の進みが早く、貴公の罪も軽くなるかもしれないからだ」
「へぇ…私の罪ねぇ…」
白騎士は少々浮ついた声でそう言った。どうしたというのだろう。
「もう一人の魔導師は話し合いする気はないのか?ずっと黙っているが」
「えっ、わ私ですか?勿論話し合えればそれが一番ですけど…」
「ふふっ…あはははははっ!」
白騎士が突然笑い出した。なにか私は面白いことを言ったのだろうか?
「貴女がそれを言うのは面白い…!面白いぞ高町なのは!」
「!?私の名前を…!」
私が驚いているとシグナムさんが念話で(なのはのことを知っているのは何もおかしいことでなはい。数多くの事件の解決に貢献したお前の名を知っている者がいたとしてもな)と私を落ち着かせてくれた。
それもそう…なのかな?とりあえずここまで話しているんだから話し合いを…。
「高町なのは、私は貴女との一騎打ちを所望する。」
「何!?」
「そんな!?」
「話し合いで終わるとでも思っていたの?私は最初からあなたが来るのを待っていたのよ…私自身の復讐を果たすためにね!」
「復…讐…?私に…?」
シグナムさんがどうするか尋ねてきた。どうしよう…一騎打ちだなんて。しかも私に復讐しようとしている。これはもしかしなくても命が危ない。
(フェイトちゃんたちは今どこに?)
(テスタロッサたちはそろそろ拠点の建物につく頃だろう)
(…じゃあ、私一騎打ちを受けようと思います)
(!?…そうか、わかった。しかし無理はするな。もしお前が危なくなったらすぐに助けれるようにしておこう)
(すいません。ありがとうございます)
「白騎士…さん。一騎打ちお受けします!」
「今の貴女なら受けてくれると思ったわ…」
白騎士は私の何かを知っているような口ぶりだ。でもここで戦い私の中の昂ぶりを抑えることができれば、私の無くなった何かがわかるかもしれない!それに白騎士の正体も確かめなくちゃ…!
「いこう!レイジングハート!」
≪All RIGHT MY MASTER≫
「気を付けろ…なのは…」
シグナムさんは直前まで私の心配をしてくれた。
ーSIDE OUTー
ーFATE SIDEー
「武装局員の方々!施設内の保安局員の捕縛は?」
「現在の四階までの階層にいた保安局員は全て捕縛しました!残りは保安局長と白騎士のみかと思われます!」
「わかりました!では、行きましょう!」
予想より早く制圧が進んでいる…。白騎士を抑えているだけでこうも上手く物事が進むことなの…?
「少々、作戦が上手く行き過ぎています。注意をしていきましょう」
「了解しました!」
保安局員をミッドチルダに送るために、何人かの武装局員はリーリョから離れている。今局長を逮捕するための武装局員は私を抜いて6人と、当初の予定より少し多くなった。予定外の順調さによってだけど、流石に局長はスムーズに捕縛とまではいかないだろう。
局長室前についた。武装局員たちを見ると、準備はできていると頷く。
「では行きますよ…!」
私はそういった後フォトンランサーで扉を壊し、武装局員と共に、室内に突入した。
「時空管理局です!今すぐ武装を放棄し、投降してください!」
局長にバルディッシュを向ける、武装局員は局長を囲むように左右に三人づつに分かれる。
「今回の部隊はそこそこ手際がいいねぇ」
椅子に座りこちらに背を向けたままの局長が呟く。
「武器を捨て、投降して下さい。そして白騎士にもこちらの指示に従うよう貴女から命令を。」
私がそう言うと局長はニヤニヤと笑った顔でこちらを向いた。局長は思ったより年老いた男性であった。詰襟のぴっちりとした黒い服を着ている。
「白騎士は私の管理下にはいない。故に投降の意思を確認はすることはできないんだぁ」
「なん…だと…!?それはどういう事なんですか!?」
「あの子は自身の感情に素直になっているだけさぁ、復讐を果たすための怒りの感情にねぇ…」
「復讐?怒り?白騎士は管理局を恨んでいるということですか?」
「違う違う!あの子が恨んでいるのはただ一人。高町なのはだけさぁ!」
局長は笑いながらそう言った。白騎士がなのはを恨んでいる…?なんで、どういう事なんだ。
「どういう意味か分からないって顔をしているねぇ…」
「貴方はなぜか知っているんですか…?」
「勿論!私とあの子は仲間だからねぇ…!」
「保安局の仲間として…ということですか?」
「いや、そうじゃあない。違うなぁ…」
こっちをおちょくってきているのは十分わかる。バカにして…!
「何が言いたいんですか!」
「さぁ?なんだと思う?」
この人、まともに話す気がないな…!
―SIDE OUT―
ーNANOHA SIDEー
「ディバイーン!」
≪BASTAR≫
私の放ったピンク色の魔力砲が白騎士へまっすぐ伸びて行く。
「当たらないんだけど?」
白騎士はそれを右に避ける。
「わかってたよ、貴方ほどの人だから…きっと避けるって!」
右には設置しておいた魔力球がある。いつもアクセルシューターとかで使っているものだ。
「!狙いはこっちか!」
白騎士が恐らく右利きであることからきっと右に避けるのではないかと思ったんだ。攻撃を避けるときって無意識に利き手とかの方に行ってしまいがちだから。
白騎士が右利きという予測ができたのは、両手武器を使っているからわかりづらかったけど、魔力弾を撃つとき、必ず右手で撃っていたから。
「…防がれたな、なのは」
シグナムさんがそう呟いた。
「そう…ですね…」
眼前の煙から、ほぼ無傷の鎧姿で白騎士が出てきた。鎧が堅いのか…それとも防御魔法が堅いのか…。
「どちらにしても、有効打が与えられていないのは確か…」
「なのは。まだ手を貸さなくても大丈夫か?」
「はい、まだ大丈夫です」
「当たり前でしょ、私が戦うのは高町なのは、貴方だけよ。貴方だけをずっと待ち続けていたんだから!」
私を待ち続けていた?いったいどういう…。
「それってどういう事?なんで私を待っていたの?」
「貴方は覚えていないでしょうね!そんなだから私は復讐を誓ったのよ!」
「だから復讐って何のことなの!私が一体貴方に何を…!」
「うるさい!貴方は何もわからず私に殺されればいいのよ!!」
白騎士は一気に飛び上がり、私のいる高さに来た。そしてジャマダハルを振りかざす。その刃の部分には魔力が纏っていた。
「くっ!早い!」
≪protection≫
レイジングハートの機転でジャマダハルの一閃を防いだ。
「はああ!!ぶち抜けぇぇ!!」
「!?一気に威力が上がった…!」
「食らいなさい!炎の剣を!!」
ジャマダハルの刃に炎が纏う。白騎士は炎の魔力変換資質を持っているの…!?
「うぅ…!!レイジングハート!!」
≪Protection Burst≫
プロテクションを爆破させて、白騎士と距離をとる。やっぱり近接戦だと、向こうの方が上手だ…。
「全く、よく知恵が回るわね…そこに関しては流石といってあげるわ」
「にゃはは…ありがとう…」
「だけど、体力はもうギリギリみたいね」
確かに、白騎士の言う通りだ。限界というわけではないけど、だいぶきつくなってきた。でもこんなところで諦めるわけにはいかない!まだなんで白騎士が私のことを恨んでいるのかわからないし、このまま負けちゃったらまたシグナムさんやはやてちゃんに迷惑がかかっちゃう!私がここで白騎士を止めないと…!
「さぁ、仕切り直しよ。もう一度私の炎の剣を…食らってもらうわよ!」
白騎士がまた一気に間合いを詰めてくる。迫る白騎士を見て私は決意した。
「どうしたなのは!避けるなり受け止めるなり、何かしろ!!」
シグナムさんが心配してアドバイスをくれる。でも大丈夫!…多分だけど。
「レイジングハート!!例のモードを!」
≪OK MY MASTER≫
≪MODE FALLEN SET UP≫