魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen 作:ルル・ヨザミ
第22話 なのはの心
"隷属の影"事件から三ヶ月。私こと高町なのはにはなんとなくの平穏が訪れていた。
平穏と言っても、あの事件以来行方不明になった友達や、未だ入院をしている友達。怪我が治って私のことを心配してれる友達、あの事件が原因で戦闘がトラウマになってしまった友達...私は色々な人に迷惑をかけてしまった。今の私の気持ちはこの先ずっと忘れることはないだろうし、誰もわかってくれないものだと思う。だからこそ私は、贖罪のため、前よりもっと今よりもっと強くならなければならない、そう思うようになった。
「なのは!こんなところにいたんだね、探したよー」
フェイトちゃん”隷属の影”事件を解決し、私が特に迷惑をかけてしまった人だ。入院していたはずなのにどうしたんだろう。
「怪我はもう大丈夫なの?」
「うん!動けるくらいまで回復したよ!」
笑顔で答えてくれる。笑顔が見れるのはすっごくうれしいことなんだけど…私の心には深く刺さる何かがある。辛い…辛いよ…。
「なんか用でもあったの?」
「そうそう、用事があったんだ。なのはは聞いた?時空保安局の話」
「名前だけならさっき廊下で聞いたよ。フェイトちゃんは何か知ってるの?」
「沢山って程ではないけど知ってるよ。うーん...一応なのはも知っておいた方がいいかもしれないから話すね」
「あ、うんお願い」
フェイトちゃん曰く、先週の火曜日にその【時空保安局】を名乗る武装組織が一部の次元世界に設立を宣言したらしい。その組織が行っているのは法外な治安維持活動。他の武装組織の構成員を一人残らず殺していくというものだ。それは、下請けの組織にも及ぶ。これらの行為に時空管理局は、武装組織たちによる戦闘行為で一般の人たちを危険な目にあわすということは確かに許されるべきではないことではあるが、保安局側の行為はそれと何ら変わりないとして、時空保安局をテロリストグループと認定した、ということらしい。一週間でかなり色々あったんだなぁ…。私そんなこと何も知らなかった…それほどボーっとしていたんだ、反省しなきゃ。
「多分、地球支部の人たちも駆り出されることになるだろうね」
「保安局ってそんなに大きな組織なの?」
「いや、白騎士って呼ばれている凄腕の魔導士がいるんだ。30人の部隊が一日で壊滅するくらいの凄腕のね」
「そんなに強いんだ…」
白騎士…昔読んだ本には優しい騎士として描かれていたっけ。その本は確かすずかちゃんから借りたんだよね、懐かしいな。
……戦いたい、白騎士という魔導士と。戦ってみたい。
「私、時空保安局の取り締まりの部隊に志願するよ」
「え、なのは?どうしたの突然…志願って、ええ!?」
「隷属の影の贖罪のためっていう理由が一番なんだけど、フェイトちゃんから白騎士さんのお話聞いたとき思ったんだ。戦ってみたいって」
「いくらなんでも戦闘狂すぎるよ…」
「戦闘狂だなんて、ひどいなぁ」
「いや、あの話聞いて戦いたいって思うなんて戦闘狂か戦闘マニアくらいなものだよ?」
「そ、そうかな?」
で、でも決めたんだ!白騎士と戦って、さらに時空保安局を止めるって!
――――それから四日後、時空管理局本部の対時空保安局部隊の中に立つ高町なのはとフェイト・T・ハラオウンの姿があった。
なのはは、自らの心に刺さった罪の意識を振り払い戦意を満たすため、フェイトはそんななのはをかつての事件のように二度と離れ離れにならないように共に戦うため。互いに方向は違えど、強き意思を持ち保安局との戦いに身を投じることとなった。
しばらく間が空いてしまってすみませんでした。しかしようやく、第二部が思いつきました。これからも誠心誠意頑張っていこうと思います。