魔法少女リリカルなのは Goddess Was Fallen 作:ルル・ヨザミ
橋の大きな欠片のところに立つ。
ああ…頭がくらくらする。まだ橋にぶつかった衝撃が続いている。
早くこれから抜けないとあの”隷属の影”にまたやられる…。
「オヤオヤ、フェイトちゃン…そンなにフラフラデ私ニ勝てルと思ッているノカい?」
”隷属の影”が話しかけてくる。なのはそっくりの魔力を覆わせながら。注意深く感じて見ないと別物とは思えないな…。にしてもなんでこの”隷属の影”は私やはやてをその支配下に置こうとしなかったのだろうか?そうした方がこうやって戦うより相手にとっては処理しやすかったろうに…。
「はぁ…はぁ…げほっ!っはぁ…なんで私やはやてをその”影”で支配しなかったの…?」
「突然何カと思エバ…そんもノは…面白ソウだト思っタからダヨ!」
答えながら”隷属の影は”レイジングハート・ザンバ―で突進してきた。
「そんな、くだらない理由でっ…!」
「くだラなイぃ?私ガ面白イと思エるノナらソレでいい!!」
”隷属の影”は思い切り振り切り私を空中へと押し上げた。
悠長に実況している場合じゃないな…。空中だと空を飛ばなきゃ逃げ道がないや。
でも今そんなに魔力を使いたくないんだよな…。どうしようか…。
まだ頭くらくらする…。こんな時に…!
「ディバイ―ン…」
ディバ…イン…!?ディバインバスター撃ってくるつもりなのか!ならなおさら空を飛ぶ魔法を使わなきゃ!!
「バスター!!」
「ソニック・ムーヴ!」
ディバインバスターを紙一重で躱すことができた。
危ない危ないギリギリセーフ…。
ていうかさっきから一人称が私になっているな、”隷属の影”。我とも言っていたし…これってなんか裏というか、”隷属の影”の状態になんか関係あるのかな…?
「はぁ…はぁ…息が整わないな…はぁ…もう…はぁ…はぁ…」
「お疲れカイ?」
「はぁ…はぁ…誰の所為だと…」
くっ…ここからどうする…”影”は未だに余裕そうだ。一度取り乱していた気もするけれど。
「さアさあ、オ次ハドウすル?」
次…本当にどうしよう…。どうやって…”影”を…倒そうか…。
でもただ倒すだけじゃダメなんだ。なのはを…なのはをどうするかも考えないと。
「ソッチガ何にモしないナら…こっチカら行くヨ!!」
くっ…!!
バルディッシュのハーケンとレイジングハート・ザンバ―がぶつかり合う。
「ぐぐ…っ!」
「きつソうダネェ…フフフ…」
「…そっちは余裕だねっ…!」
「そリゃア君ガ全力でヤらナイからダよ」
「なっ…!何を…っ!」
突然”影”は私のお腹を蹴り、今度は地面に叩きつけられた。
背中に激しい痛みが走る。
「ぐあぁぁ!!」
「早ク全力でやらナイと死んジゃうヨ?」
「全力で…やってる…!」
「イヤイヤ、今君ハ全力デハナイ…まあ君が全力でやらナクても私は全力でヤルダケダ」
全力じゃない…?なんで…私は全力のはず…。
「デァぁァあ!!!」
「プロテクション!」
レイジングハート・ザンバ―の刃をプロテクションが防ぐ。
「うう…!」
「押さレ気味だネェ…でも防ぎきレるカナ?」
するとプロテクションをザンバ―が貫き始めた。
「何!?」
「ほらほら、力入れナイト…!死んじゃウよぉ!!」
「くぅ…!はぁぁぁぁああ!!」
お腹に力を入れて前に踏み出す。
ザンバ―がプロテクションの圧に押されたのか魔法で出来た刃の部分が折れた。
「コレが全力?まだマだ出るでしョウ?」
「あなたが私の何を知っているというの!!」
「ワカルサ、私…いや我ハ高町なのはノ記憶を持っているカラナ」
「なのはの記憶を…!そうか…なのはを取り込んでいるから」
「そうイう事デはナイ、我が高町なのはの中に潜ミその魔力量ト記憶、身体能力ヲ我自身にインストールシタのだ…」
「潜んでいた…?」
「ソウだ、君たちで言うとコロの闇の書事件が終結シタあタりカラナ」
「そんな昔から…!?」
「と言ってもホンの数か月だけレどナ」
「それでもずっと中にいたのか…もしかしてここしばらくなのはが異常な疲労を見せていたのって…」
「我が高町なのはノ解析ヲしていタカらだろうナ」
「やっぱり、あなたの所為か…!」
多分なのはが私達から逃げたのも”影”の所為だろう。
「サ、雑談もここまデだ…来なサイ」
「言われなくても!」
全力で攻撃ができていないのは恐らく”影”がなのはの姿をしているからだろう。
無意識のうちに力を抜いてしまっていたのだろう。
「ここから…優勢に立たないと…!」
「さア、殺ロウか…」
再び”影”は恍惚の表情を浮かべ、レイジングハートを構えた。
少し前話と離れてしまいまして申し訳ありません。推敲していたら遅れてしまいました。