オーガを倒したタツミと藍染はその後アジトへと帰還し報告を終え、ナイトレイドは後日突如現れた侵入者を退治していた。
「お前は集団戦闘に不慣れだ。無理はするな?まずは戦場を体で覚えることに専念しろ!」
「はい!」
「あと俺の事はアニキかハンサムってよびな」
「おう!アニキ!」
「よーしいい気分だ!礼にいいもん見せてやる!!」
そう言い放ち片手を地面にあてて叫ぶ。
「インクルシオオオオォォォ!!!!」
ブラートの背後から何かが現れ、彼に纏いつく。纏わりつく何かは形を変えブラートの鎧と化す。
「うおおおおおおお!!かっけえええ!」
「だろぉ?これが帝具『インクルシオ』」
「帝具?よくわかんないけど、燃えるな!!」
「おっ、わかってくれるかこいつのよさを!」
(あれが帝具『インクルシオ』か…)
飄々と敵を倒しながらナイトレイドの帝具を観察する藍染
以前から帝具の存在そのものは知っていた藍染だが、ナジェンダに文献を借りるまでその実態を知らずにいた。こうして肉眼で見ることは初めての事だった。
(思いの外、脆いな。あの程度なら私の敵にはなりそうにもないな。)
そう落胆するが帝具『インクルシオ』に対しひとつの可能性を見出していた。
翌日。マインがタツミを連れ市政調査という名の買い物をしに行ってる間藍染は単独行動でとある場所を訪れていた。
「はぁ~人体実験も飽きてきたし何か新しいこと始めようかしら~?」
「君がDr.スタイリッシュかい?」
「誰!?」
自身の研究室にいるはずのない人間の声がし振り向くと、男が一人悠然と立っていた。
「私の名は藍染という。君に一つ頼みたいことがあるんだが…どうだろう?」
「ふ~ん、面白そうだけど内容によるわねぇ~♡」(結構好みのタイプ!でも怪しいったらありゃしないわぁ~)
「何…君の好きな実験だよ。」
微笑みながら藍染が呟いた。
その夜、ナイトレイドにボスから命令が下る。
「新しい任務が決定した。標的はオネスト大臣の遠縁にあたる男イオカル。大臣の名を利用し、女性を拉致しては死ぬまで暴行を加えている。やつを警護し、お零れに与る傭兵5人も同罪だ。重要な任務だ、全員でかかれ!」
平静を装いながらも怒りを露にするナジェンダにナイトレイドが続き夜の街へと消える。
「あれがイオカルの住む屋敷か…でけぇな。なあ」「何よ」
「それも帝具ってやつなのか?」
タツミがマインの身長にも届きそうな銃を調整してる彼女に問う。
「そうよ、帝具『パンプキン』持ち主がピンチになるほど破壊力が増すのよ。ま、そもそも私はピンチにならないけどね。」
「いったいどうやったらそんなもの作れるんだ?」
「帝具は古代の超兵器、今となっては作り方なんて不明。ウジウジと細かいやつね。」
質問ばかりしてくるタツミを疎ましく思い悪態をつき、それに対してタツミが顔を顰める。
そんな彼をスルーしてマインが銃口を屋敷に向け
「この距離なら普通に届くわね、屋敷から出てきたとこを打ち抜いてやるわ!」
「よし!俺の役目は狙撃後のマインの護衛ってとこだな、まかせろ!」
「ふん、期待してないけどね。」
そういいながらもほおを緩める。視線を屋敷へと戻し一度瞼を閉じ引き金に指を添え、息を吐く。再び開かれた瞼は先ほどまでのマインとは別人といってもおかしくないほど覚悟を決めた目をしていた。
(すげぇ集中力だ…こっちまで気迫が伝わってくる。)
「出てきたわ」
「え?どこどこ?」
マインの言葉に持っていた単眼鏡で確認しようとする。
「なっ、標的じゃない人までたくさん出てきたぞ。」
「だから?」
「だからって…どう狙撃すんだよ?」
「関係ないわね。」
「関係ない…?まさか無関係の人たちまで巻き
タツミが言い終わるまでにマインが引き金を引いた。銃口から金色のレーザーが放たれ真っ直ぐ進み見事にイオカルの額を貫いた。
それを見て茫然と佇むタツミにマインが自慢げに話す。
「あたしはね…射撃の天才なのよ!」