ヒカルの傍観者   作:dorodoro

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第8話

ようやく、私の頭痛の原因について分かってきた。

幽霊だかなんだか分からないけど、ようやく意思がはっきりと分かるようになった。

まあ、私の頭がおかしくなって幻聴聞かせているという点もまだ捨てきれないけど。

「それで、saisaiうるさいのは分かったけど、貴方は何なの。名前は?ひょっとして囲碁の死神?」

デスNUUTOOとか言う漫画が流行っていたはずだ。

「ナマエナド、ステタ。シニガミ?シラヌ」

ああ、会話が成立するようになった気がするけど、頭が痛くなるキンキン声。

正直この幽霊?強いから、対局してもらう分には非常にありがたいけど。

「saい、フジワラノサイト ウタセロ」

だから、サイなんて知らないよ。大体何時の人なのだろう。

やっぱり1000年位前の人物なのだろうか。この間のネットのsaiにもずいぶん反応していたけど、

saiと名乗っているヒカルと打ったら成仏してくれないかな・・・・・・・。

 

 

そんなこんなである程度この幽霊(暫定)の扱いが分かってきたころ。家のパソコンでネット碁のサイトを見てみる。

saiがいるかなぁ。

いないか。どうやら過去の対局も閲覧数が高いものなどはネットなどで調べれば見られるようでsaiが打った数々の棋譜を見ていく。

ヤハリ、マチガイナイ

おお、幽霊(暫定)が勘違いしている。でもこれならいけるんじゃないかな。

といろいろネットサーフィンしながら対戦相手の名前を見てみると、おお、saiがいる

急いで対局を申し込む。良く分からないけど時間無制限?変え方分からないからこのままでいいや。・・・・。受けてくれるかなぁ・・・。

ちょっと待たされると、やっぱりダメか。と思うとsaiから3時間で申し込みが。

こっちは黒か、ほら、あんたがうちなよ。

 

 

「saiがまた対局しているぞ。今度はRIKA01。時間もまさかの3時間だ。」

「おい、何だこの碁は。そこでいくのか!」

「saiの一手が相手の勢いを止めたぞ。」

「いや、この程度で止まらないのか。信じられん、何だこの一手は。」

「おい、何だこの打ち合いは。複雑になりすぎて分からん。」

「強い、どっちも強すぎる。RIKA01、こいつもプロなのか!?」

ネットで熱い議論が交わされているのを当人は知らず、対局は進んでいく。

対局は終始黒が攻め続けた。

ひらりひらりと白がすべて交わしていく。しかし、白も手厚く打っているがまったく攻められない状態おかれている。

「おい、最後まで行くぞ、ちょっとRIKA01が弱いか。」

 

 

手汗握る厳しい対局が続く、というか本当に強いんだこの幽霊(暫定)。

私では思いも付かない手がポンポンでてくる。それをひらりひらりとかわしていくsaiの技量もすさまじい。

でも、差がつかない。このままではこいつのほうが分が悪いように見える。勝ってくれないかなぁ。まだどうなるか分からないし。

ああ、おわちゃった。私の成仏さくせんがぁぁぁ。

「カッタ、サイニカッタゾ」

ええ、いやあんた半目負けたじゃん。

「ああ、勝った。ついに勝ったぞ。5目の大差だ。私は勝った。1000年かけて私は勝った。カッタカッタカッタカぁ」

5目?まあ、それはおいといて、今度こそいなくなった!?私の頭痛の種が消えたの!?

頭は、昔より雑音がしない。なんかまだ雑音が続いている気がするけど気のせいだよね。

いや、少なくとも気のせいと思えるレベルには下がっただけでも成果が。

「キサマニカンシャヲ。ワタシノスベテヲモッテユケ」

きゃあああ、いりません。そんなものいりません。いらないからはやく成仏してぇぇーー。

 

 

 

 


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