ヒカルの傍観者   作:dorodoro

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第4話

囲碁の個人戦は1週間前から行なわれた。

ヒカルや筒井さんが来てくれると言っていたけど、私自身すぐ負けると思っているし、全力で断らせてもらった。

だって、負けてみっともない姿をこれ以上ヒカルに見せたくないし。

やっぱり実戦は違う。部活で打つのもいいけどこの勝負でのヒリヒリ感はとっても好きだ。

頭も今まで以上にクリアだ。今なら、ヒカルにだって勝てそう。まあ無理だと思うけど。

気が付いたら後1つ勝てば決勝というところまで来ていた。私以外はみんな海王中だ。

目の前の女性は日高というそうだ。

「お宅の進藤君っていう子がとっても強いらしいね。」

私は初心者なのでどのくらい強いのか良く分からないので、そのまま話した。

「あなたといい、今年の葉瀬中は面白いわね。」

囲碁をやっているときだけは、なぜか空気が澄んだかのように雑音が消えものすごく集中できる。

いつも気が付くと終わっていることが多い。

中盤までは互角だった。少なくとも互角だったと思う。

でも後半からヨセでじりじり差がついていくように見える。

「負けました。」

結果は2目負け。まあ、今の私から見れば十分なんてものではなく、もはやありえないレベルで良くできたと思うのだけど。

でもやっぱり悔しい。他校の生徒などにも感動したとかいろいろ言われたけどどこか納得できず悔しさをかみ締めている私がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこだか知らないとっても古い建物で御前試合というのだろうか。

片方が反則をしようとして、それを突きつけようとしたら言い争いになり、

結局反則したほうが勝った。なぜ彼はそんなことをして勝ったのだろう。

しかし、どちらも真剣だった。

 

 

「なんだ、夢か・・・・・・。」

変な気分だ。懐かしい夢を見た気がする。

今まで毎日雑音が聞こえて眠れなかったり、小学校6年生以降で久しぶりにぐっすり眠れた気がする。

「ヒカルおはよう!」

久しぶりに通学路であったので挨拶する。

「おう、おはよう。昨日すごいじゃん順決勝まで行ったんだってな。」

まぐれまぐれなど言いながらヒカルと昨日の対局を話しながら登校する。

「しかし、今日は本当に顔色もいいな。それじゃ部活でな。」

 

 

昨日の棋譜を並べながら二人とも驚いていた。

「すごいね藤崎さん。こんなに早くここまで打てるようになるなんて。」

「ああ、マジでどうなっているんだ。前回はここまでじゃ。いや・・・・・・」

えへへへ、この二人に褒められるのは正直うれしい。

ヒカルに三谷君が増えたので三面碁で打ってもらう。相変わらずヒカルは強い、ここまで来ても5子おいて勝てる気がしない。

でも、今まで以上に手ごたえがあった。確実に成長していることが分かるのは本当にうれしい。

 

 

 

 


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