ヒカルの傍観者   作:dorodoro

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第16話

学校は新学期を迎えた。

囲碁部もみんなでポスター貼ったりと忙しくなってきた。

勧誘活動はポスターぐらいしかできることがない。

やはり、囲碁の地味さも相成って人はなかなか来ない。

大会も直前ということもあって、みんなで力を高めるために今は少しでも多く打たないと。

「女子は良いよな。男子は俺と三谷だけだもんな。」

女子陣は、今回は金子さんも来てくれるとのことで団体戦にも出られる。

個人戦は私の体のこともあって、今年は出ない。万が一団体戦に体調崩して出られなくなるとみんなに迷惑がかかるし。

「まだ、一ヶ月だし分からないよ、新しい人が来てくれるかもよ。」

と噂をすると理科室の扉が開く。

入ってきた彼は、小池君というらしい。囲碁部に入部してくれるとのことで男子も団体戦に出られるようになった。

 

 

金子さんも囲碁の練習に専念してくれるとのことで、六人で打つ。

始めは三谷君と私で男女に分かれて2面打ちとかしていたのだけど。

三谷君と金子さんの相性が良いみたいで、良く二人で打っている。

始めは金子さんが石を五つ置いていたけど今では三つに減ったようだ。

特に金子さんは勘が戻ってきたのか、めきめき目に見えて強くなっているのが分かる。

 

私は2人が打っているときは3面打ちすることもあれば、検討に加わったり昔の棋譜を並べたりいろいろやっている。

ときどきこっそり棋譜を並べているとか言って幽霊と打ったりしている。

他の三人は目に見えて強くなるというほどでもないけど、強くなっているような気がする。

やはり、みんなで目指す団体戦は良い。この優勝目指す一体感が部活動の最大の良いところだよね。

 

 

家に帰っても囲碁尽くしだ。今までは相手がいなかったけど今はこの幽霊がいる。

そろそろ、幽霊と呼ぶのも微妙なのでニックネームとか付けたほうが良いかなぁ。

うーん、犬みたいに後ろについてくるからポチとか?背が高いからノッポさんとか?

うーん、流石に見た目は良い大人だし、ポチは失礼だよね。

結局しっくりくる名前を思いつくまで保留にすることにした。

囲碁を打っていると母が良い顔をしないのでノートなどを利用してこっそりと打つ事が多い。

何度打っても、どこかヒカルの面影のある碁を打ってくる。

本当に不思議だ。

 

研究会でも団体戦の話が少し昇った。

アキラ君もそこでの一局を再度検討しようという流れになって並べたりしていた。

うーん、何でヒカルはこんなにうちミスしたりしないのだろうか。すべての手が完璧に見えるから不思議だ。

と思っていると若獅子戦の話題になる。なんとヒカルが1回戦で負けたらしい。

その棋譜も並べてもらう。なんとも面白い碁だがヒカルらしくない拙さが見える碁だ。

「彼はいったいどうしたのだろうね。」

みんな不思議がっている。

アキラ君も戦えないのが残念というより戸惑っているようだ。

本当にらしくない碁だけど、不思議と魅力的な内容だった。

 

そんなこんなで、できる限りのことをみんなでやりきり大会を迎えた。

 

 

 

 


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