ヒカルの傍観者   作:dorodoro

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第13話

もうどうしたらいいのか分からない。

囲碁が禁止されちゃうし。

医者の先生は、対局をできるだけ少なくして様子を見ましょうといってくれていたのに

お母さんときたら囲碁が悪いみたいに。

囲碁の本とかも捨てられそうになったので囲碁部にとりあえず移動させた。

こうなったら、

          (私のターン!ドロー!お父さんを召還!)                  

お父さんを召還。昔スポーツのプロを目指すほどがんばっていたから分かってくれるはず。

私としては、持っている唯一のカードといっても良かったんだけど・・・・・・。

お母さんは強し。お父さんにしてはかなり粘り強く説得してくれていたのだけど。

とりあえず、一週間様子見ようということになった。

 

昔だったら普通に守れただろう。でも今の私には無理だ。だって、こんな近くに良い対局相手がいるのに対局しないとか無理です。

ただ、隠れて打っているのにも罪悪感が沸く。いや、でも打ちたい(以下無限ループ)

 

こんな状態なので学校へ行っても張り合いがない。

周りから元気がない、顔色が悪いと心配されてしまった。

学校も終わり、部活動にもでられないので

はぁ。とため息をつきながら帰宅の道に付いた。

 

帰り道、今日は一段と寒いなと思いながら帰っていると横にスポーツ車が止まる。

「そこの君、ちょっといいかい?」

 

うん?私?

振り返ると、おお、碁会所のおじ様が降りてくるではないかって・・・。

無理やり車に乗せられる。

「時間ちょっといいか?」

無理やり乗せる前に行ってください。そういうことは。

まあ、友達の家に行ったとでもいっておこう。仮にもあの碁会所で先生と呼ばれていたのだから怪しい人ではないだろう。

見た目は怪しいけどね・・・・・・。

 

内容としては思ったとおり、この間の対局で対局中に倒れてしまったからそれについての謝罪と

非常に魅力的な碁だったのでこのおじ様(緒方さんというらしい)研究会に来ないかというお誘いだった。

厳つい格好のわりに、丁寧に話してくれたので、私の家での現状をつい話してしまった。

 

「なるほど、それなら力になれるかもしれない。」

 

緒方先生がわざわざ家に来てお母さんの説得を行なってくれた。

なんでも、似たような症状を抱える人が稀にいるらしく、そのエキスパートの先生を紹介してくれるなど説得してくれた。

母も最初は、あなたのせいでなど、なかなかひどいことを言っていたが、最終的には緒方さんがプロということもあり、納得してくれた。

正直こんなにすんなり事が運ぶとは思いもしなかったので、緒方さん(先生と呼ぶべきか?)には、感謝しきれない。

改めて御礼を言うと、「自分のためだ。」と言ってきた。まあ、打っている相手が倒れたなんて醜聞だしね。まして相手は若い女性だし。

とはいえ、私としてはどうにもならない状況が続く可能性が高かったため感謝してもしきれない。

加えてお世辞なのか、緒方先生が期待しているということも言って下さり、加えて研究会の参加の許可までもらえた。

 

うん、まあ、パタパタ付いてくる幽霊が出てきてから雑音もほとんどしないし体調も悪くならない。

ひょっとしたら、ここ最近では一番いいのではというくらい体調が良くなったので、どんどんばれないように打ちたい!

あ、囲碁盤とかも無事に帰ってきました。やったね。

 

 

 

 


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