雲は遠くて   作:いっぺい

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22章 メジャー・デヴュー・パーティ ー(3)

22章 メジャー・デヴュー・パーティ ー(3)

 

「実は、悠太さん、おれも、彼女たちには、

ビートルズの再来(さいらい)のような、あの爆発的な、

パワーというか、エネルギーというか・・・、

不思議というしかないような、

新鮮(しんせん)さを、感じているんですよ!

それで、自分のセンスを信じて、

メジャー・デヴューの話を、清原美樹さんに、してみたんです。

ほかの会社に、先を 越(こ)されては、

たまりませんからね。モリカワ・ミュージックも、

先手必勝(せんてひっしょう)が、社訓(しゃくん)ですし」

 

そういって、森川良も、声を出してわらった。

 

スポット・ライトも 華(はな)やかな、ステージの、

清原美樹が、会場のみんなに、語りかける。

 

「わたしたちに、どこまで、できるか、わかりませんが、

これからも、メンバー全員で、精いっぱいに、がんばります!

わたしたち、

G ‐ ガールズの音楽を、応援してくださる、すべてのみなさま。

早瀬田(わせだ)大学の、

先生のみなさま、学生のみなさま、

ミュージック・ファン・クラブ(MFC)のみなさま。

株式会社・モリカワのみなさま。

株式会社・フォレスト(Forest)のみなさま。

島津 楽器店(しまづがっきてん)のみなさま。

今回、お世話になった、

レコーディング・スタジオ・レオのみなさま。

ほんとうに、ご声援や、ご支援を、ありがとうございます!

きょうは、精いっぱいの、パフォーマンスで、

みなさまに、楽しんでいただける、ライブをします!」

 

清原美樹が、そういって、挨拶(あいさつ)を終(お)えた。

 

会場は、拍手(はくしゅ)と、歓声(かんせい)が あふれる。

 

「彼女たち、第2の、ビートルズになるかもしれませんよね。

半分、冗談(じょうだん)で、半分、本気(ほんき)で、

わたしはいっているんですけどね。あっはっは」

 

島津悠太(しまづゆうた)は、楽しげに、そういって、

わらうと、1杯目(いっぱいめ)の生ビールを飲み干(ほ)した。

 

「悠太さん、モリカワの企業目的のひとつも、世の中に、良い変化を

もたらすことですから、彼女たちが・・・、

ビートルズのようなロックバンドに成長してくれるのなら、

それほど、うれしいことは、ちょっと、ないですね!」

 

そういうと、森川良は、ドライ・ジンがベースのカクテル、

マティーニを飲む。

 

森川良は1983年生まれ、12月で30歳。

島津悠太も、1983年生まれ、8月で30歳。

ふたりは、ほとんど、同じ歳でもあり、気も合う。

 

「良さん、ちょっと、ご相談があるんですが・・・」

 

森川良の左隣(ひだりどなり)にいる、

松下陽斗(まつしたはると)が、そういった。

 

「ははは。どんなお話ですか?陽斗(はると)さん」

 

「彼のことなんですが」と、陽斗は、となりの席の、

山内友紀(やまうちともき)を見て、話をつづける。

 

「友紀さんは、トランペット奏者として、デヴューすることが、

ひとつの夢なんだそうです」

 

そういって、陽斗は、ひとつ上の先輩(せんぱい)の

山内友紀(やまうちともき)のことを、森川良に語る。

 

山内友紀(やまうちともき)は、1992年の

10月10日生まれ、21歳になったばかり。

 

松下陽斗(まつしたはると)は、

1933年2月1生まれで、20歳である。

 

ふたりは、東京・芸術・大学の音楽学部の3年生で、

陽斗は、ピアノ専攻、友紀は、トランペットの専攻であった。

 

≪つづく≫


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