雲は遠くて   作:いっぺい

232 / 289
136章 ≪カフェ・ゆず≫で歓談する、G ‐ ガールズ

136章 ≪カフェ・ゆず≫で歓談する、G ‐ ガールズ

 

 2月3日の土曜日、午後2時を過ぎたころ。

 

 朝から曇り空。北北東の風で、最高気温は8度と寒い。

 

 ≪カフェ・ゆず≫に、ロックバンド、グレイス・ガールズ (愛称、G ‐ ガールズ)の

メンバー全員が集まっている。次ぎのアルバム作りのためのミーティンングも兼(か)ねている。

 

 清原美樹(きよはらみき)は、バンドのリーダーで、キーボード、ヴォーカル。

1992年10月13日生まれ、25歳。

早瀬田(わせだ)大学、教育学部卒業。外食企業・モリカワ本社に勤務。

 

 大沢詩織(おおさわしおり)は 、ギターとヴォーカル。

1994年6月3日生まれ、23歳。

早瀬田大学、文化構想学部卒業。外食企業・モリカワ本社に勤務。

 

 菊山香織(きくやまかおり)は、ドラムとヴォーカル。

1993年7月26日生まれ、24歳。

早瀬田大学、商学部、卒業。外食企業・モリカワ本社に勤務。

 

 水島麻衣(みずしままい)は、ギターと、ヴォーカル。

1993年3月7日生まれ、24歳。

早瀬田大学、商学部卒業。外食企業・モリカワ本社に勤務。

 

 平沢奈美(ひらさわなみ)は、べースと、ヴォーカル。

1994年10月2日生まれ、23歳。

早瀬田大学、商学部卒業。外食企業・モリカワ本社に勤務。

 

 ≪カフェ・ゆず≫は、小田急線の下北沢駅の西口から歩いて2分、世田谷区北沢2丁目にある。

 

 一軒家ダイニングで、店内は、16席のカウンター、4人用の四角いテーブルが6つ、

キャパシティーは40名だ。店の前には6台分の駐車場がある。

 

 ミニライブができるステージもあって、YAMAHAのアップライトピアノが黒く光(ひか)る。

 

≪カフェ・ゆず≫の女性のオーナーは、高田充希(たかだみつき)で、

人気の女優で歌手でもある、高畑充希(たかはたみつき)に名前も容姿(ようし)も似ていると、

下北沢では評判だ。

 

 その高田充希(たかだみつき)は、1993年3月14日生まれ、24歳。

≪カフェ・ゆず≫は、親のが所有する土地にあった家を改装して、

去年の2017年の8月1日に開店したばかりだ。

 

「けどけど、G ‐ ガールズのみなさんって、同じ大学の卒業で、

同じ会社のモリカワさんの、それもこの下北沢の本社に、

みなさん、お勤(つと)めてっていうのは、

すっごく、珍(めずら)しいことよね。うっふふ」

 

 テーブルに紅茶やコーヒーを運びながら、オーナーの充希(みつき)は、

そう言って、みんなに微笑(ほほえ)んだ。

 

「そうなんですよ。運命的なくらい、不思議な感じもします。ねえ、みんな。あっはは」

 

 大沢詩織がそう言って笑う。

 

「まあ、よく考えてみると、わたしたちがみんなモリカワに就職しているのは、

社長さんのご次男でもある森川純さんのリクルート力(りょく)、

その熱意があったからかしら?」

 

 清原美樹はそう言って微笑み、温かい紅茶を飲む。

 

「純さんは、わたしたちのミュージック・ファン・クラブの良き先輩だしね。

お人柄もすばらしいし、男らしいし。

そんな純さんとお付き合いしている香織ちゃんが羨(うらや)ましいくらいだわ」

 

水島麻衣はそう言って、菊山香織に微笑(ほほえ)む。

 

「あら、まあ、純さんは、きっと今ごろ、くしゃみしているわね。あっはは。

でも彼って、わたしから見ても、なんていうのかなあ、フェアというか、公平というか、

バランスがいいというのか、信頼できる人なのよね。

お付き合いし始めてから、5年くらい経つんだけれど。

そんな誠実さは、変わらない人だわあ。うふふ」

 

 菊山香織は少し照れて頬を紅(あか)らめながら、そう話した。

 

「それはそれは、ごちっそうさま!あっはは」

 

 平沢奈美は、そう言って無邪気に笑う。

 

「純さんもだけど、信也さんとか、あとクラッシュビートのみなさんも全員だけど、

フェアだし、公平だし、バランス感覚もいいし、さすが、音楽やっている男性たちって感じで、

好感持てる人たちばかりよね。だから、自然とモリカワに集まっちゃうのよ、きっと」

 

 清原美樹はテーブルのみんなを見ながらそう言って微笑(ほほえ)む。

 

「モリカワの経営理念は、『会社経営はシンフォニー≪交響楽≫!

みんなで力を合わせて、愛にあふれる、美しいハーモニー≪調和≫を奏(かな)でよう!』ですけど、

わたし、この経営理念が大好きなんです」

 

 みんなの話を聞いていた、オーナーの高田充希が子供のような笑顔でそう言った。

 

 「わたしも大好きです!とても芸術的な経営理念だわ!」とみんなも口々にそんなことを言った。

 

 店内は女性たちの明るい笑いに包まれた。

 

≪つづく≫ --- 136章 おわり ---

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。