バカとその後と恋愛模様!   作:八百六十三円の片道切符

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バカと来訪と勘違い

バカテスト

国語

 

先生が家にくる。

 

を敬語にしなさい。

 

姫路瑞希の答え

先生が家にいらっしゃる。

 

教師のコメント

そうですね。問題ないでしょう。

 

吉井明久の答え

お先生がおうちに、おくる。

 

教師のコメント

お、をつければいいというものではありません。

 

 

島田美波の答え

先生。ウチの家に…こないかしら。

 

教師のコメント

行きません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、次の日の朝である今朝には、みんな揃って、さらりと退院したんだけど。

 

 

なぜか姫路さんが心配して、病院に来てくれて、そのまま家まで送ってくれた。

そして、そのまま姫路さんに、テスト勉強を…させられて…地獄だっ‼︎

 

雄二たちにも来て欲しいんだけど、雄二は霧島さんに再び殺されかけてるだろうし、ムッツリーニは鼻血多量で、貧血だろう。秀吉は、木下さんに、病み上がりなのに雑用させられるらしい。

 

最初は、また2人きり⁉︎なんて思っていたけれど、

 

病み上がりに勉強はとても辛い。

 

 

 

 

そうして勉強をしていると、ぴーんぽーん、とアンニュイな音が鳴る。誰かが来たみたいだ。

まさか⁉︎姉さん⁉︎そんな…姉さんは、まだ帰ってこないはずだ。

 

 

姉さんなら、閉め出すことを考えなければならないから、一旦覗き穴から外を見る。

 

「…って、美波…と誰…?」

 

見ると、美波と女の人が立っていた。

 

そういえば、倒れていて忘れていたが、美波のお母さんが

あいさつに来るとか言っていた気がする。

って、ことはこの人が美波のお母さん⁉︎そうなると、あまり待たせるわけにはいかない。

と、とにかく開けないと!

 

「はい。こんにちは。」

 

美波のお母さんがあいさつにきて、中には姫路さん…

 

なにかとまずいよね⁉︎

「こんにちは。あなたが吉井くんですか?」

「えーっと!美波⁉︎中に姫路さんなんかいないよ?」

 

「もしかして、あんた、こんな時間から瑞希が中にいるの?」

 

違う!違うんだ!それは、昨日の姫路さんの特性ソースの塗られたフルーツのせいで…

 

 

「美波!瑞希ちゃんていうのは?」

 

「お母さん、勘違いしてるかもしれないけどアキとウチは別にそういう関係じゃないのよ?」

 

 

「じゃあその瑞希ちゃんが吉井くんの彼女さん?だったら泊めてもらうなんてイケないんじゃ…」

とてつもなく勘違いを生んでいる⁉︎姫路さんは、決して僕の彼女じゃないし…。

というか美波が関節技を決めてこないのはやっぱり少しおかしい。

 

はやくなにか言い訳を…

 

 

 

「えーっと…その…姫路さんは親戚のお姉さんなんだ!!」

とんでもないことを言ってしまったかもしれない。

 

 

 

 

(ちょっとアキ!どういうつもりよ?)

(姫路さんは僕の彼女じゃないし、なにか言い訳を.と思ったら…とにかくあわせてくれない?)

(どうすればいいのよ?)

(ひ、姫路さんには今から説明してくるから上がっていいよ!)

(ちょっと!アキ⁉︎)

 

リビングに駆け込み姫路さんに、

 

 

「僕の姉さんになって!」

うん。誤解しか産まない発言だ。

「え⁉︎えっと…私が玲さんに…って、どういうことですか?玲さんみたいに、毎朝キスをせがむ…とか…」

姫路さんは、なにを言ってるんだろうか。

 

「美波のお母さんが来て、焦って、姉さんになって!」

 

支離滅裂とはこのことだろう。

 

「あ、昨日言ってた…美波ちゃんのお母さんが来たんですか?」

なんとか伝わったらしい。

 

「そうなんだけど、姫路さんのことを親戚のお姉さんだ、って言っちゃって。」

「美波ちゃんにみられたくなかったですか?こんな状況…」

姫路さんがうつむきながらこちらに伺ってくる。

考える間もなく、

「当たり前だ!!」

だって命がないから。

 

 

 

「…そんなに美波ちゃんのことを…」

そんなことを言っている場合じゃないのに!

 

「とにかく僕のお姉さんの真似ごとをしてくれない?名前は、そのままでいいから!今度、なんでもするから!」今は急ぎなのだ。

 

「ほんとですか?なら、…やります!玲さんの真似!」

 

え?

姉さんの真似?

 

 

 

 

 

最大にして、最悪の誤解を生んでしまった。

 

 

「美波、はいってもいいって?」

「うん!こっちにお姉さんも待ってくれてるみたい。」

美波と美波のお母さんが近づいてくる。

美波が一生懸命誤魔化してくれているようだ。

扉が開いて、美波のお母さんが姫路さんに頭を下げる。

 

 

「こんにちは。吉井くんのお友達の島田美波の母です。」

 

すると、姫路さんは

「ど、ど、どうもー!吉井明久の姉の瑞希ですっ!!」

 

とてもテンパっていた。

 

「あら実のお姉さんなのかしら?」美波のお母さんがもっともなことを言う。

さっき僕は姫路さん、と呼んでしまったからだろう。

 

「姉さんは、親戚なんですけど、実際の姉みたいに可愛がってもらってて…」

これは、うまい切り返しができた。

 

「そ、そうですね。アキくんは、姉さんの可愛い可愛い弟です。」

やばい。姉さんのいいそうな事そのままだっ!

 

 

「そうですか。仲が良くていいですね。」

「あ、あり、ありがとうございます。その証拠に…毎朝こうやって、キスを…」

「してない!そんなことはしてません!」

姫路さん⁉︎そんなとこ忠実にしなくてもいいんだけど⁉︎こんなとこでキスの真似なんて恥ずかしすぎるよ!美波にも見られてるし…

 

 

やはり

姉さんの真似は危険度が、3ヶ月ほど前に通り過ぎてった台風5号並みだっ!

 

 

「ほんと仲が良いんですね。」美波のお母さんが柔和に笑っている。

よかった。まだギリギリセーフらしい。

「い、い、いえ、私とアキくんの仲は、もっと深くて、毎晩一緒に…」

やめて!傷口を広げないで!そこは忠実に再現しないで!

 

「姉さん!おふざけはおいておいてよ。」

 

「ほんと仲が良いわね。」美波がフォローに参加してくれる。なんとかなってくれそうだ。

 

「今日は、泊めていただいていた間のお礼に来ました。」

「そ、そ、そんな…たいそうなことをしていませんし、アキくんも嬉しそうでしたしね。」

 

「なっ!そんなことない…」とまで言いかけてやめる。

実際楽しかったし、わざわざ嘘をつく必要もない。

「美波は、少し人あたりが強いから心配だったんだけど…」

 

「それは、もう!3日間で、2ケタ以上の骨がおられるほどで!」

「アキ?何の話かしら?」美波の目が僕におどしをかけてくる。

 

 

「昨日食べた魚です。」

ちなみに昨日は、倒れていてなにも食べていない。

 

「美波、話をそらさないでくれる?」

「うぅ…はーい。」美波が母の言葉におとなしく従う。

 

「これつまらないものですが、どうぞ。」

美波のお母さんが手に持っていた荷物を姫路さんに、さしだす。

「あり、ありがとうございます。明久…アキくんと仲良くポッキーゲームをしながらいただきますね。」

 

なんで、ポッキーゲーム⁉︎

 

しかもこれたぶんタオルケットだよ?

 

 

「今、お茶いれますんで…」僕はいたたまれなくなったその場を逃げるようにキッチンへ行く。

すると、美波がついて来た。

そして小さな声で…

(ちょっと!アキ、なんで瑞希が玲さんの真似をしてるのよ?)

(伝え方をまちがえたみたいで…)

(ほんと…合わせるのも限界があるわよ?)

(ごめんね…)

(それより、瑞希と仲良くやってるみたいね。)美波がそんなことを言い出す。

(そんなことないよ。姫路さんは、昨日の罪滅ぼしに来てくれただけだよ。)

(大変ね。あんたも。)

(ははは…)

 

お茶をいれて、姫路さんと美波のお母さんのところに戻る。

 

「は、はい。そしたら、アキくんが大胆にもカラダを…」

 

いったいなんの話をしてたの⁉︎

 

 

そんなひどい内容の会話をしている時、もう一度チャイムがなる。

僕が席を外して、玄関を開けると…

「おーっす。明久!」

突然雄二がやってきた。目的は、霧島さんからの逃走だろうか。

面倒臭い時に!!

 

「雄二!ちょっと聞いてくれる?」

「なんだ?勉強か?」

そんなわけがない。

 

「今、美波のお母さんが来てて……」

雄二に現状を説明する。

 

 

 

「全く…。どうやったら、そんなことになるんだ。」それに関しては、コメントのしようがない。

 

「すいません。明久の友達の坂本…」

「坂本くん!もう大丈夫なんですか?」

「あら、お姉さんのお知り合いなんですか?」ま、まずい!姉さんの知り合いということになってしまった。

 

 

「雄二は僕の…」

「坂本くんは、知り合いなんです。」

姫路さん、演技するの忘れてない⁉︎

 

こうなったらごまかすしかない。

 

 

 

 

 

「えーっと…この人は、その…姉さんの恋人なんだ!」

「はぁ⁉︎」

 

大変なことを言ってしまった。

 

 

「そ、そ、そうなんです!坂本くんは、その…私の運命の人なんです!」

 

ナイス!姫路さん。

 

ごめん。雄二。寿命が92年縮まっちゃったね。(即死)

 

 

 

「そうなんですか。ご結婚とかはお考え?」

 

「「結婚⁉︎」」

「その様子じゃあまだみたいですね。とってもお似合いだと思いますよ?」

 

雄二の野郎!霧島さんだけでなく姫路さんとまでお似合いと言われるなんて。

 

 

コロしてやろうか。

 

「結婚という単語だけは聞きたくなかった…。」

雄二が呟いたその言葉にはとても重みがあった。

 

 

「待ってますよ?坂本くんの好きな女の子が。」

姫路さんがなにか含みを持たせて呟く。

「うるせぇ…。」と、雄二は一言だけぼそっと呟いた。

 

 

 

そんな話をしていると、これまた再びチャイムがなる。

この最悪な状況で誰なんだ、と思いつつ扉を開けると、ムッツリーニと霧島さん、工藤さんがたっていた。

「…雄二に呼ばれた。」

 

 

「…雄二が浮気している気がした。」雄二!逃げて!はやくここから逃げて!

「代表といたら、代表が突然吉井君の家に行くって言うから…」

「理由はそれだけ?」

それだけじゃないことなんか最近の2人を見てたら分かるんだけど。

 

「…愛子も正直じゃない。」

「ムッツリーニくんは、関係ないってば!」

「誰もムッツリーニだなんて言ってないよ?」見てると、少し意地悪してやりたくなる。

 

「むぅ。そんなことはいいでしょ!」

「…吉井。とにかくいれてくれる?」

「それが実は今美波のお母さんが来てて…」

事情を3人にも説明する。

 

 

とりあえず3人を連れて、リビングに向かう。

「しょ、翔子!」

「…雄二。どういうこと。」

「…修羅場。」

「えへへー。なんか場違いだねー。」

 

「坂本さんの知り合いなんですか。」美波のお母さんが尋ねてくる。

すると、霧島さんが

「…雄二は私のもの。」

「えっーと…それはどういう意味で…」

「こ、この人はこいつの元カノです!」

 

雄二をさして、高らかに宣言をする。

「元カノ…では、あちらの方々は…?」

 

みると、工藤さんとムッツリーニがエロ談義に花を咲かせていた。

 

なんてことをしてるんだ!保健体育コンビは。

 

「あ、あの人たちは、この人の子どもたちです…」

今度は、霧島さんをさしていう。

 

もう嘘をつくネタがつきてきた。さすがに苦しすぎるっ!!

 

「…雄二。瑞希のほうがいいの?」

「待て!翔子!これには事情があって、だなぁ…うぎゃあああ!」

「大丈夫ですか⁉︎坂本くん!」

 

 

 

「なんていうか…修羅場ね。」美波のお母さんの顔が半分引きつっている。

美波も呆れ顔だ。

 

どうしてくれるんだ!

 

その時、また玄関のチャイムが鳴って、開けると見慣れた女の子が2人立っていた。

 

「こ、これは!!…秀吉が倍増してる…?やったー!Fクラスのために、分裂してくれたんだね!」

 

 

「明久よ。一度頭の中を見てもらうと良いぞ。ワシは、雄二がなにやら呼んでいたので、来たのじゃが…」

 

「秀吉の分身なんて失礼ね。代表がいるっていうからアタシも来たんだけど…良かったかしら?」

僕は、正常な思考力はすでに喪失してしまったらしい。

たしかにこれは、喋り方からしても、仕草からしても…

「なんだか男っぽいと思ったら、木下さんか…関節があらぬ方向に曲がって、ふらいあうぇーいぃ!!」

 

「なにか言ったかしら?」

 

「いいえ。これっぽっちも。」

僕の周りの女の子は暴力しかふるわない。暴力をふるわないのは、工藤さんぐらいだ。

 

 

「姉上。そのへんにしてやってくれぬかのう?」

「黙りなさい。あんたもされたいの?」

「明久。姉上とくっついて楽しそうじゃのう!」

秀吉⁉︎僕を見捨てたよね!今見捨てたよね!!

 

「か…微かにむ、胸の感触が…」

そういうと、木下さんははっとしまように僕の腕を離してくれた。

 

 

「と、とりあえず入れてもらえる?」

なぜか顔を真っ赤にした木下さんがいう。

「うん。でも、実は、今…」

2人にも事情を説明する。

 

「それは大変じゃのう。」

「どうやったらそんなことになるのよ。」木下さんが呆れた顔で呟く。

 

そして、2人を連れて、リビングに戻ると、

「秀吉!たすてけ…」

雄二が机に埋められていた。

 

 

 

「あら、また新しい人かしら?とっても可愛い姉妹ね。双子かしら?」

 

「ワシは男なのじゃが…」

 

「秀吉!いいから助けろ!」

 

「…木下。雄二は渡さない。」

 

「そうですよ。木下くん…明久…アキくんだけじゃなくて、坂本くんまでなんて…」

まだ姫路さんが姉さんのふりをできていると思って、やっていることに驚いた。

 

「お主ら、正気か⁉︎」

 

「えーっと…この人たちとはどういうご関係で…」

まずいことになったじゃないか!

 

「えーっと…この人の育ての母と父なんです。」雄二を再び指さしていう。

 

 

「な!お主なんてことを…」

「ねぇ、今アタシの方を父としたわよね?」木下さんがなにやら怒っている。

「秀吉、とりあえずこの縄を…と、取れない!」

「仕方ないのう。霧島よ。雄二の血管がそろそろ限界じゃ。」

「…ならこれで。」手にはスタンガン。正気の沙汰ではない。

 

「ぎゃあああああ!!」

 

雄二の声とともに再び喧騒に包まれて行く。

 

 

「はぁ。全くなにやってるのよ。」美波がため息まじりにいう。

 

「ほんと…どうしよう。」

 

ほんとうにどうしよう。

 

 

 

「お母さん!もう用が済んだなら帰ろう?葉月も待ってるし。」

「そ、そうね。取り込み中みたいだし…」

美波が帰る方向にもっていってくれる。少し申し訳ないが、この状況を見せ続けるよりは、マシだ。

 

 

「ほんと…重ね重ねありがとうね、吉井君。」

「いえ。気にしないでください。気をつけてお帰りください。美波もね。」

「分かってるわよ!アキもあいつら…なんとかしなさいよ?」

 

「それは、無理かもしれない。」

戻ったら雄二が死んでいたらどうしようか。

 

そうして、美波たちを送り出して、リビングに戻る。

 

すると、やはりまだまだ喧騒が続いていた。

そんな中から、姫路さんが抜け出してくる。

 

「翔子ちゃんにはかないません…。」

雄二が関われば、誰でもかなわないだろう。

「雄二に悪いことしちゃったかな。」主に生きられるかの方向で。

 

 

 

 

「明久くんは…私が本当にお姉ちゃんだったらどうですか?」

姫路さんが突拍子もなく、そんなことを聞いてくる。

「姉さんという存在そのものがイヤなんだ。」本当に。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ……私が坂本くんの彼女っていうのは…明久くんは、イヤでしたか?」

 

今度は少し真面目な顔で、そんなことを聞いてくる。

「それは…イヤ、かな。雄二には霧島さんもいるし…それに…」

 

「それに…?」

姫路さんが期待するような目で見てくる。

 

「姫路さんは…。」

 

答えられなかった。言えなかった。なぜ言えなかったか、は分からないけれど。

 

 

「そうですか…。でも…今はそれだけで…いいです!変なこと聞いてごめんなさい。」

にこっと笑う姫路さんの笑顔が僕には眩しすぎた。

 

「そんなとこでなにしてやがる。助けろ!明久!」

 

「仕方ないね。僕の責任もあるしね。」

 

 

 

 

 

 

 

その日、その場を収めるのに2時間ほど費やした。

 


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