Jumper -IN CHRONO TRIGGER-   作:明石明

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どうもこんにちわ、給料日前となったことで日々の昼食が貧相になった作者です。

さて、番外編第1話シリーズの第2作目です。
今回は皆さんおなじみリリカルなのはの世界に行ってしまったら? という話の第1話(仮)となっています。
始めて竜の里へ向かうときのゲートが時の庭園だったということになっています。
中途半端に切っているので不自然に感じるかもしれませんが、ご了承ください。




その2「もしも尊たちがリリカルなのはの世界に迷い込んだら(仮)」

 プテランに騎乗しロボが教えてくれたデータを頼りに移動すること十数分。俺たちは問題となった謎のゲートへとたどり着いた。

 今までのゲートが青っぽいものだったのに対し、これは緑っぽいものだ。記憶を掘り返してもこんな物は見たことがなく、どこに通じているのかも検討がつかない。

 

 

「どうした? わからないなら行く。違うか?」

 

「……そうだな。わからないから調べに来たんだもんな」

 

 

 エイラの言葉に頷き、先陣を切ってゲートに触れる。今までのゲートと似たような浮遊感を感じるが、これはどちらかと言えばジールにいたころのものに近いか?

 そんなことを考察していると、やがて体が海底神殿の通路を髣髴させる場所に降り立つ。

 

 

「なんだか……良くない雰囲気ですね」

 

「確かに。まるでどこかの研究所みたいだ」

 

「――ん? ミコト、みろ」

 

 

 エイラに肩を叩かれ振り返ると、そこには大きなシリンダーに入った少女がいた。

 

 

「なんだ、この子は」

 

 

 シリンダーに繋がれたコードの先には病院で見るような心電図が設置されており、規則的な音を上げている。

 これは……生きてはいるが、一種の植物状態のようなものか?

 意識が回復してなくてこの中に入っているのならその可能性も納得できるが……ふむ、アレを試してみるか。

 

 

「サラ、エイラ、少し離れてくれ。この子を起こせるかもしれない」

 

「起こせるって、大丈夫なんですか?」

 

「少なくとも、害のあるものじゃない。効果は知っているが、今まで試す機会がなかった魔法を使うだけだ」

 

 

 シリンダーに手をかざし、対象を定めながらそれを唱える。

 

 

「……『レイズ』」

 

 

 手のひらから淡い光が放たれ、少女を包み込む。その時――――

 

 

「――――私のアリシアに触れないで!!」

 

 

 

 

 

 

 プレシア・テスタロッサは自分の研究室で、ある目的を確実に達成させるための研究をしていた。

 先ほど手駒の少女に回収するよう命じた代物。それがあれば自分の願いが叶うと信じて――否、叶わなければおかしいと狂信していた。

 

 

「あぁ、待っていて……アリシア」

 

 

 愛おしい娘の名を口にし、病魔に侵された身に鞭を打って理論を組む。そんな中、一つの端末から侵入者を知らせる警報がけたたましく鳴る。

 鬱陶しそうに眉を寄せながらさっさと場所を特定し、傀儡兵に始末させようと端末を操作する。

 

 ――誰だか知らないけど、私の邪魔だけはさせないわ……見つけ、たッ!?

 

 だが侵入者の現在地を特定した瞬間、血の気が一気に引いた。

 そこは自分にとっての聖域、何物にも変えがたい肉親が眠る場所だ。そんな場所に傀儡兵など送れるわけがない!

 周りの研究成果などお構い無しに部屋から飛び出し、デバイスを起動しながら直通の転送ポートを使いそこへ急行する。

 

 

「――――私のアリシアに触れないで!!」

 

 

 到着と同時にデバイスを突き出し、シリンダーに最も近い男へ警告する。

 男はプレシアの出現に驚いて目を丸くしたが、シリンダーの近くにいるのは不味いと判断しすぐ後ろにいる女性たちのところまで下がる。

 男が安全圏まで下がったところで、間髪いれず拘束用のバインドを施し自由を奪う。

 

 

「な、なにをするんですか!?」

 

「どうやってこの場所に来たのかは知らないけど、あなたたちには消えてもらうわ」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺たちは不可抗力でここに来たんだ、弁明の余地ぐらい認めてくれないか!?」

 

「関係ないわ。ここにあるものを見た時点で、あなたたちには消えてもらうしか選択肢が――」

 

 

 それ以上の言葉が続かなかった。

 なぜなら彼女の視界の端で――シリンダーの中で目を覚ますはずのない少女が目を開け始めていたからだ。

 

 

「……ま、まさか」

 

 

 呆然と声を震わせてシリンダーへ歩み寄り、デバイスを落としてそれに触れる。

 

 

「アリ……シア……」

 

「…………マ、マ?」

 

 

 その声を聞いただけでプレシアは崩れ落ち、感極まって涙を流した。

 何が起こったかなんてわからない。

 唯一つわかることは、最愛の娘が自分の元に帰ってきたということだけだった。

 

 

「泣いてる。けどアイツ、うれしそう」

 

「いえ、本当に嬉しいんでしょう。きっと目を覚ますのがありえないほどの状況だったのでしょうから」

 

「うまくいったことは素直に喜ぶべきなんだろうが、とりあえずこれ外して欲しいんだけど」

 

 

 バインドを施されたまま放置された三人は、拘束されたまま感動的なシーンに居合わせたことに複雑な心境を抱かずに入られなかった。

 

 

 

 

 

 

 俺たちはプレシア・テスタロッサと名乗った女性にひとまず別の部屋へ通され、傀儡兵なるものに囲まれたまま情報交換と相成った。

 シリンダーにいた少女、アリシア・テスタロッサ――二人の様子から親子と推定する――が精密検査を終えて休んでいる間に話を進めようとのことだ。

 

 

「単刀直入に聞くわ。 あの子になにをしたの?」

 

 

 高圧的な態度でそう切り出してきたプレシアに、俺は嘆息しながらも種明かしをする。

 

 

「俺の定義では蘇生にあたる魔法を使った」

 

「蘇生の魔法、ですって!? ありえないわ! 私がどれだけ調べてもそんな魔法は見つけられなかったのよ!」

 

「そういわれてもな……。事実、俺が使ってみせたわけだし。 サラ、レイズの魔法ってそんなにありえないものか?」

 

「いえ、使い手自体はジールにも複数いました。なによりレイズ系の魔法は意識を失った人を呼び覚ます魔法なので、死者に使用しても効果がありません」

 

 

 なるほど、あくまで生きている人限定ということか。そういう意味では今回は運が良かったわけだ……ん? じゃあレイズとアレイズの違いってなんだ? 意識が戻ったときの回復量の違いか?

 

 

「……あなたたち、一体何者なの?」

 

「何者、か……とりあえずプレシアさん。ラヴォス、ジール、ガルディア、ゲート。これらの言葉に心当たりは?」

 

「……いえ、特にはないわ」

 

 

 その答えで俺たちは納得し、自分たちがゲートという次元のゆがみを使い、別の世界から来た人間だということを明かす。

 最初は信じられないといった表情を作る彼女だが、急に考え込むような仕草をし、わずかな間を置いてこちらを見る。

 

 

「時空管理局、管理世界。これらの言葉に聞き覚えはあるかしら?」

 

「いえ、ありません」

 

 

 俺が即答すると、他の二人も知らないと回答する。それが納得できたのか、プレシアさんは小さく息を吐く。

 

 

「次元漂流者、もしくはまだ発見されていない世界の住人のようね……。いいわ、いろいろ教えてあげるわ」

 

 

 そこから一時間弱に渡り、プレシアさんによるこの世界についての講義が始まった。

 ちなみに俺やサラは話しの内容に強く惹かれたが、エイラは爆睡していたと明記しておこう。




というわけで、番外編第2作目でした。

何かクロスさせて欲しい作品があれば、活動報告の「Jumper -IN CHRONO TRIGGER- 意見箱」にお願いします。

次回の投稿は再び本編に戻りますので、今しばらくお待ちください。

それでは、また。

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