Jumper -IN CHRONO TRIGGER-   作:明石明

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どうもこんばんわ、OVAユニコーンガンダム第7巻をレンタルで見ようとしたら立ち寄った店がことごとく全滅していたという事実に打ちひしがれ、仕方なくあずまんが大王を借りた作者です。


さて、今回は本編から少し外れて作者の脳内に発生した妄想による番外編の第1話(未完)を投下します。
ちなみにこれは今後、第1話シリーズとして作品ごとに派生したものが投下される予定です。

こういうネタは以前から書きたかったのですが、本編に集中していたので構想だけになっていました。
今回、ラストまでの目処が立ったので息抜きがてら外伝を書くならこんなパターンをというのを書いてみました。
本格的に書きあげるなら本編が終了してからになりますので、「作者はこういうのも書いてみたいんだな」程度に思ってください。
無論、飛ばしていただいても本編には全く影響を与えません。

それでは、息抜き程度にどうぞご覧ください。



番外編第1話シリーズ
その1「もしも尊たちがDOG DAYSの世界に迷い込んだら(仮)」


「――――そういえばさ、この光の柱って何処に通じてるんだ?」

 

 

 時の最果てで一息入れている中、俺は誰に聞くでもなく尋ねる。

 初めてここに来たときからあるこの光の柱は俺の記憶にないもので、それが広場の一角に存在していることに今さならながら気になってきたのだ。

 

 

「そういえば……何処に繋がってるんだろ」

 

「確認したことはないのか?」

 

「ありまセンネ。ハッシュさん、何がご存知デスカ?」

 

 

 ロボが中央にいる老人に尋ねるが、彼も首を振るだけで何も答えない。というか長い時間をここで過ごしているはずなのに、これがどういうものかわからないってどういう代物なんだ。

 

 

「俺の記憶にもこんなものはなかったはずだからなぁ。 ……一度、調べてみるのもアリか。他に誰かついてくるか?」

 

 

 候補者を募ったところサラと魔王、クロノとマールとルッカが名乗りをあげる。移動についてはいつも通り俺を媒介にする組とゲートホルダーを使用する組に別れ、まず俺とサラと魔王が先行してゲートの先での安全を確保することに。

 不測の事態に備えて装備を確認し、サテライトエッジのチャージが溜まっているのも確認する。これで最悪、ヤバイ敵の正面に出たとしても脱出できる。

 

 

「じゃ、先に行ってくるから待っててくれ」

 

 

 そう告げて光の柱へ足を踏み入れると、いつもの浮遊感に包まれる。さあ、何処に繋がっているのやら。

 期待に胸を膨らませ、俺たちは導かれるままゲートを抜けた。

 

 ――――クロノたちが俺たちに向けて何か叫んでいたことに気づかないまま。

 

 

 

 

 

 

 尊たちが行き先不明のゲートで飛んでいくのを見送っていると、突然光の柱が消滅していくのをクロノたちは目撃した。

 今までこんな事態になったことがなかっただけにクロノたちは大いに慌て、必死で尊たちに呼びかけるも彼らはそのままゲートの先へと消えていった。

 

 

「き、消えちゃった!? ど、どうしようクロノ!」

 

「落ち着いてクダサイ! ゲートの反応はまだアリマス!」

 

「まだあるって……大丈夫なのか?」

 

「完全に消滅したというわけではないようデス。あの光が移動装置の役割を持っているみたいデスネ」

 

「……エレベーターみたいに一度使ったら戻ってくるまで使えない仕組みのようね」

 

 

 ロボの言葉を聞き、ルッカが自分の解釈を補足する。これが正しければ、昇降機が戻らない限りクロノたちは彼らの後を追えないということだ。

 

 

「気長に待つしかないな。だがまあ、大丈夫だろ」

 

「ミコト強い! サラも魔王も強い! 大丈夫!」

 

 

 カエルとエイラが言わんとすることを理解し、クロノたちもようやく落ち着きを取り戻す。

 

 

「……そうだな。あの人たちならきっと大丈夫だ」

 

「そうだね。じゃあ、帰ってきたらどんなところだったか教えてもらおっか」

 

 

 このまま待機するということで話がまとまると、一同はこれからどうするのか話し合おうと腰を落ち着けることに。

 

 ――――瞬間、光の柱だった場所が突然青白い光で満たされた。

 

 

 

 

 

 

「うーむ……。どうしたもんかね」

 

「どうしましょうか……」

 

「…………」

 

 

 ひっきりなしに耳に届く風を切る音を聞きながら、俺たちはそんな会話をしていた。

 単刀直入に言おう。俺たちは現在進行形で大空を落下中だった。

 何故、と考える必要はなかった。ゲートを抜けた先が、ただ空の上だったというだけだ。

 ただし相当な高さの場所から出たらしく、気分はちょっとしたスカイダイビングだ。パラシュートがないので完全に飛び降り自殺のそれと変らないがな。

 空を飛べる魔王ならサラを助けるくらいは可能だろうが、問題はこのままでは俺が大惨事を免れないことだ。

 一応手がないわけでもないんだが、どの道ぐんぐんと近づく眼下の大地へ激突するのは必至だ。気持ちとしても決していい感情は抱けない。

 

 

「けど、他にないか……。魔王、サラを頼む。俺は自力でどうにかする」

 

「どうにかできるのか?」

 

「かなりクレイジーな方法だが、出来なくはない。というか、一人でないと出来ない芸当だ」

 

「……了解した」

 

「ミコトさん、気をつけてくださいね」

 

「善処するよ」

 

 

 魔王がサラを抱え減速し始め、俺との距離がみるみる開いていく。

 

 

「『勇気』」

 

 

 俺はどんどん迫る地面に冷や汗を流しながら、この状況を打破できるであろう精神コマンド『勇気』を発動させる。

 このコマンドに含まれる『不屈』は最終ダメージを10%に軽減させる力がある。これを利用してダメージの軽減を図るのだが、これだけでは不安なのでさらに『集中』を付与して可能な限り勢いを殺せるよう体制を整える。

 ブーストアップがあればもっと確実だったが、『勇気』と併用できないため諦めるしかない。

 そして数秒後――――

 

ドシャアッッッ!!

 

 緑の勇者が高所から無傷で生還するかの如く、足から着地しつつ威力を殺しながらさらに前転。落下点が草原だったこともあり、うまく余計なダメージを負わずに済んだ。

 ヒモなしバンジーなんてもう怖くないね。

 

 

「ミコトさん! 大丈夫ですか!?」

 

「チッ、無傷か」

 

「聞こえてんぞ、コラ」

 

 

 服についた草を払い落し、改めて周りを見渡す。

 まず気付いたのが宙に浮く島と、薄紫色の空だった。

 島が浮いているという点で一瞬ジールかと思ったが、ジールが存在していた時代にこんな草原は元より、薄紫の空なんてクロノトリガーの世界でも見たことがない。

 

 

「……竜の里みたいな別世界、ってところか」

 

「その可能性は高いだろう。しかし、この大気に満ちている力はなんだ?」

 

「魔力……ではありませんね。もっと温かく、優しい力を感じます」

 

 

 二人の言葉を聞いて俺も魔力を集中して大気を感じる。確かにサラが言う通り、魔力ほど力強くはないが優しい力を感じる。

 

 

「ロボがいればセンサーか何かで測ってくれるんだろうけど、流石にゲートの出口があれじゃあな」

 

「そもそもどうやって戻る気だ? シルバードでも無理があるぞ」

 

「問題ない。サテライトエッジの力を使えば――――」

 

「あら?」

 

 

 サテライトエッジを取り出そうとしたところでサラが声を上げ、何事かと魔王と同時に顔を向けると俺たちは思わず言葉を失った。

 そこにいたのはなんかチョコボみたいな生き物に乗った二人の少年少女だ。

 少年は見たところ中学生くらいで、活発な印象を与える目と赤い服に金髪がよく映えている。

 そして少女も少年と同じくらいの歳のようで、ピンク色の髪と白と桃色を基調にした服が程よく似合っている。

 髪について俺たちは特に言及しない。金髪なんてそこまで珍しくはないし、俺の彼女は青い髪をしているからピンク色の髪なんて特に驚かない。

 ただ驚く要素があるとすれば、少女の頭には犬のような耳と同じく犬のような尻尾が生えているのだ。しかも動いている。

 ……まあ、喋るカエルや高い知性を備えたロボット、そして人外の生物たちを見てきた俺たちからすれば今さらなのかもしれないがな。

 ともかく、相手は子供だしこちらを警戒しているようならそれを解かないと面倒なことになりそうだ。ついでに、ここがどこなのか訊くとしよう。

 

 

「すまない。ちょっと尋ねたいんだが、ここがどこかわかるかい?」

 

 

 当たり障りのない質問を投げかけると、二人は一度顔を見合わせて近づいてくる。

 

 

「ここはビスコッティ共和国の領地です」

 

「……ビスコッティ、共和国?」

 

 

 全く聞き覚えがない国の名前だ。ダメもとでサラたちに目配せをすると、二人とも小さく首を振る。

 

 

「すまない、魔法王国ジール、ガルディア王国、この二つのどちらかに聞き覚えはあるか?」

 

「えっと……すみません。私にはちょっと……」

 

「あの、僕も……」

 

 

 二人の反応からこの名前を知らないのだと悟り、同時に答えが導き出された。

 

 

 

「やはり別の世界のようだな。これもラヴォスの影響か?」

 

「そこまではわからないが、少なくとも俺が知る流れには存在しない展開だな」

 

「とりあえず、こちらの素性を明かしましょう。子供とはいえ、黙ったままでいるのは失礼ですし」

 

 

 俺たちは一度頷きあい、チョコボもどきから下りた二人に向き直る。

 

 

「突然訊ねてすみません。私たちは旅をしている者なんですけど、ちょっと迷ってしまって」

 

「そうでしたか。あ、私はミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティと申します。このビスコッティ共和国の領主を務めさせていただいています」

 

「君が国の領主!? 若いのにすごいな」

 

 

 思わず大声を上げて驚いたが、見た目中学生くらいの子供が国を動かしてると知れば流石に驚愕を隠せない。

 ちなみに魔王は興味がないのか、チョコボもどきの様子を眺めていた。

 

 

「まあ、ではお話の仕方を改めた方がよろしいですか?」

 

「いえ、楽にしていただいて結構ですよ」

 

「では、お言葉に甘えて。私はサラと言います。こちらの方がミコトさんで、こっちが弟のジャキです」

 

「月崎 尊だ。よろしく」

 

「フン……」

 

 

 紹介されたので改めて自分から名前を伝えるが、魔王は気恥ずかしいのか煩わしいのか、二人を一瞥するとまたチョコボもどきに目をやる。そんなに気になるのか?

 などと勝手に考えていると、男の子から驚いたような声が上がる。

 

 

「月崎って……もしかして、日本人ですか!?」

 

「……え? ってことは、君も!?」

 

「はい! 僕はシンク・イズミ、日本の紀乃川市って街から姫様の勇者として召喚されました!」

 

 

 目を輝かせて自己紹介をする少年、シンクの言葉を聞いて俺はおもむろに天を仰いだ。

 

 

「――――世界って、意外と狭かったんだな……」

 

 

 よもや異世界から異世界へ移動して同郷の人間に遭遇するとは……。名前の言い方や容姿からハーフのようだな。いや、それにしても――

 

 

「勇者? どういうことだ?」

 

 

 魔王が怪訝そうに尋ねるが、それは俺も思った。異世界から勇者として召喚するって、二次創作とかだと救国の英雄として呼び出すとかそういう流れだよな?

 

 

「それをお話しすると少し長くなりまして……。そうだ、私のお城に来ますか?」

 

「良いんですか?」

 

「ぜひ!」

 

 

 花のような笑顔を浮かべるミルヒオーレちゃんに負け、俺たちは彼女の城と言うフィリアンノ城なるところへ向かうこととなった。

 さて、どうなることやら……。




番外編第1話シリーズの第1作目「DOG DAYS編」、いかがでしたか?

現在、クロスさせる番外編の候補作品として「クロノ・クロス」、「戦姫絶唱シンフォギア」、「魔法少女リリカルなのは」が候補に挙がっています。

もし何かクロスさせて欲しい作品があれば、活動報告の「Jumper -IN CHRONO TRIGGER- 意見箱」にお願いします。

次回の投稿は再び本編に戻りますので、今しばらくお待ちください。

それでは、また。

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