Jumper -IN CHRONO TRIGGER-   作:明石明

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どうもこんばんわ、前回の投稿の次の日にお気に入りやUAが一気に上昇し何事かと思えばこの作品が日刊ランキング上位に食い込んでいたことに驚きを隠せなかった作者です。
皆様には本当に感謝感謝です。

さて、今回は前半にマールたち、後半に尊たちのグループに分かれて話が進みます。
マールたちの話は原作のセリフを多用しているため制限に引っかからないかビクビクしています。

それでは第13話を(制限にかからないことを祈りつつ)どうぞご覧ください。


第13話「古代と中世で立った今後の方針」

 魔法の王国ジールが崩壊して数日。

 小さな大陸で生き残った人たちが作った村で目を覚ましたマールとルッカは地の民の村長から崩壊後の話を聞くと時の最果てからカエルを呼び出し、現状把握のため外に出た。

 

 

「マール、本当に大丈夫なの?」

 

「うん。きっとクロノはどこかにいる。だから、私はクロノを探しにいく」

 

 

 クロノが生きていると信じて行動を始めたマールに若干の不安を抱くが、落ち込むよりははるかにいいと判断しルッカたちもそれに頷く。

 

 

「さて、シルバードは」

 

 

 村長の話では無事だったということだが、肝心の機体を聞くのを忘れていた。

 カエルがどこだろうと辺りを見回すと、シルバードとは違う大きな飛行機が海岸に停泊していた。

 

 

「あれって……黒鳥号?」

 

「む? 見ろ、シルバードだ」

 

 

 カエルが指さした先では黒鳥号の搬入口付近でダルトンの部隊がシルバードを囲って何かをしているようだった。

 

 

「あいつらなにを……。ま、まさかシルバードに何かする気じゃないでしょうね!?」

 

「行ってみよ!」

 

 

 そろって駆け出して黒鳥号の近くに来てみると、シルバードに何かがとりつけられようとしていた。

 

 

「あんたたち! 私たちのシルバードに何してるのよ!?」

 

「ん? おお、目が覚めたか」

 

 

 ルッカが武器を取り出して叫ぶと、それに気づいた男が声をかける。その人物と姿を見て、マールたちはあっけにとられた。

 

 

「……ダルトン、だよね? そ、その格好は?」

 

「あん? 改造作業してるんだから作業服にきまってるじゃねえか。嬢ちゃんは油まみれになる作業をするとき一張羅で作業をしたりするのか?」

 

 

 かつて敵対関係にあったが海底神殿侵入に手を貸してくれたダルトンが自分の部隊の兵たちと同じ服を着て油まみれになっていた。

 

 

「いや、そんなことしないけど……」

 

「それよりお前、いま改造と言わなかったか?」

 

「ああ。この機体、以前ガッシュが設計したものとそっくりだったんでな。資材にも余裕があったんで、ちょいと強化させてるところだ」

 

「人に断りなく何やってるのよ! ……ところで、どんな改造しようとしてるの?」

 

 

 無断改造に怒りを露わにするルッカだが、改造内容が気になるのか怒りを鎮めてそう尋ねる。

 その質問にダルトンはふふんと胸を張り、腕を広げる。

 

 

「聞いて驚きそして喜べ! この機体は俺様の指揮の元、飛行機能が追加されるのだ!」

 

「飛行、機能……それってまさか!」

 

「こいつが、シルバードが空を飛ぶってのか!?」

 

 

 流石に空を飛ぶようになるとは予想外だった三人は純粋に驚く。

 それが本当なら願ってもいないことだが、無断で改造に踏み出されたことを考えるとどうも素直に感謝できなかった。

 

 

「完成はまだ掛かるが、楽しみにしてな。 ところで、あのツンツン頭の坊主はどうした?」

 

 

 その質問が出た瞬間、また少し重い空気が流れだした。

 

 

「……なにかあったみたいだな。ま、あれだけのことがあったんだ。行方不明になっても不思議じゃない。俺の知り合いも、居なくなっちまったしな」

 

 

 どこか遠くを見るように天を仰ぎ「だが……」と続けるダルトン。

 

 

「あいつがあれくらいでくたばる奴じゃないだろうから、俺はどこかで生きてるって信じてるんだがな。お前らも、いなくなった奴がどんな人間だったか思い返してみるといい。本当にアレで死ぬような奴なのかをな」

 

「……クロノは」

 

 

 出会ってから今日までのクロノとのやり取りを思い返す。魔王や恐竜人との決戦。嘆きの山でのギガガイアとの戦闘。いずれも死んでもおかしくない戦いではあったが、誰も欠けることなく生き抜いてきた。

 その筆頭であるクロノが、そう簡単に死んでしまうだろうか?

 

 

「……クロノは、簡単にはいなくならないよ」

 

 

 マールの自信に満ちた声が響く。その内容に満足したのか、ダルトンはニッと笑い頷いた。

 

 

「それでいい。さて、俺はこのまま改造を続ける。お前らは向こうの広場で情報を集めてきな」

 

「うん、ありがとう」

 

 

 ポニーテイルを翻し、マールはルッカたちを連れてダルトンが示した広場へと向かった。

 

 

「……さて。お前ら! さっさと完成させてあいつらに返してやるぞ!」

 

『ハッ!』

 

 

 正史ではありえない信頼を勝ち得たこのダルトンは腕をまくると作業の続きに戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 広場である情報を得たマールたちは残された村の北にある岬へ足を運んでいた。

 誰かが岬に向かうのを見た。

 それだけの情報だが、これがクロノではないとは言いきれない。

 とりあえず得られた情報は片っ端から確認して行こうと言うことになり、やがて彼女たちは目的の場所へとたどり着いた。

 しかしそこには人っ子一人おらず、岬の先には海が広がるだけだった。

 

 

「……そんな簡単に吉報が入るわけもない、か」

 

 

 カエルがそうつぶやいて海を眺めると、不意に後ろから何者かの気配を感じる。

 三人そろってもしやと思い後ろを向くがそこには誰もおらず、再び後ろから気配を感じた。

 

 

「お前たちか」

 

 

 その声を聞いた瞬間、反射的に気配から飛び退いて振り返る。

 

 

「ま、魔王……」

 

 

 ジール宮殿に予言者として潜入し、ラヴォスに敗れた魔王がそこにいた。

 マールのつぶやきに何の反応も見せず、彼は岬の先に広がる海へと目をやる。

 

 

「見るがいい。全ては海の底だ……。永遠なる夢の王国ジール……。そして――かつて私はそこにいた。もうひとりの自分としてな……」

 

 

 その一言でマールたちの中で引っかかっていたピースがかちりとはまり、一つの結論が浮かび上がる

 

 

「あなた、もしかして……ジャキ?」

 

 

 サラの弟にして自分たちに誰かが死ぬと宣告した子供。その成長した姿こそ、目の前にいる魔王そのものだった。

 

 

「私はヤツを倒すことだけ考え生きてきた。ヤツが作り出した渦に飲み込まれ中世に落ちて以来な……。我が城でラヴォスを呼び出す事をお前達に邪魔され……再び次元の渦に飲み込まれ、辿りついた先がこの時代とはな……皮肉なものだ」

 

 

 自嘲するように呟き、魔王は続ける。

 

 

「歴史を知る私は予言者として女王に近づきラヴォスとの対決を待った……。しかし結果は、あの通りだ。――――ラヴォスの力は強大だ。ヤツの前では、全ての者に黒き死の風が吹き荒ぶ。このまま行けばお前達もあのクロノというヤツと同じ運命を辿るだろう!」

 

 

 クロノの名前が出た瞬間、マールたちの頭に一気に血が上る。

 

 

「クロノは! クロノは、あなたのせいで……!」

 

「貴様、あいつを侮辱する気か!?」

 

「ヤツは死んだ! 弱き者は虫ケラのように死ぬ。それだけだ」

 

 

 逆行するマールたちへ振り向きながら叫び、クロノを虫ケラと吐き捨てる。

 その一言が、二人の逆鱗に触れた。

 

 

「ッ! 許せない……!」

 

「魔王ッ!!」

 

 怒りにまかせボウガンを取り出し、魔王の眉間に照準を合わせるマール。

 カエルもまたグランドリオンを抜き、剣を正眼に構える。

 

 

「今ここでやるか……?」

 

 

 挑発するような物言いに釣られ二人の獲物に力が込められるが、それは間に入った人物によって収めることとなる。

 

 

「! ルッカ!」

 

「やめましょう。あなたを倒したところで、クロノは喜ばないわ……」

 

 

 ずっと沈黙を保っていたルッカが悲しげな表情で告げると、はっとしたようにマールたちも武器を下ろす。

 魔王も思うところがあるのか、それ以上何かをするわけでもなく、再び海の方角へと体を向ける。

 もはやこれ以上語ることはないとし、三人は岬から去ろうと踵を返した。

 

 

「待て」

 

 

 突如響く制止の声。振り返ると、魔王がマールたちへ歩を進めていた。

 

 

「私も行ってやる」

 

「え!?」

 

 

 あまりにも突然な発言に言葉を失う一同だが、彼は何食わぬ顔でさらに衝撃的な発言を繰り出す。

 

 

「ヤツを……クロノを生き返らせる手が無いわけではない」

 

「ホ、ホント!?」

 

「時の賢者ハッシュなら失った時を取り戻す方法を知っている筈だ。それに、あの男の行方も気になるのでな……」

 

「あの男? 誰だ」

 

「宮殿ではシドと名乗っていた男だが、正体は魔王城でお前たちと共闘し私に傷を与えた男だ」

 

「! ミコトさんが!?」

 

 

 ここにきて明かされる衝撃的事実。マールの中ではシド対してに引っかかっていた感覚が一気にほぐれていった。

 

 

「奴は自らこの世界とは異なる世界の未来から来たと明かした。そして奴の言う通りジールはラヴォスによって崩壊し、サラも行方不明となった。もしかしたら、この先のことも知っている可能性がある」

 

「異なる世界の未来から……。それでか、あいつが魔王城でやたらと貴様やラヴォスに詳しかったのは」

 

 

 カエルも合点がいったようで、マールたちは希望が出てきたことを強く実感するのだった。

 

 

 

 一方、マールたちの中で重要なキーマンとなった男はと言うと…………。

 

 

「――……ああああ背中に寒気がガガガガガッ!!」

 

「み、ミコトさん!? 大丈夫ですか!?」

 

 

 ――あることを弁解しようとした最中に想像した内容にガクガクと震えていた。

 

 

 

 

 

 尊がガクブルし始める少し前のこと。

 中世のデナドロ山でデナドロ三人集と言うフリーランサーたちと感動的(?)な再会を果たした彼はサラと共にグランとリオンがいたという洞窟で情報交換をしていた。

 

 

「――つまり、お前らは魔王城消滅の衝撃でどこかの島に飛ばされて、虹色の貝殻を守護する巨大な怪物とやりあって命からがら逃げ出したものの行く先々で今まで相手にしたことのない強さを持った敵と遭遇し何度も死にそうになったということか」

 

「はい。我ら一同、あの時ほど命の危険を感じたことはありませぬ」

 

「肉が厚くて刃は通りにくく、吐き出される火炎や翼から繰り出される攻撃は全て驚異の一言でございました」

 

「辛くも脱出した後はちょうど島に来ていた人間に話をつけて船に乗せてもらい、ここまで戻ってきたというわけです」

 

 

 ガイナーたちの話を整理し、尊は素直に感心していた。

 ――こいつらが飛ばされた場所は間違いなく巨人のツメだ。しかも虹の貝殻の場所に落ちてそこでルストティラノと戦って逃げ出し、めんどくさい魔物の連戦を潜り抜けてここまで帰ってきたと。うん、わかっていたが、こいつらも大概バグキャラだな。

 しかし、と尊は思考を切り替える。

 ――今の俺ではレベルや装備の観点からしてもラヴォスに勝利するのは難しいだろう。だが巨人のツメはこの中世において最強の雑魚がひしめく魔窟だ。レベル上げにはもってこいだろうし、ルストティラノを撃破すれば虹の貝殻を入手できる。無論、全てを持ち帰ることは不可能だろうが、ある程度の量なら削り取れるだろうし、それを元にボッシュのところで加工してもらえばプリズムの防具が一個くらい出来上がるだろう。魔法防御に強くて状態異常をすべて無効にする防具。是非とも入手したいところだ。

 方針を固め、尊は「よし」と声を上げる。

 

 

「お前ら、その洞窟の場所に案内しろ。修行がてら、その虹の貝殻を手に入れる」

 

「おお! 流石御館様!」

 

「我ら一同、必ずそうおっしゃっていただけると信じておりました!」

 

「御館様がいらっしゃればあの洞窟の魔物たちも恐れることはありませんな!」

 

 

 ガイナーたちのボルテージが上昇し空気はすっかり巨人のツメ攻略となっていた。

 そんな中、尊の隣で話を聞いていたサラは彼らのテンションについて行けず、恐る恐る尊に話しかける。

 

 

「あの、ミコトさん。彼らはいつもこのような感じなのですか?」

 

「あー、だいたいこんな感じです。もう、慣れましたけどね」

 

 

 苦笑いで説明をする尊をみて、オルティーが口を開く。

 

 

「時に御館様。さっきから気になっていたのですが……」

 

「なんだ?」

 

「そちらの女性は御館様の伴侶様で御座いますか?」

 

 

 ……………………伴侶?

 

 伴侶。一緒に連れ立って行く者、もしくは配偶者と呼ぶこともある。

 男にとっての一般的な配偶者=嫁、または妻を指す。

 

ボゥンッ!!

 

 瞬間、尊の顔が湯気が出るのではないかと思うほど一瞬にして上気した。

 

 

「ばばばば、バカこくでねえ!? いい、嫌ではないけど――じゃなくて! いくらなんでも失礼すぎるし、俺とはどう考えても釣り合いが合わないって! 片や特別な血筋もない一般家庭の息子で、片や類稀なる力を持ったお姫様だぞ!? どう考えてもアンバランスすぎるしそんなものにしようものならアイツが黙っちゃいない! 文字通り死神の鎌を携えて命を刈りに……ああああ背中に寒気がガガガガガッ!!」

 

「み、ミコトさん!? 大丈夫ですか!?」

 

 

 恐怖の大魔王が負のオーラを全開にして「魂の欠片も残さん」と宣言する雷の武将を従えて迫る姿を想像し凄まじい速度でガクブル&キャラ崩壊し始めた尊。そんな彼の安否を気にして声をかけるサラだが、ふと尊が言った前半部分を思い出す。

 

 嫌ではない。

 

 つまり自分が伴侶だったとしても迷惑に思っていないのだと理解すると、急に胸の奥が暖かくなった。

 

――なんでしょう、この気持ちは……。

 

 発狂する尊をたしなめながら、サラは自信に芽生えた初めての感情に自問自答するのだった。

 

 

「二人とも。あれをどう思う?」

 

「どうもなにも」

 

「似合いの二人ではないか」

 

 

 一方、この状況を作り出した三人は目の前で行われている光景を(御館様フィルターでイチャラブしているようにしか見えていないため)うんうんと頷いて評した。

 




第13話、いかがでしたでしょうか?
感想でサラヒロイン押しの声がたくさんあったのでフラグの建築を試みましたがよろしいですか!?(タグ追加フラグ)

物語もいよいよ終盤。次回は尊の修行パートとなります。
クロノトリガーにあるまじき5人パーティが、今ここに結成される……。

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共通ステータス
名前:月崎 尊(24)
属性:天・水

魔法・精神コマンド
努力     MP2
サンダー ★ MP2
アイス  ★ MP2
集中     MP4
加速     MP4
ケアル  ★ MP4
熱血     MP6
レイズ  ★ MP10
勇気     MP20
???
???
???
???
???

※勇気について
「熱血」「必中」「不屈」「加速」「直撃」「気合」が同時にかかる
「必中」……次の攻撃・技・魔法が必ず当たる
「不屈」……最終ダメージを10%に軽減
「直撃」……バリア、防御系魔法、上昇した防御力を無力化
「気合」……ダメージ1.5倍
「熱血」と「気合」の効果で最終ダメージが3倍となる
ブーストアップと併用不可

特殊スキル
UG細胞改
亜空間倉庫
ブーストアップ
次元跳躍
底力(Lv3)
???
???


次元跳躍について
 └神の気まぐれによって付与された特典能力の一つ。
  特定条件(サテライトエッジに月の光を吸収させ続けると第7の形態として無作為に別の世界へ転移する扉<サテライトゲート>に変形する)を満たすか自分のすぐ近くで転移が起こるとそれに誘発されて別の世界へ飛ばされてしまう。また、クロノ世界ではゲートをくぐる際にゲートホルダーを必要としない。
  本来なら大量の魔力を消費するだけで転移の際に行きたい世界へ移動できるはずだったが、最初の転移で起こったエネルギーの暴走と謎の力の干渉で狙った世界へとうまく移動できなくなってしまった。
底力
 └体力が一定数以下になると攻撃力と防御力が上昇する。スパロボのアレである。

クロノ世界でのステータス
Lv   :31
HP   :380
MP   :59

力   :56
命中  :14
すばやさ:14
魔力  :36
回避  :17
体力  :62
魔法防御:48

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