Jumper -IN CHRONO TRIGGER- 作:明石明
さて今回は予定していたタグの通り、原作キャラの性格を洗脳によって変えていきます。
サブタイでお察しの通り対象はダルトンですが、行動思考が刷り込み洗脳によって改変され綺麗なダルトンとなる予定です。うまくかけているか不安ではありますが……。
それはさておき、本編第10話、どうぞご覧ください。
「……でっけーな」
自室で胃の中を空にした後に訪れた黒鳥号を目の当たりにした俺の感想がそれだった。
俺が知る限りこれほど大きな飛行機は自分の世界には存在せず、対抗できるとすれば昔読んだSF小説にでてきた原子力空中空母くらいだろう。
さて、と呟き入口に向かうと丁度進行方向から目的の人物が姿を現していた。
「んあ? なんだ仮面野郎じゃねーか。こんなところにどうした?」
「ダルトン様にご挨拶をと思いましてね。それにしても、素晴らしいですね。黒鳥号は」
「はっはっは! そうだろそうだろ! なんてったってこのダルトン様が現場指揮を任されているんだからな! みみっちい物になるわけねーだろ!」
自分が担当してる物を褒められたことがよほど嬉しいのか、ダルトンは腰に手を当てて人目も憚らず大笑いする。
「しっかし、俺様に挨拶しに来るとは……。おめー、予言者の野郎よりよっぽど殊勝だな。いや、けっこうけっこう!」
ちょっとおだてたらこれか。やっぱりこいつもチョロイな。これならあれをやってもうまくいきそうな気がするな。
簡単に乗せられたダルトンを見ながら内心でニヤリとする。
「ありがとうございます。――そうだ、この後お時間ありますか? よろしければ夕食にでも」
「うん? 男に誘われて喜びはしないが……まあいいだろう。今の俺様は気分がいいからな」
良い店を紹介してやると率先して宮殿へ足を向けるダルトンについて行くと、たどり着いたのはカジャールの中にあった静かなバーだ。
流石にこの時間から利用する者はいないのか、利用者は皆無といってよかった。
店員に連れられ奥のカウンターに陣取り、適当な酒を注文する。
「しっかし、お前そのマスクは何のためにつけてんだ? 趣味か?」
「まあ、そんなところです。良いでしょう?」
「……俺には分からんね」
運ばれてきたグラスを受け取りぐっと中身を煽るダルトン。つられて俺も一口飲みこむと、じんわりとした熱さが喉を焼いた。
「……おいしいですけど、あまり強い酒ではありませんね」
「そうか? これでもジールでは強めに入る酒だぞ?」
「え、これでですか?」
トマの酒に付き合っていたせいでアルコールの耐性がついたのか、強めでないと物足りない身体になっていたようだ。
「すいません、もっと強いのもらえますか?」
「お前、チャレンジャーだな。俺様ならまず頼まんぞ」
「いやいや、強い酒も慣れれば癖になりますよ。嫌なことを忘れるのには特にうってつけです」
「……嫌なことを忘れるのにねぇ」
わずかに逡巡し、ダルトンは小さくうなづいて俺と同じものを要求した。
しばらくして出されたのはウィスキーもどきのロック割といった感じの酒だった。もどき、というのも臭いはウィスキーだが色が琥珀色ではなく不気味なまでの青色だったからだ。無論、こんな酒は元の世界でもこの世界に来てからも見たことがない。
まずダルトンが一気に口に含んだのを見てから俺も自分のグラスに口をつける。色が本当にアレだが、味も香りも紛うことなきウィスキーだった。
「かーッ! お前良くこんなキツイの飲めるな!」
「いやいや、この酒はちびちびと味わいながら飲んでいくものですよ。そんな一気に煽るものではありませんし」
「ぐっ……。そ、そうだったのか……」
もう酒が回ってきたのか、顔が赤らんできたダルトンはまた同じものを注文し、今度は味わうようにちょっとずつ飲み始める。
「……なるほど。キツイが、確かに悪くないな……」
度数の高い酒に味をしめたのか、そこから何杯かウィスキー系の酒をストレートを織り交ぜつつ飲んでいくダルトン。
無論、普段強い酒を飲まない人がそんなに口にしようものなら酔いが回って泥酔状態になるか――――
「ぐが~~~~っ。ぐお~~~~っ」
「――ま、こうなるわな」
酔いつぶれてカウンターでいびきをあげて眠っているダルトンを眺めながら俺は軽い酔い覚ましに水を注文し、万能薬を摂取して体調を整える。
さて、せっかく酔いつぶれてくれたんならジールではなくサラについてもらうように細工をしようか。
寝ている状態でやれる細工と言えば、古今東西これが一番効力を発揮するであろう。
「――俺はこの国を平和で豊な国にするんだ。俺はこの国を平和で豊な国にするんだ。俺はこの国を平和で豊な国にするんだ。俺はこの国を平和で豊な国にするんだ。俺は……………………」
すなわち、酔いで眠っているところへの囁きによる刷り込み洗脳だ。
…………。
……………………。
翌日。
「――――なあ、シド」
「おや? どうかしましたか、ダルトン様」
廊下で遭遇したダルトンが何やら小難しい表情で尋ねる。
「最近俺様はこの国をもっと平和で豊な国にしたいと思ってんだが、どうすればいい?」
「……そうですね。私なりの解釈になりますが、まず地の民の扱いを光の民と同等にする必要がありますね」
「あん? 何故そんなことしなけりゃいかないんだ?」
「光の民も地の民も元は同じ人間。才能の優劣だけで人を差別すればそれは人々の関係に軋轢を生み、衝突を招く要因となります」
「……ふむ」
「それを防止するに当たってまずすべきことは、ご自身が率先してその関係の改善に取り組み双方の信頼を得ることです」
「俺様が率先して改善だと?」
「そうです。信頼を勝ち得れば人は自ずとその人についていきます。身近な人で例に挙げるならば、サラ様は間違いなく地の民光の民の信頼を得ているお方です」
「なるほどな。――ちなみに俺様は?」
「申し上げにくいのですが、ダルトン様は今までの行いのおかげであまりよく思われておりません。しかしそれを反省し民たちの見る目を変えればまだチャンスはあります」
「…………そうか」
難しそうな顔をして去っていくダルトンを眺め、俺は踵を返すと同時に某新世界の神の如く口元を歪めた。
――――――計画通り!
◇
ダルトンに刷り込み洗脳を施してから数日、魔神器にどうにか細工ができないか考えながら廊下を歩いていると、目の前を小さな影がよぎった。
「……何だ、おまえか」
こちらを見るなりそうつぶやいたのはネコを引き連れた小さな子供――幼少時代の魔王ジャキだった。
「お出かけですか? ジャキ様」
「…………」
なにも言わずにジャキはネコのアルファドを引き連れて走り出すと、通路の角で一度だけこちらを向く。しかしその目つきは家族の仇でも見るかのようにきついものだった。
「……予言者にも言ったけど、お前も姉上に変なことするなよ」
それだけ言い残し、ジャキは今度こそ走り去ってしまった。
「……サラ様に手を出すなってことね。 ――あのシスコンぶり、お前はどう思う?」
「姉を思うことは人として当然のことにきまっているだろう」
正面から歩いてきた予言者こと魔王にそう尋ねるとそんな答えが即答される。うん、やはり同一人物だな。こいつも「サラに手を出したら殺すぞ」と目で訴えてやがる。
「……ところで、さっきまで魔神器を眺めていたらしいが、何を考えていた?」
「何、魔神器をどうにか破壊できないかと考えていたんだが、厄介なことに魔法は吸収して並の物理攻撃にもめっぽう強いらしいことがわかった」
原作では魔神器を作る材料となった赤い石なら壊せると聞いていたがそれ以外については触れられていなかった。なので他にも方法があるのではと思い調べていたのだが、本当に厄介なことに本当に赤い石で造られた武器でないと破壊できないことが分かった。
精神コマンドの『勇気』に含まれている『直撃』なら突破できるかもしれないが、試しで破壊しようものなら今後の展開が全く読めなくなってしまう。確実にラヴォスを倒しに行くなら黒の夢が出現した後がベストなんだからな。
「あれを作り出した命の賢者様に話を聞ければいいんだが、肝心の賢者様は嘆きの山に幽閉されてるし」
「ならこちらから出向けばいいだけだ」
「と思うだろ? こっちも面倒なことにかなり強力な魔物が門番をやってるらしい。しかも俺たちはジールたちの客人だ。不用意に幽閉された人物に会いに行けば怪しまれる可能性がある」
「そうなったら潜入した意味がなくなると言うことか……。確かに面倒な話だ」
クロノたちがいれば丸投げして救出を頼めるんだが、レベル的にまだ厳しいかもしれないな。それに装備の問題もあるだろうし……。ここで遭遇したらそれとなくアイテムに封印の箱のメモを混ぜて回収しに行くよう指示を出すか? 特に現代で回収できる燕は強力だからぜひこの機会に回収しておいてもらいたいところだ。
「ま、もう少し調べてみるさ。お前は……いつものアレか」
「フン。お前が気にすることでもあるまい」
「いや、そうなんだけど――――って、行っちまったか」
最後まで言わせないまま魔王はさっきジャキが出てきた通路へと足を進めていた。
最後に俺が言った魔王のいつものアレ――それはサラの身辺警護だった。
◇
魔王と別れてから魔神器の資料が納められた書斎に閉じこもること数時間。なにやら廊下の方が騒がしくなっていた。
外していたマスクを装着し、最近支給された黒いマントを身につけて表に出る。すると武装したダルトン部隊がぞろぞろと歩いていた。何事かと思い、移動していた一人に声をかける。
「すまん、これは何の騒ぎだ?」
「あ、シド殿。先ほど侵入者が現れましてね。ダルトン様のゴーレムに敗れたところを捕らえて移送したところです」
「侵入者だと?」
しかもダルトンのゴーレムに敗れた……。と言うことはクロノたちか?
「……わかった。ありがとう、仕事に戻ってくれ」
「ハッ!」
列に戻っていく兵を眺めていると、不意に一つの会話が耳に届いた。
「しっかし、シド様っていい人だよな。俺らなんかでも気さくに声掛けてくれるし」
「そうそう。ダルトン様とは大違いだな」
「いや、そうでもないぞ。最近のダルトン様は俺らのことにも気をかけてくれるし」
「ああ、あれは最初すごく気持ち悪かったが……まあ俺らに対する扱いが良くなるならまだいいかな」
「この調子で給料も上げてくれたらいいんだけどなー」
「まったくだ」
……予想以上にダルトンの変化が大きいようだ。
ともかく、思ったより遅かったがついにクロノたちが来たか……ダルトンゴーレムに負けたのは予想外だが。まあ原作でも初戦ではだいたい負ける戦いだから仕方ないと言えば仕方ないが、やはり一度封印の箱を回収してもらう旅に出てもらうとしよう。
一旦書斎に戻って適当な紙にシド名義でメモを書き、手近な袋へ餞別の金と一緒に入れて口を縛る。
あとは魔王と合流して捕らえられた場所に向かうとするか。
方針を決めて行動すること数分、割りとあっさり魔王と合流することに成功する。
「カエルの仲間どもが乗り込んできたぞ」
「ダルトン部隊の連中から聞いた。しかし、ゴーレムごときにやられるようなら戦力には数えられないな」
「何だと? ではどうするつもりだ」
「まあ焦るな……ちょうどいい。俺の知っている中でも真理を突いた名言を教えてやる」
「真理を突いた名言だと?」
「『レベルを上げて物理で殴ればいい』。力が足りないならレベルを上げまくったらいいという至極単純明快な言葉だ」
もっともこの世界では魔法でないとダメージを与えられない敵もいるが、事実レベルを上げまくったらまず負けることはなかったからな。
強くてニューゲームを使って武器縛り(全員最弱武器)でクリアした実績がそれを物語っている。あの時ラヴォスを木刀でボコボコにしたのはいい思い出だ。
「……つまり、連中を強くさせるということか?」
「そういうことだ。確実に奴を仕留めるためにも、強くなってもらうことに越したことはない」
「フン、矛先がこちらに向かなければいいがな」
「その辺の保証はできないが、まあ勝算を上げるためと割り切ってくれ」
そうなだめながら俺たちはクロノたちが捕らえられた場所へと向かうのだった。
◇
クロノたちはダルトンのゴーレムに負けた後、ジール宮殿内のとある場所に捕らえれていたが、それを是としないサラが三人を助けだしていた。
「大丈夫ですか? みなさん」
「あ、あなたは……サラさん?」
「はい。 ――さあ、急いで宮殿からお逃げください。そして出来ることなら、命の賢者様をお助けいただきたいのです」
「命の賢者様?」
「命の賢者様は計画に反対したため嘆きの山に幽閉されてしまい身動きが取れない状態に……」
その言葉にクロノたちは納得した。 あの女王が主導のもとに行われているラヴォスを呼び出す計画だ。喩え位の高い人物でも邪魔になるなら排除なり何なりするのも不思議ではない。
「それよりお前、エイラたち助ける。大丈夫か?」
「心配ありません。それよりお願いです、どうか賢者様を……」
「そこまでだ、サラ」
突然響いた新しい声。
その発信源はローブをまとった予言者と、銀色の仮面をつけたシドだった。
「サラ様、彼らは計画の邪魔を企てた者たちです。再び邪魔をする恐れがあるならば、我々は彼らを排除しなければなりません」
「シドさん! あなたまでそんなことを言うのですか!?」
「おっと、落ち着いてください。なにも殺すと言っているのではありません。予言者が言うには、彼らは普通の手段でここに来た者ではないそうなのです」
「その通りだ。本来なら消えてもらいたいところだが、シドに免じて命だけは助けてやる……ただしサラ、あなたには力を貸してもらうぞ」
シドがサラをなだめる中、予言者がそう付け加えてクロノたちの前に立つ。
「さあ、お前たちがどうやってこの時代へ来られたのか教えてもらおうか……」
既視感を感じる二つの声。それに不信感を覚えながらもクロノたちはしぶしぶ自分たちがこの時代に来るきっかけとなった洞窟のゲートへと案内することに。
「ほう、こんな所から……」
「転移ゲートの一種のようですね。自然にこのようなものが発生するとは考えにくいですが……」
予言者とシドが考察するように呟く中、遅れてサラも洞窟に足を踏み入れる。
「さあ、サラ。こいつらをこのゲートに放り込んだらそこに結界を張るのだ」
「そ、そんな! 嫌です!」
「サラ様。そうしなければ我々は本当に彼らをこの手にかけなければならないのです。 仮に私が見逃したとしても、予言者は本気ですよ」
シドは頑なに拒もうとするサラにそう告げると、彼女に小さく耳打ちする。
「……安心てください、サラ様。彼らは必ずここに戻ってきますから」
「……え?」
呆気にとられたように顔を向けると、シドの口元が小さく笑っていた。
「さて、私からせめてもの餞別だ。これを受け取ったらゲートに入ってもらう」
シドはマントの下からジャラジャラ音が鳴る袋を取り出し、クロノへ放り投げる。
それを受け取ったクロノたちは不審そうにしながらもそのままゲートホルダーをかざしてゲートへと足を踏み入れた。
それを見届けたサラはゲートが収まったのを見計らい、ゲートにピラミッド型の封印を施すのだった。
◇
原始のティラン城跡地。そこに発生したゲートから出てきたクロノたちは予言者と仮面の男について頭をひねらせていた。
「あのシドって呼ばれてた人……誰かに似てる気がするんだけど」
「マールもそう思うか? 俺も会ったときからずっと引っかかってるんだ」
「それよりクロ。最後なにもらった?」
エイラに促されて最後に渡された袋を開いてみると、中から1500Gほどのお金と一枚のメモが入れられていた。
「なにこれ?」
メモを取り出したマールが広げてみると、そこにはあまりに予想外のことが記されていた。
『宮殿に乗り込んだ少年たちよ。
シンボルに封じ込められた理の賢者の発明を求めるならば力を求めよ。
その力があれば君たちはより先へと進みやすくなるだろう。
力を得て戻ってくるといい、全てはこの星のために。
SID』
「く、クロノ! これって……!」
「ああ。あのシドって人は俺たちに協力しようとしてるみたいだ」
「シンボルってなんだ?」
「そこまではわからないけど、あそこにあった扉と同じものが未来にもあったよね?」
「そういえば……。もしかしたら旅の途中で見つけた不思議な箱もこのペンダントで……」
「エイラ、クロたちの話、よくわからない。けどアテあるなら行く!」
エイラの言葉にクロノたちは頷き、まずは未来の扉を開けるべく不思議山のゲートへと向かった。
ダルトンの性格が更新されました!▼
ダルトンに対する部下の好感度が上昇しました!▼
ダルトンに対する地の民の評価が上昇しました!▼
魔王のシスコン度が上昇しました!▼
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共通ステータス
名前:月崎 尊(24)
属性:天・水
魔法・精神コマンド
努力 MP2
サンダー ★ MP2
アイス ★ MP2
集中 MP4
加速 MP4
ケアル ★ MP4
熱血 MP6
レイズ ★ MP10
勇気 MP20
???
???
???
???
???
※勇気について
「熱血」「必中」「不屈」「加速」「直撃」「気合」が同時にかかる
「必中」……次の攻撃・技・魔法が必ず当たる
「不屈」……最終ダメージを10%に軽減
「直撃」……バリア、防御系魔法、上昇した防御力を無力化
「気合」……ダメージ1.5倍
「熱血」と「気合」の効果で最終ダメージが3倍となる
ブーストアップと併用不可
特殊スキル
UG細胞改
亜空間倉庫
ブーストアップ
次元跳躍
底力(Lv3)
???
???
次元跳躍について
└神の気まぐれによって付与された特典能力の一つ。
特定条件(サテライトエッジに月の光を吸収させ続けると第7の形態として無作為に別の世界へ転移する扉<サテライトゲート>に変形する)を満たすか自分のすぐ近くで転移が起こるとそれに誘発されて別の世界へ飛ばされてしまう。また、クロノ世界ではゲートをくぐる際にゲートホルダーを必要としない。
本来なら大量の魔力を消費するだけで転移の際に行きたい世界へ移動できるはずだったが、最初の転移で起こったエネルギーの暴走と謎の力の干渉で狙った世界へとうまく移動できなくなってしまった。
底力
└体力が一定数以下になると攻撃力と防御力が上昇する。スパロボのアレである。
クロノ世界でのステータス
Lv :31
HP :380
MP :59
力 :56
命中 :14
すばやさ:14
魔力 :36
回避 :17
体力 :62
魔法防御:48