ぼくのかんがえた(ry でアイラたんに恨みをぶつける物語 作:ユルサナイネン
遅れました。クロスサマナーに浮気した僕を誰か罵ってください(ハァハァ
マンサは一体が限界でござった。ZZ二体に使ってごめんなさい。プルツー出ないので滅茶苦茶課金してやった。今は後悔しいている。
今回で0は終わり。次回はレイジ君も活躍します。
フミナ先輩、エロいでござろう。
「――シナンジュ? それは本当なのか?」
アゲハが問い掛けるが、ミズキは返事をする余裕がなかった。あまりの衝撃に言葉を失っておられるようだ、とテロップが付くくらい衝撃を受けていた。
シナンジュって何だ。シナンジュって。アメイジングシナンジュなんていうガンプラが出来て亡霊がタツヤに乗り移るのだろうかと想像して吐きたい気分になる。シナンジュを駆るフル・フロンタルが乗り移ると余計にウザく感じる事になりそうだ、と憂鬱になる。
メイジン・カワグチに(バレバレ)変装する時に使う仮面をフロンタル仕様にするつもりだろうか。ホモが量産されるであろう。タイサァ……。
「み、ミズキ!? そんなにえずいて! 気持ちわるいのか!?」
おえっおえっと口を押さえ始める弟の様子が変だと気付いたアゲハが懸命に介抱する。背中を優しく撫でたり、優しく抱き締めて匂いを嗅いだりと姉の鑑であった。
奇しくも、ホモに関連しない女性の肉体に触れて男性からイメージが離れた事で気分は幾分かマシになる。二度と考えないようにしようと普段はしないような姉の豊満な胸に顔を埋める事にし、現実逃避をする。
「お、おぉぉぉ。み、ミズキが自分からおっぱいの中に……いかんいかん」
ミズキに見られぬように天を向くアゲハ。だが鼻から無限に流れると間違う鼻血が全てを台無しにしていた。ツンツンしていた弟がこんなデレを見せるとは……! と圧倒されつつミズキの見えぬ場所で手をワキワキさせていた。何気に貞操のピンチである。
新たな衝撃。ユウキ・タツヤ、後に三代目メイジン・カワグチになるであろう男の置き土産は効果覿面であった。自分の知らない展開に戸惑う効果を与えただけで動揺するミズキの様子からタツヤに戦況が傾き始めていた。
そもそも、見知らぬ世界。アニメとして存在していた世界で自分が知らない事があると動揺するのはしょうがないというかしょうがなくないというか。
どちらにせよ、ミズキはその知識があるから世界大会優勝というたいそれた目標を掲げる事ができた上に、自信を持っていた。そこを根底から崩れるとどうすればいいのかと混乱してしまうのだ。
今は少しずつ情報を整理する事で落ち着きを取り戻している。姉の抱擁で落ち着いているのだが、貞操が危機に瀕しているのには気付かない。このままエロゲ展開まで直行するのか。
「む、むおっ!? ち、違うんだミズキ。お前から抱き着いてきたからどうすればいいのかわからずにだな」
言い訳をするなら鼻血を拭きなよ、と冷静にティッシュを渡す。
「す、すまんな」
ダラダラと鼻血を流す姉を見てよし、もう大丈夫だと根拠のない安心感を抱いたミズキは気持ちを切り換えて来るであろうメイジン・カワグチのアメイジングシナンジュ(仮)に対抗するガンプラをどうするかと考え始める。
OVAは持っている。だが、それはヒナタ家だけだ。このビルドファイターズの世界だと小説版でちょうどシナンジュが出る場所、酔狂なガンプラビルダーが作った拙いシナンジュが存在している。
まさに変態と言うべきか。プロよりも素人に分類されるビルダーがプロ顔負けの作品を生み出すのだから。イオリ・セイという天才少年を思い出せばあながち嘘でもないな、と思っていた。
実のところ、ミズキ自身もシナンジュは嫌いではない。初登場時のシャアを思わせる登場。隕石の間を縫っての飛行。独特的な背部ブースター。アニメーションで描かれるその描写は心を虜にした。
高速移動戦闘に慣れる為に二度使用したが、もしあれをメイジン・カワグチが使うとなると異名の紅の彗星の名の通りの戦いっぷりでエクシアダークマター以上の難敵になる可能性もあるのだ。
と、ここで彼の思考にフル・フロンタルの仮面を着けたユウキ・タツヤの顔が思い浮かんで――。
「み、ミズキーーー!?」
思考がショートして倒れる事になるのだった。
――対戦、お願いできますか。
そんな一言からラルさん(35)の一日は始まる。言われたラルさんといえば、どうしたものかと頭を掻くばかりで彼の挑戦の返事をしなかった。
「むぅ。その前に君は誰かな?」
失礼、と挑戦を叩き付けた少年は頭を下げて自分の名を名乗る。ヒナタ・ミズキ、と。
「ヒナタ? もしかするとアゲハちゃんの? ほう。弟とは」
ラルさんは名乗る少年、ミズキと握手を交わす。ラルさんからすれば、ミズキの手のガサガサした感触が彼のファイター、ビルダーとしての努力の証を刻んでいるのがわかり、ヒナタの名は伊達ではないと直感する。
「ふむ。君はこのラルと戦う為にわざわざここまで訪ねてきたのか。何故戦いを望む?」
――強さの為に。
簡潔な一言。しかしその一言に込められた思いはラルさんを圧倒させるようなものが込められていた。
同時にそうか、とラルさんは納得する。いきなり知らない仲ではないアゲハから連絡があったと思えば、戦って鍛えて欲しいのがいると言ってきた。それがこの子か、と唸りながら彼の目を見た。
ラルさんの経験則でいえば、力を求める者には簡潔な分け方がある。狂気を孕んでいるか、否か。そこだけが最も重要だ。
ラルさんは嘗て、アゲハが人生最大の挫折を味わったとある大会でのメイジン・カワグチを知っている。大敗を喫し、アゲハがガンプラバトルを引退寸前までに追い込んだ容赦のない狂気があるか否かが問題だ。
ヒナタの弟ならば大丈夫だろうと思えたが、ラルさんはその判断が鈍る。
わからないのだ。ラルさんから見ればヒナタ・ミズキはその狂気に囚われているかと聞かれればどっちつかずと曖昧な答えしかできない。
しかし、ミズキが宿す狂気は二代目メイジン・カワグチのような邪悪な狂気ではなく寧ろ純粋な狂気。言い換えれば必死で何かに焦っていると感じる。
やはりここは、とラルさんはミズキを奥の部屋に案内する。そこにはガンプラバトルベースがあり、ミズキの家にあるアゲハの特訓用のベースよりも大きなものが鎮座していた。
「よかろう。君の挑戦を受ける。しかしこのラルは既に引退した身。期待に応えられるかわからぬが全身全霊を持って応えよう」
そう言い、ラルさんは自分が愛用しているグフR35を持ち出す。それはラルさんがビルダーとしての歴史の集大成であり、本気である証であった。
ミズキもまた、今持つビルダーの力量を注ぎ込んだガンプラを取り出す。
――むっ。何とも奇っ怪なガンプラ。真っ白のガンプラとは珍しい。
チラッと見えたガンプラは白かった。ガンダムも白いが、ミズキのガンプラは白だけしか使っていないような配色のガンプラだった。
ファイターの中には全身を赤にしたり、青にしたりする者がいるがこの少年は白を好むかとラルさんは考える。ガンプラバトルの準備、操作をする光の玉にを握るとガンプラバトルが始まる合図が鳴る。
ベースから飛び出したグフを操り、索敵を行おうとすると白い閃光が砂漠の上空を駆ける。
「何のガンプラかは知らぬがこのラル、手加減はせんぞ!」
気合を入れ、グフのバルカンをバラ撒いた。隙間がないように見える弾幕をミズキの操る白いガンプラは縫うようにバレルロールをし、間を潜り抜ける。
何と! とラルさんは驚くが驚いている暇はなかった。白いガンプラの持つゴツいビームライフルの先に膨大なエネルギーが溜まっている事に気付いたからだ。嫌な予感がしたラルさんはすぐさま、グフをその場から飛ばせて離れる。
「馬鹿なっ!? 何だこの兵器は!」
ガンプラバトルフィールドに響き渡る独特な発射音。グフがいたであろう場所は一気に薙ぎ払われ、ビームが通った場所がくっきりと砂漠に刻まれていた。
何という威力。バスターライフルよりもコンパクトなサイズなのにあれだけの威力を出せるのかとラルさんはグフを操りながら思う。同時に、何を使ったのだろうかと疑問が後から後から浮かんでくる。
そうしている間にも正確な照準で二発、三発と発射音を響かせながらグフを襲う。掠るだけでも命取りだ、とラルさんのファイターとしての勘が警報を鳴らしている。一先ずは回避に専念しなければと牽制のバルカンを撃ちながら下がる。
ミズキのガンプラ――ユニコーンはバルカンを綺麗に回避しながらも前に前に進む。ランドセルのスラスターが火を噴きながらも微調整を繰り返して微妙な隙間を縫う。
ビームマグナムを撃ち切る勢いで全部撃ち尽くすと背中に収納してビームサーベルを握らせ、グフに斬りかかる。グフもまた、斬り結ぶヒートサーベルを出して防いだ。
「ビームライフルの威力には驚いたがこのラル! 伊達に青い巨星とは言われてはおらぬわ!」
押し込んだのはグフ。砂漠の上空で激突していた二体はユニコーンが下になり、徐々に押され始める。
一気に勝負を、とラルさんはグフに二本目のヒートサーベルを握らせてユニコーンのシールド目掛けて振り下ろす。拮抗するように凄まじい熱が生まれ、シールドが融解寸前まで追い込まれる。
不利と見たか、ユニコーンはヒートサーベルを真正面から受けるのではなく受け流すようにグフの体勢を崩しに掛かる。崩した後は、隠し腕のビームトンファーを起動させ、突き刺すようにグフに突き出す。
「何と! だが甘いっ!!」
圧巻。ユニコーンの突き刺しを肩の一部だけを貫かせ、そのままグフをユニコーンに体当たりさせる。その拍子にビームサーベルは手から零れ、ビームトンファーは見当違いの空間を薙ぎ払う。
「隠し腕とは素晴らしい! だがもう少しタイミングを見計らうべきだったな、ミズキ君!」
グフの特徴とも言えるヒートロッドを取り出し、バランスを崩しているユニコーンに巻き付かせる。そして、電流がユニコーンを襲う。苦しそうに藻掻くユニコーンに、ラルさんはトドメを差そうとバルカンを構える。
しかし。藻掻くユニコーンに変化があった事に気付いた。
――赤く発光だと?
何かの目晦ましか? もしかするとバイオセンサー系のオプション? 何かをされる前に叩く! と意気込むとバルカンを撃ち始めた。
――そして、勝負は一瞬で終わる。
「な……に、が……?」
唖然とするラルさん。気が付けば負けていた。有利なのは自分だったはずなのに気が付けば逆転されて負けていた。
自分のグフは四肢がもげたダルマ状態になっており、徹底的な破壊をされたのだとわかる爪痕を残されていた。対して、ミズキのユニコーンはヒートロッドの電流で受けた焦げ跡はあるものの、他には目立った傷はなかった。
「み、ミズキ君。君は何をしたんだ……?」
内緒です、とお茶目に言うがミズキの内心は余裕があまりなかった。ただガンプラを使っているだけなのにガンガンと頭痛が頭を襲っている。片手で頭を抑えるも、今回のガンプラバトルによる実験は大成功とも言えるのだが失敗とも言える結果だった。
恐ろしい。この一言が全てが詰まっている。原作を再現するようにユニコーンを組み立てると何とも恐ろしい性能になってしまった。ラルさんを唖然とさせるチート性能を見せ付けられた事が何よりの証拠。
これは危険だ、と結論付けるのも普通の対応と言えるはずだ。
「トランザムを使ったのか? いや、GN粒子は散布されていないはずだ。何をどうすればあんな性能を発揮できる……? レギュレーションは違反していないのか?」
間違わないように付け加えておくが、レギュレーション規定は守っている。デタラメな性能を見せられるとレギュレーションを違反しているのでは、と思うがラルさんの見たユニコーンはそう思えるほどチート過ぎた。
完膚なきまで破壊されたグフR35をそっと持ち上げるラルさん。まさか自分のガンプラがここまで破壊されるとは思わなかったのだろう。ショックを受けた顔をしていた。
「恐ろしいものだ。今の今までこれほどのファイターが埋もれてるとは思わなんだ。あのアゲハちゃんが手助けしたいと思うのも納得……ミズキ君?」
大丈夫、大丈夫。とうわ言を呟くミズキの様子がおかしい事に気付いた。熱に浮かされているように首を振ってはフラフラしているのを見れば誰でも思うはずだ。
「ミズキ君? どうしたんだミズキ君? ……ミズキ君!」
ラルさんがマズイと思う前にミズキはゆっくりと地面に向かって倒れる。ドサッと音を立て、地面に横たわる事になったミズキに、慌ててラルさんは駆け寄る。
何がどうなっている、と考えるが答えは出ない。ただ、ガンプラバトルをしただけ。なのに倒れる事になるのはどう考えてもおかしいとラルさんは持っている知識を引っ張り出してミズキの体調を調べる。額に触れる。脈に触れる。口に耳を近付けて呼吸音を聞く。
「……む。寝ているだけ、か?」
誰に言うまでもなく、ラルさんはミズキの状況を簡潔に把握する。寝てやがる、というのがラルさんが導いた答えであった。心配させるな、と脱力して自分も床に座り込む。
実はミズキはこの時、徹夜をしていた。要は疲れが爆発し、睡魔へ変わってそのまま夢の中に誘われたというわけだ。ユニコーンの稼働実験、デストロイモードへの変身。それらの課題を達成できた事に安心して気が抜けてしまったのが原因だ。
「ふふ。また若者が新しい時代を築くか。このラル、驚かされたよミズキ君」
こうなれば、この少年の行先を見届けようではないか。とラルさんは決意を固める。対戦を終えた時に思い出したが、ミズキが操るガンプラは最近出てきたユニコーンガンダムではないかと思っていた。
あの独特的な白いボディにフォルムはそれに間違いないはずだ。となれば、あの赤いものの正体は簡単に推理できる。
――どちらにせよ、楽しみだ。ラルさんの新しい楽しみができた瞬間であった。
余談だが、眠ってしまったミズキは血相を変えたアゲハによって回収されたとさ。ナニをされたかは歴史の闇の中、である。