ISGジェネレーション   作:京勇樹

92 / 265
コスモ・バビロニア建争3

直哉達がスピリッツ本隊との合流を目指して暫くした時だった

 

『……アド隊! 応答しろ! トライアド隊! 聞こえたら応答せよ!』

 

とマークの声が聞こえた

 

『隊長? どうしました?』

 

『今、お前達はどうなっている?』

 

『こちらからでは、近くに貴方達以外の機体を確認したの』

 

マークに続いて、エリスがそう言った

どうやら、シュン機のことを言っているようだ

 

『隊長、その事に関して報告があります』

 

直哉はそう言うと、起きたことを報告した

そして、カムナに頼まれて兄妹を連れてきたのだと

 

『隊長、お願いします。カムナ中将の最後の依頼……引き受けさせてください!』

 

『なるほど……そういう事だったのね……マーク』

 

エリスの言葉を聞いて、マークは少ししてから

 

『構わないさ。スピリッツは元々、寄り合い所帯だ……それに、トライアド隊が受けた時点で、我々への依頼になった』

 

と答えた

 

『隊長……ありがとうございます!』

 

『構わん……さて、シュテインの方がいいかな?』

 

『シュンでいいです。俺は、カムナ・タチバナの息子だ』

 

『お兄ちゃん……お帰りなさい』

 

シュンの言葉を聞いて、ナナは泣きそうになりながらそう言った

何せ、二人は数年振りに再会したのだから仕方ないだろう

 

『では、シュン・タチバナ及びナナ・タチバナ。君達を我々スピリッツで受け入れよう。カムナ中将から聞いたかもしれないが、我々スピリッツは傭兵部隊だ。実力者なら大歓迎だ。ようこそ』

 

『はっ!』

 

マークの言葉を聞いて、兄妹は敬礼した

その時だった

データリンク経由で、直哉達の耳に警報音が鳴り響いた

 

『隊長、何事ですか!?』

 

『今確認中だ……なんだ、円盤だと?』

 

マークがそう言った直後、映像が映った

その映像に映っていたのは、花を彷彿させる機械の円盤だった

その円盤は大量に存在しており、次々とコロニー内部に侵入

そして、無差別殺戮を開始した

巨大な円盤は、周囲に配置されているチェーンソーで轢殺

その巨大な円盤では行けない場所には、小さい円盤が入り込んで爆殺していた

その光景を見て、誰もが息を飲んで目を逸らしたり吐きそうになったのか口元を押さえた

 

『シュン! あの兵器はなんだ!?』

 

『俺も知らない! なんだ、あの兵器は!?』

 

直哉の問い掛けに、シュンはそう返した

どうやら、知ってるのは極一部のようだ

 

『スピリッツ緊急展開! 相手には、精鋭部隊を確認した! トライアド隊、指定座標で合流するぞ!』

 

『了解!』

 

その通信が終わると、直哉達は速度を上げて動き始めた

そして少しすると、前方に光の応酬が見えた

拡大表示すると、連邦軍とクロスボーン・バンガードが戦っていた

しかし、戦況は連邦軍が押されていた

今も、一隻のクラップ級巡洋艦が沈んだ

それを沈めたのは、一機巨大な華のようなMAだった

 

『なんだ、あのMAは!?』

 

『華? 速いぞ!?』

 

直哉達はそう言いながら、連邦軍のカバーに入った

だが、連邦軍は混乱しているらしく、直哉達にも攻撃してきた

 

『この、バカが! よく確認しろ! 味方だ!』

 

『あ……み、味方?』

 

『IFF位確認しろ! ルーキー! そいつらは、味方の傭兵部隊だ!』

 

一夏が罵倒すると、攻撃してきていたジェガンの肩を別のジェガンが掴んだ

通信から察するに、新人らしい

 

『すまない、トライアド隊。こいつは新人でな、配属されたばかりなんだ』

 

『分かりました。ですが、下がらせることを推奨します。戦争神経症(シェルショック)の可能性が高いです』

 

戦争神経症

もしくは、戦闘神経症

これは、極度の緊張状態時に戦闘に入ると起こりやすい症状だ

主には新人がなりやすいが、他には新人では無くとも、撤退戦時に味方が全滅しながらも生還した兵もなりやすい

これになると、正常な判断が出来なくなってしまい、味方誤射や自殺

果てには民間人への暴行、自失状態になってしまうのだ

そうなってしまっては、最早使い物にはならない

大人しく下がらせて、入院させるしかないのだ

 

『そうだな。おい、ルーキー! お前は操縦悍から手を放せ! 自働操縦で後退させる!』

 

『り、了解……』

 

そう言った後、そのジェガンはゆっくりとだが離れていった

その直後、そのジェガンは巨大MAの触手により撃破された

 

『ガルド少尉!?』

 

『あの触手、遠近両用の武装か!?』

 

『しかも、Iフィールドも装備してる。厄介な!』

 

『連邦軍は下がってください! あいつは、こちらが相手します!』

 

直哉達はそう言うと、MA

ラフレシアの触手に攻撃を始めた

その中には、シュン機も居た

 

『ん? IFFに適合あり……ラフレシアだと!? まさか、鉄仮面の機体か!?』

 

『鉄仮面……カロッゾ・ロナか!!』

 

シュン機のライブラリに登録されていたということは、間違いなくクロスボーン・バンガードの機体のようだ

しかし、余りにも異様なMAだった

武装は見る限り触手だけだ

しかし、その触手の数が圧倒的だった

百以上はあった

それら全てを操るとなると、答えは一つだった

 

『パイロットは、強化人間か!?』

 

そう

その触手全てが、脳波でコントロールしていたのだ

連邦軍は逃げていくが、ラフレシアは圧倒的だった

たった数分で、艦隊が全滅した

 

『あの数が……たった数分で!?』

 

『化け物か!?』

 

直哉達はそう言うと、ラフレシアを狙って攻撃を始めた

しかし、ラフレシアは速く中々当たらない

それに、当たったとしてもIフィールドによって無効化された

攻防共に備わっている厄介な敵だった

 

『ちいっ!? なかなか厄介な!?』

 

『当たらねえ!!』

 

『02、03、動きまくれ! 推進材はケチるな!』

 

直哉の指示に従い、二人は動きまわった

帰りは連邦軍がベースジャバーを用意してくれたから、機体の推進材には余裕があった

しかし、それでも一回戦闘をした後である

長くは戦えないのは、明らかだった

その時だった

幾筋もの閃光が、戦場を走った

 

『このビーム群は!?』

 

『隊長!』

 

『中々来ないと思えば、こういうことだったか……フェニックス1よりスピリッツ全機へ! あのMAに攻撃開始!』

 

『了解!!』

 

どうやら直哉達が遅かったから、心配して駆けつけてきたらしい

今この場に於いては、強力な援軍だった

すると、スピリッツ本隊の中心から二機のMSが突出

ラフレシアに接近を始めた

一機はガンダムタイプの新型機

もう一機は、ベルガ・ギロスに似た機影だった

 

『ガンダムF91とビギナ・ロナ!?』

 

『私の乗ってた、F90Ⅱの後継機?』

 

『それに、ロナ家専用機だと?』

 

なぜ、敵同士の機体が行動を共にしているのか

それは、パイロットにあった

F91のパイロット、シーブック・アノー

ビギナ・ロナのパイロット、セシリー・フェアチャイルド

この二人は、恋人だった

しかし、セシリーは本当はクロスボーン・バンガード総帥

カロッゾ・ロナの娘だったのだ

セシリーの母親がカロッゾに愛想を尽かして、セシリーと一緒に去ったのだ

だからセシリーとしては、ロナ家の娘というよりも一般人の娘という感覚だった

そして、シーブック・アノー

彼はガンダムF91の開発者の一人

モニカ・アノーの息子だった

二人は敵同士の立場だった

しかし戦場で再会し、二人は心を通わせた

その結果、セシリーはロナ家の娘

ベラ・ロナからセシリー・フェアチャイルドに戻って、シーブック・アノーの下に戻った

それは正しく、愛の成せることだろう

そして二人は、あの円盤兵器

無差別殺戮兵器、バグを止めるためにラフレシアの撃破に動いたのだ

虐殺を止めるために


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。