ISGジェネレーション   作:京勇樹

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また終わらなかった………
あと一回続きます
思った以上に削れなかった………

対ネオ・ジオング戦BGM UNICORN


ユニコーン事変7

映ったのは、ユニコーン事変始まりの地

インダストリアル7だった

そのインダストリアル7にエコーズを中心に、ユニコーンと直哉達トライアド隊が近づいていた

なお、スピリッツ本隊はゼネラル・レビルを警戒して待機している

インダストリアル7に向かったMS隊はベースジャバーに乗って移動しており、推進材消耗を抑えている

まだ相手には、フル・フロンタルが残っている

余計なリスクは、少しでも減らすべきだからだ

 

『私達は中に入ります』

 

『警戒をお願いします』

 

ミネバとバナージの二人が、機体から降りてそう言った

すると、コンロイ少佐が

 

『任せろ、バナージもしっかりな』

 

と見送った

ラプラスプログラムが示した最後の場所

インダストリアル7のメガラニカ

二人はそこに向かったのだ

その時、シャルロットが

 

「あの、そろそろラプラスの箱って何なのか教えてほしいかな?」

 

と問い掛けた

それに直哉は頷くと

 

「ラプラスの箱の正体は……宇宙世紀憲章、それのオリジナル」

 

と告げた

 

「オリジナルの……宇宙世紀憲章?」

 

直哉の言葉を聞いて、真耶が首を傾げた

何故それがラプラスの箱なのか、理解していないのだろう

 

「オリジナルの宇宙世紀憲章は、宇宙世紀元年に起きたテロで紛失したとされているんです」

 

「そして、連邦首都ダカールや各地の議事堂の前に置いてあるのはレプリカ」

 

「その内容は」

 

と三人が言うと、その宇宙世紀憲章が表示された

六角形の石碑で、約10のことが書いてある

それを全員が見たのを確認してから

 

「そして、オリジナルの宇宙世紀憲章は」

 

と直哉が言うと、それが表示された

見た目は全く同じだった

だが、一つだけ劇的に違うことがあった

 

「……待って」

 

それに気付いたのは現更織家当主、更織楯無だった

ほぼ全員の視線が楯無に向くと、楯無はオリジナルの方を指差しながら

 

「オリジナルの方、一番下に条文が一つ多い」

 

と言った

それを聞いて、楯無に視線を向けたメンバー達は、弾かれたようにオリジナルの宇宙世紀憲章の一番下に視線を向けた

そして、その条文を読んで息を飲んだ

そこには、こう書かれていた

 

《もし、宇宙に適応した新人類の存在が確認された場合、積極的に政事に登用すること》

 

だった

それはつまり、NTの存在を示していたのだ

そして、レプリカの方はその条文が無い

条文の存在自体が、無かったことにされているのだ

 

「最初は祈りだった……宇宙に進出した人類がより発展するようにと」

 

そう語りだした直哉に、全員の視線が集中した

 

「地球連邦政府初代首相、リカルド・マーセナスは人類が宇宙に進出することでより良く発展することを願って、この条文を書いたそうです。しかし、それを快く思わない者がテロを手引き……この宇宙世紀憲章を無くして、条文の存在を無かったことにしようとした。だが、予想外に宇宙世紀憲章は破壊されず、そして、テロ実行者の一人が生き残って、オリジナルの宇宙世紀憲章を手に入れた」

 

直哉がそこで区切ると、顔写真が表示された

それは、老人だった

 

「当時若かった、サイアム・ビスト……ビスト財団初代当主。彼がオリジナルの宇宙世紀憲章を手に入れた。そして、ビスト財団とAE社を創設し、時を待ったんだ。約百年……安全性が低かったコールドスリープも使ってね……だが0078年にジオン建国の父、ジオン・ズム・ダイクンが提唱したNT論を理由に始まった一年戦争……更に一年戦争で存在が確認されたNT……そのNT脅威論……そして、起きるかもしれない全滅戦争……それが、祈りを呪いに変えた……」

 

直哉はそこで一端区切った

最初は、平和と発展を願った祈り

それがほんの些細な切っ掛けで、人類を滅ぼしかねない呪いに変わった

なんという本末転倒なんだろうか

 

「サイアム・ビストはラプラスの箱の対処を、発端の存在たるNTに委ねることにした。その為に、ユニコーンとNTーD。そして、ラプラスプログラムを作ったんだ。真のNTに決めてもらうために」

 

そして、バナージは見事にその資格を示した

NTーDに使われるだけでなく、その可能性を示した

可能性の獣、ユニコーンと共に

その時、爆発音が鳴り響いた

 

『なんだ!?』

 

『高エネルギー反応!? 何処からだ!』

 

『この推定エネルギー値……MAか!』

 

三人がそう話した直後、ビームの応酬を見つけた

そちらには、エコーズが展開しているはずだった

 

『トライアド1よりエコーズ1! 状況はどうなってますか!?』

 

『トライアド1、袖付きのMAを捕捉、交戦開始したんだが、こちらの機体が操られている!』

 

この時の直哉達だけでなく、誰もがその報告に耳を疑った

こちらの機体を操る

そんなこと、どうやったら出来るのかと

 

『隊長! 撃ってください、隊長ぉぉぉ!!』

 

『くっ!?』

 

部下からの懇願に、コンロイは歯を鳴らしながらも部下の機体の頭を撃った

だがそれでも、動きは止まらなかった

その時、その部下の機体の胸部に徹甲榴弾が当り爆散した

撃ったのは、バンシィだった

 

『下がれ、エコーズ! そのサイコマシンは危険だ!』

 

リディのその言葉を聞いて、直哉達はようやく敵機を見つけた

真っ赤なMAだった

しかも、その中心はシナンジュ

つまりは、フル・フロンタルの機体だった

 

『トライアド!』

 

『合わせます! 02、03、続け!』

 

『了解!』

 

リディが楯のビームガンを撃つのに合わせて、直哉達もビームライフルやビームキャノンを撃った

だがその砲撃は、MA

ネオ・ジオングの装甲表面で弾かれた

 

『対ビームコーティングか!?』

 

『いえ、あれは……一種のエネルギーフィールドです!』

 

リディに弾が答えると、ネオ・ジオングは片腕を構えた

すると、指に当たる部分が射出された

 

『散開、回避!』

 

『迎撃!』

 

四機は回避機動を取りながら、それの迎撃を始めた

それは一定の距離に近づくとワイヤー状の物を一斉射出

機体を絡めとろうとしてきた

しかし、四機は素早く回避すると全て破壊した

 

『なるほど……これに取り付かれた機体は、擬似ファンネルとして操られるのか……02、03、無事か?』

 

『ああ、大丈夫だ』

 

『イヤらしい兵器作りやがって』

 

直哉の言葉に一夏と弾が答えると、ネオ・ジオングが動き出した

コロニー外壁を破壊すると、中に突入していった

 

『野郎、中に!』

 

『突入はするな! 崩壊した外壁で、押し潰されるぞ!』

 

弾が追い掛けようとしたが、直哉が制止

離れようとした矢先に、別の場所から爆発音が聞こえた

それを聞いて、四機は移動

すると、ユニコーンとネオ・ジオングが相対していたのだ

 

『リディさん! トライアド!』

 

『やるぞ、バナージ! この光は、俺達だけが生み出してる光じゃない!』

 

リディがそう言ったタイミングで、バンシィのNTーDが発動した

 

『わかってます! 皆の思いが、この中に……つっ!』

 

『バナージ君、合わせる!』

 

直哉のその言葉の通り、リディとバナージがビームマグナムを撃つのに合わせて、直哉達は砲撃した

だが、五機の砲撃はIフィールドによってかき消された

 

『ガンダム達が揃って楯突くか! 人々(ヒト)の総意の器である、この私に!』

 

『器だなんて……例え作り物であっても、人間(ヒト)はそんな物にはなれませんよ!』

 

『その仮面の下のモノを吐き出せ! フル・フロンタル!!』

 

『終わらせるぞ! フル・フロンタル!』

 

『ならば、受けてたつまで……ガンダム!』

 

その言葉を最後に、戦闘は本格化した

シナンジュの周囲の装甲が開き、シナンジュがバズーカを両手に持って連射

更に、ネオ・ジオング両肩のメガ粒子砲が放たれた

五機はそれを、回避か楯で防ぐと反撃

五機の砲撃はまたもやIフィールドで防がれたが、消しきれずに拡散されたビームが、足だと思っていた部位に命中

爆発を起こした

だが、すぐに爆煙の中から無傷のネオ・ジオングが姿を現した

 

『無傷かよ!?』

 

『足じゃなくて、ドロップ・タンクか!』

 

一夏と弾が悪態を吐いたが、ネオ・ジオングはすぐに行動を再開

新たな兵器

サイコ・シャードを展開した

身構えたが、最初は何も起きなかった

だが、それに気付いたのはリディだった

機体がガタガタと揺れだしたのだ

 

『フル・フロンタル……一体何を!?』

 

とリディが叫んだ直後、バンシィの兵装が次々と爆発した

 

『リディさん! うぁっ!?』

 

『お前ら、下がれ! ぐうっ!?』

 

『なんだ!?』

 

『兵装が、爆発した!?』

 

バンシィに続いて、ユニコーンとデルタカイの兵装も次々と爆発

結果、三機は兵装を全て失った

だが、三機は後退しなかった

 

『それでもっ!』

 

『デルタァァァァァ!』

 

 

まず最初に、ユニコーンが突撃した

だが、それはネオ・ジオングの両手で押さえ込まれた

それに僅かに遅れて、バンシィとデルタカイも突撃した

両腕をユニコーンに使ったのだから、防げないはずだと

バンシィは後ろから

デルタカイは真上から突撃した

だが、新たに四本腕が現れて、二機を捕らえた

隠し腕が有ったのだ

 

『ぐぉ……ガアァァァァァァァ!!』

 

『ウァァァァァァァ!!』

 

捕まった二機の機体が悲鳴を上げ、それにシンクロするように二人が叫んだ

気付けば、デルタカイは関節部分から蒼い炎を出している

ナイトロを起動していたのだ

恐らく、叫んでいるのはそれも無関係ではないだろう

その時だった

 

『うぉぉぉぉぉ!!』

 

とバナージが叫んだ

その直後に、ユニコーンが自機体を捕まえていた腕を破壊した

そして、ネオ・ジオングの胸部

シナンジュに肉薄し、拳を繰り出した

それにより、シナンジュは両腕を喪失

すると、二機を解放しその四本腕でユニコーンを捕まえた

この時、周りではほんの僅かな時間だったが、バナージは長い時を経験した

それにより、長い時の果てを見た

暗くて寒い虚無を

フル・フロンタルは、それを知るのがNT

人々はその暗くて寒い虚無の入口で、僅かな希望にすがるだけだから、過分な期待はしない方がいいと

そう言った

だが、バナージはそれを良しとしなかった

だから

 

『それでも…………それでも!!』

 

と叫んだ

その直後、ユニコーンを捕まえていた腕が壊れた

そして、ユニコーンは両手をシナンジュに優しく当てた

ただそれだけだった

この時、直哉は二人分の意志を感じた

一人は、シャア・アズナブル

もう一人は、知らない少女のものだった

その名前は、ララァ・スン

アムロとシャアが出会い、惹かれた少女の存在だった

その直後、ネオ・ジオングが自壊を始めたのだ

そして、シナンジュも自壊

戦闘は終わった

だがこの時、バナージはそれを見た

メガラニカ目掛けて走る閃光の未来を

 

『バナージ!』

 

『大丈夫か!?』

 

態勢を立て直したらしく、二機がユニコーンに近付いた

すると、バナージは

 

『リディさん! トライアド1! メガラニカが狙われています! この宙域も危ない、急いで連絡を!』

 

と言った

それに要領を得ないのか、リディが

 

『おい、バナージ?』

 

と問い掛けたが、バナージは返答しないである方向に機体を飛ばした

すると、その方向に機体を向けた直哉が

 

『そうか……アレの事だったのか、マリーダさん!』

 

と声を上げた

 

『どういうことだ、トライアド1!』

 

『教えてくれ!』

 

『何が狙ってるんだ!』

 

リディ、一夏、弾の三人が問い掛けると、直哉機はユニコーンが飛んでいった方向

太陽の方向を指差し

 

『過去の戦争の遺産……有ってはいけない兵器……グリプス2だ!!』

 

と叫んだ

この後に、二機のガンダムが奇蹟を起こす


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