ISGジェネレーション   作:京勇樹

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シャアの反乱1

「この戦いを最後に、エゥーゴは連邦軍に帰属する形で発展的に解散」

 

「俺達も、別の戦場に行きました」

 

「次の戦場は、宇宙世紀94年……起きた戦乱は、通称で第二次ネオ・ジオン抗争……別名、シャアの反乱」

 

三人の説明の直後、映像が変わった

見えたのは、地球と資源小惑星のアクシズだった

 

「シャアは騙し打ちでアクシズを押さえると、中に大量の核を収納させて……地球への落下軌道を取らせた」

 

直哉の説明を聞いて、誰もが息を飲んだ

アクシズだけでも地球に落ちたら大災害だというのに、核まで中に入れた

それが一斉に起爆したら、どうなるのか

そう考えただけで、背筋に悪寒が走った

 

「それを阻止するために動いたのは、ブライト大佐が最高司令官として組織された部隊……ロンド・ベル」

 

一夏がそう言うと、ブライト大佐の顔写真とロンド・ベルの戦力が表示された

そのMS隊隊長の名前には、一年戦争の英雄

アムロ・レイの名前もあった

 

「俺達はそのブライト大佐に雇われて、ロンド・ベルと共にネオ・ジオンとの戦闘を開始した」

 

弾がそう言うと、直哉達三機が拡大表示された

直哉の機体は、変わらずZガンダム

ただし、配色が今と同じ黒になっている

そして、弾の機体はバスター系列機体に変わっていた

 

「弾君の機体、変わってますね」

 

と虚が問い掛けると、弾が

 

「俺の機体は、ヴェルデ・バスターに変更したんだ。バスターの後継機体で、ビーム兵器主体になってる」

 

と説明した

すると、ヴェルデ・バスターの武装が表示された

ミサイルは無くなり、腰にあったライフルが肩に位置を変更

代わりに、腰には銃剣付きのビームライフルを装備している

更に、装甲がPS装甲からVPS装甲に変わっていた

 

「VPS装甲?」

 

「VPS装甲はPS装甲の欠点だった電力消費の悪さを克服した、新型の装甲です。その機体に最適な消費を割り出し、装甲に通電してます」

 

真耶が問い掛けると、一夏がそう説明した

実は他にも、TPS装甲がある

そのTPS装甲は、外側の通常装甲に弾が当たった瞬間にのみ通電し、PS装甲をオンにするという手法が取られている

閑話休題

次に表示されたのは、一夏機だった

一夏機は前と同じアルトロンだったが、どうやら武装が一部追加されているようだ

 

「一夏のは、武装が増えた位かしら?」

 

「その通り。ビームトライデントじゃあ、小回りが悪いからな。そのためのビームダガーやら追加されてる」

 

鈴の問い掛けに、一夏が答えると武装が表示された

確かに、ビームダガーが追加されており、他には両腕にビームガンが追加されているようだ

 

『全機、あまりアクシズに近寄り過ぎるなよ!? 最初はブライト大佐が核ミサイルで破壊を試みるからな!!』

 

『了解!』

 

マークがそう言った直後、旗艦ラー・カイラムからミサイルが発射された

 

『着弾まで、後二十!』

 

と、ルナが言った

その十数秒後、巨大な爆発が連続して起きた

 

『つっ!? シャアめ!』

 

『まさか、核ミサイルだけを撃墜したのか!?』

 

『そんなこと、出来るのかよ!?』

 

直哉の言葉に一夏と弾が続けて言うと、マークが

 

『第二波、発射! とはいえ、期待薄だな……』

 

と言った

その十数秒後、再び連続して爆発が起きた

 

『ダメです! 核ミサイル、全弾撃墜されました!』

 

ルナがそう言うと、ロンド・ベルのMS隊が動き始めた

その先頭に立っているのは、水色と白で塗装された一機のガンダム

Hiーνガンダムだった

その機体に乗っているのが、アムロ・レイである

そのアムロの目的はシャアだが、道中で邪魔だったネオ・ジオン軍MS

ギラ・ドーガを撃破している

 

『流石は、アムロ大尉だ』

 

『ああ、動きが違うな』

 

一夏と弾がそう言ってる間に、トライアド隊の近くを連邦軍のMS

ジェガンが三機通り掛かった

 

『ん、このIFFは……カムナ大尉ですか?』

 

『ん? トライアド隊か』

 

そのジェガン隊はどうやら、カムナ隊だったらしい

 

『まさか、この戦場で会えるとは思いませんでしたよ。カムナ大尉』

 

『今は少佐だよ、トライアド1』

 

『失礼しました、カムナ少佐』

 

あの戦いの後、カムナ・タチバナは無罪放免となった

しかし、本人が納得しなかったからか、パイロットから身を引いた筈であった

 

『しかし、なぜまたパイロットに?』

 

直哉が問い掛けると、アクシズを指差して

 

『あそこに、忘れ物があるのさ……』

 

と語った

 

『忘れ物……ですか』

 

『ああ……過去の精算さ……カラスのね』

 

直哉の言葉に対して、カムナはそう言った

実は、過日に行われたシャアの演説の映像

そのシャアの背後に、カムナの曾ての同僚達が居たのだ

その同僚が間違いを犯しているのならば、それを止めるのが自分の役目だと、カムナは思ったのだ

 

『なるほど……なれば、俺達も同行して、手伝います』

 

『助かる。なにしろ、一年半近く乗っていなかったからな』

 

『カムナ君、来るわよ!』

 

カムナの部下の警告の直後、両隊の間を一発のミサイル

ギラ・ドーガの武装のシュトゥルム・ファウストが通り過ぎた

 

『全機!』

 

『戦闘開始!』

 

カムナと直哉が同時に言った直後、両隊は戦闘を始めた

双方共に、主武装はビーム兵器である

一瞬の油断が命取りだ

今も、一夏機が機体を傾けた場所をビームの弾幕が通り過ぎた

幾らガンダムとはいえ、直撃を受けたら無事では済まない

だがそれを、直哉達は当然のように避けていく

 

「あんたら、よくビームを避けられるわね……」

 

「光速だよねー?」

 

鈴と本音が問い掛けると、三人は

 

「慣れだ、慣れ」

 

「何事も慣れ」

 

「訓練で慣れた」

 

と語った

実際は、ライフルの銃口が向けられた時に反射的にその射線上から退いてるのだ

まあ、そこも慣れだろう

そして、この戦場で奇跡を目撃する

 

余談だが、ビームを避ける三人を見てラウラが

 

「ビームを避けるなら、レールガンを迎撃するのも納得だ」

 

と呟いていた


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