ISGジェネレーション   作:京勇樹

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ちょっと駆け足気味です
すいません


挺身

「ラビアンローズに到着するまでに、ネオ・ジオンの襲撃は二回程あった」

 

「だがそれらは、ジュドー・アーシタ達のおかげで、なんとかなった」

 

「そして、ラビアンローズで修理を終えた俺達はネオ・ジオンを追いかけて衛星軌道に向かった」

 

三人がそう語ると、映像が始まった

地球近く故に、地球が大きく映っている

アーガマとスピリッツ母艦

キャリーベースの艦影は無くなっているが、三人は母艦に居るだろうことは予想出来る

だが、その二隻の前にラビアンローズの姿が有った

その先には、夥しい数のネオ・ジオン軍艦隊が見えた

その直後、ネオ・ジオン軍艦隊からビームの砲撃が殺到してきた

全て避けるのは難しく、沈められるのは時間の問題と思われた

だがその二隻の前に、ラビアンローズが移動

まるで、二隻の盾になるように

 

「ラビアンローズが!?」

 

真耶がそう叫んだ直後から、ラビアンローズに砲撃が集中

至る所から、爆発が起きた

ラビアンローズは工作艦として建造されており、その装甲は戦艦には遠く及ばない

だが、ラビアンローズは回避する素振りすら見せない

最初から、二隻の盾になるつもりだったのだ

ラビアンローズは数分間ネオ・ジオンの砲撃を耐えたが、とうとう限界に達した

その結果、ラビアンローズはその名前の通りに、宇宙に大輪の花を咲かせた

 

「そんな……っ」

 

その光景に誰もが言葉を失った

だが、ラビアンローズの挺身は、決して無駄ではなかった

数分間

たった数分間だったが、その挺身によって、二隻の砲撃の有効射程範囲に到達した

 

『撃てぇぇ!』

 

ブライト艦長とゼノンの号令の直後、二隻から次々と砲撃が放たれた

二隻から放たれた砲撃は、最後尾に位置していたエンドラ級巡洋艦に次々と直撃

そのエンドラ級は、爆発・轟沈した

そこで終わる彼等では、決して無かった

 

『MS隊、出撃せよ!』

 

『了解!』

 

ゼノンの号令に従い、スピリッツ母艦

アークエンジェルから、次々とMS隊が出撃

更に、アーガマからもMSが出撃

ネオ・ジオン軍艦隊に迫った

しかし、ネオ・ジオン軍とて黙っている訳がない

ネオ・ジオン軍艦隊から、当然のように迎撃のMS隊が出撃

だが、この時のスピリッツの敵ではなかった

スピリッツの気迫は凄まじく、正に鬼気迫る気合いの雄叫びを上げながら、次々とネオ・ジオン軍のMS隊と後部艦隊を撃破・撃沈させていた

それもその筈だった

今、スピリッツ全員には共通された思いがあった

自分達は、傭兵

既に、死する覚悟は決めてきている

しかし、散っていったラビアンローズは民間企業の工作艦

つまり、運用していたのも民間人だった

そんな彼等に、犠牲を強いたのだ

我々の為に命を捨てた彼等の為に、一機でも敵たるネオ・ジオンを減らす

それが、スピリッツに出来る唯一の方法だから

 

『彼等の挺身を、無駄にするなぁぁぁぁ!!』

 

『オオオオオォォォォ!!』

 

マークの言葉に、スピリッツは万雷を彷彿させる雄叫びで返した

その気迫を伴い、スピリッツは全力で進撃を開始した

その時、直哉達の機体を見て

 

「また、三人の機体が変わってるわね」

 

と鈴が言った

すると、三人の機体が拡大表示された

 

「俺達が前に乗っていた機体は、グリプス戦役で大分ガタが来てたんだ。直哉のは乗り換えで、俺と弾は予備機体(リザーブ)だな」

 

鈴の質問に、一夏が答えた

そして、まずはグリプス戦役で直哉達が共闘した機体

Zガンダムが表示されて

 

「これが、俺の機体になったZガンダムだ。フェニックスゼロが、完全に俺の操縦に追い付かなくなったから乗り換えた。バイオセンサーっていうサイコミュ装置が搭載されてる機体で、俺のは原型機体より推力が強化されてる」

 

と直哉が説明すると、原型機体と推力が比較表示された

約1.5割増しと言ったところだ

 

「んで、俺の機体は予備機体のガンダムアストレイBFセカンドL。ある国がMSの研究の為に開発した試作機の改造機体だ。武装は少ないが、タクティカル・アームズって武装が大剣にもガトリングにも盾にもなる優れものだ」

 

と一夏が説明すると、アニメーションでそのタクティカル・アームズの可変機構が表示された

それを見た楯無が

 

(あの機体と武装、面白そう)

 

と思っていた

次に、弾が

 

「俺のは、前に乗ってたヘビーアームズの改造機体。ヘビーアームズ改だ。まあ、火力のごり押し機体だな」

 

と説明した

前のは片手二門だったガトリングが、両手四門になっている

確かに、火力ごり押し機体としか言えないだろう

そのヘビーアームズ改を見て、真耶が

 

(私向きです)

 

と思っていた

彼女山田真耶は、過去に銃火器を使わせれば千冬に互すると言われたISパイロットだった

その活躍と戦い方から与えられた二つ名が、《キリング・シールド》だった

真耶の戦い方は、相手の周囲に盾を配置し、その盾に弾丸を跳弾させて、前後左右上下から、相手を滅多撃ちにするというスタイルだ

しかし、その戦い方でも千冬に勝つことは叶わなかった

故に、真耶は千冬に万が一が起きた際の予備パイロット扱いだった

しかしだからと言って、彼女が弱いという訳では決してないので、悪しからず

閑話休題

スピリッツとアーガマ隊の活躍により、ネオ・ジオン軍の後部艦隊に多大な被害が出ていた

だが

 

『しまった!』

 

『間に合わなかったか!?』

 

どうやら、後部艦隊は時間稼ぎが役割だったようだ

ネオ・ジオン軍旗艦

グワンバンを含めて、ネオ・ジオン軍主力艦隊は大気圏突入装備

バリュートシステムを使い、大気圏突入を開始した

こうなってしまっては、最早手出し出来ない

熱気流により、狙いが定まらなくなるのだ

狙いが定まらないのに攻撃しても、エネルギーの無断使いだ

残ったネオ・ジオン軍艦隊とMS隊を撃破した時、ネオ・ジオン軍主力艦隊は大気圏突入を終えていた

 

『MS隊帰投しろ! 我々も大気圏に突入する!』

 

『了解!』

 

ゼノンの指示に従い、スピリッツはアークエンジェルへ帰投

スピリッツとアーガマ隊は、ネオ・ジオン軍を追う形で大気圏突入を始めた

そして、舞台は地球になる


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