ISGジェネレーション   作:京勇樹

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ようやく、終わったグリプス戦役
ちょっと詰め込んだ感があるけど………気にしないでね


刻に抗う者達14

直哉達は母艦に戻ると、補給と整備を済ませて外に出た

直哉達の機体は被弾によるダメージは無く、直ぐに直せた

そして、外に出たのは残党による襲撃を警戒してだ

その時、ある方向から一隻の小型艇

サラミス級の脱出艇が近づいていることに気付いた

 

『? マザー、こちらトライアド1。イエローアルファーの方角からサラミス級の脱出艇を確認した』

 

『こちらマザー。こちらでも確認しました。ビーコンから察するに、どうやらティターンズの脱出艇のようね』

 

直哉が通信すると、キャリーベースの通信担当者

レイチェル・ランサムから通信が来た

 

『ティターンズのだぁ?』

 

『先の戦闘の生き残りか?』

 

と一夏と弾が話し合っていた時だった

 

『こちら……の者だ! エゥーゴの誰でもいい! アーネストを止めてくれ!』

 

とノイズ混じりで、通信が入った

 

『その声は……准尉!?』

 

『お前は………オビノか!?』

 

どうやら、オビノ少尉の知り合いらしい

ソウイチ・オビノは元々、ティターンズのパイロットで、ヒューイット・ライネス大尉の部下だった

しかし、直哉達が合流する少し前にルシアン・ベントと交戦し負傷、入院

その時にライネス大尉から30バンチ事件の映像が入ったUSBメモリーを渡されて、視聴

ティターンズを抜けて、エゥーゴに来たのだ

そして、オビノ少尉の代わりにアーネストがライネス隊に補充要員として宛がわれたのだ

 

『まさか、オビノがエゥーゴに居たなんて……って、そんな話はどうでもいい! 今すぐに、アーネストを止めてくれ! 今ならまだ間に合う!』

 

『准尉、落ち着いて! 何があったんですか!?』

 

オビノが落ち着くように促すと、その准尉は負傷しているらしく痛みを堪えながら

 

『艦隊司令官が発令した作戦……中性子ミサイルを地球の各主要都市に落とす作戦を、アーネストが実行するんだ!』

 

と衝撃的なことを告げた

 

『なっ……!?』

 

『アーネストが!?』

 

『そんな!?』

 

オビノ、ヴァン、ダニカの三人は絶句していた

いや、絶句していたのはこの時の三人だけでなく軍事に明るいメンバーもだった

だが、よくわかっていない箒が

 

「中性子ミサイルとは、なんだ?」

 

と問い掛けた

すると、ラウラが

 

「一種の核ミサイルだ。ただし、核とは違って放射能はそれほどではない」

 

と説明した

それを聞いて、箒は首を傾げながら

 

「放射能は出ない……ならば、それほどではないのでは?」

 

と言った

だが、ラウラは拳を強く握り締めながら

 

「中性子ミサイルは……生物だけを殺すんだ……内側から、焼き殺すんだ」

 

と語り、それを聞いた箒は目を見開いた

中性子ミサイルの恐ろしいところは、無機物は一切破壊せずに生物だけを殺すのだ

UC世界でも過去に一度だけ使用され、余りにも残虐故に使用禁止兵器に分類されている

それを所持していた理由は、使用禁止兵器に分類され処分待ちだったが、処分費用が高く後回しにされていた

しかし一年戦争後にようやく太陽廃棄が決まった

しかし、度重なる紛争や戦役により遅れていたのだ

そして、その最終保管場所だったのが、ア・バオア・クーだったのだ

それを艦隊司令官が発見し、運び出したのだろう

そして、使用に踏み切った

もちろん、そんな作戦は阻止しなければならない

直哉達は行動を開始した

とはいえ、戦力は多くはない

艦艇はキャリーベースとアレイオーン、サラミス級のシラクサとカタニアの四隻

搭載MSは12機

片やティターンズ残党軍たる相手は、アレキサンドリア級重巡洋艦を含めて艦艇は4

しかし、搭載MSは18機

問題なのは、件の中性子ミサイルを撃ちだす機体

コンペイトウから運び出していたMA

ハティと共に運用される新型ガンダム型MSスコル

この二機は何でも、対で運用されることが前提らしい

ハティに強化人間が乗っていれば、スコルに強化人間が乗っている必要が無いらしい

ただし、全力で稼働するには半径1km以内に居ないといけないようだ

しかし、その艦隊には強化人間はロスヴァイセ1人だけ

聞いた話では、ロスヴァイセはまるで子供のようになっていたということ

それでは、MAに乗せることは出来ないのでは?

そう思ったが、その艦隊司令官はロスヴァイセをMAの生体部品にすることを決定し、その為にかなり強度の強化措置を施したらしい

結果、ロスヴァイセは寝たきりの状態になりMAに運び込まれたらしい

作戦開始時間は、既に差し迫っていた

だから、動けたのは極一部

直哉達とアレイオーン艦隊のみ

しかし、迷っている時間はない

ラムザットとカーク少佐はエゥーゴの旗艦たるアーガマに得た情報を送ると、連絡を待たずに動いた

今は少しでも時間が惜しい

故に、連絡は待たなかった

そして、出撃してから数時間後に艦隊は件のティターンズ艦隊を捕捉した

場所は、地球の静止衛星軌道上

そして、件のMAも出撃しようとしていた

それを確認したからか、先行出撃していたダニカがロングライフルを構えて

 

『攻撃します!』

 

と報告したと同時に、砲撃した

ダニカが撃ったビームは真っ直ぐにMAに伸びたが、当たる直前で不自然に曲がり近くのサラミス級の艦腹を貫いた

実はそのサラミス級がアーネスト達の母艦であり、ダニカの砲撃で艦長だったジゼル・アルベール少佐が戦死

しかもその直前には、少し前に合流したユーイン・バーダー少佐をアルベール少佐が射殺していた

その理由は、恋人の敵討ちだった

ユーイン・バーダーに殺されたヒューイット・ライネス大尉は、アルベール少佐のデラーズ戦役時からの恋人だった

付き合いは一年戦争からだったが、付き合い始めたのはデラーズ戦役からだった

そして、このグリプス戦役が終わったら結婚する予定だった

しかし、バスク・オム大佐が派遣したユーイン・バーダー少佐はライネス大尉を反乱の意志アリと判断し、戦闘のドサクサに紛れて殺害

それを恰も、ヴァンに撃破されたというように連絡していたのだ

しかし、それはアーネストの報告とそれを見ていた部下からの報告で真相が判明

アルベール少佐は、戦死という軍人にとっては名誉ある死に方を許さなかった

故に、彼女自らが射殺したのだった

そして、アルベール少佐が自決しようとした時にダニカが撃ったビームが直撃

アルベール少佐にとって救いだったのは、自決じゃなかったことだろう

閑話休題

 

『ビームが曲がって、MAにダメージは無し! サラミス級一隻落伍! 敵MS隊、来ます!』

 

『全機、出撃! ヴァンとダニカは動き始めたMAを追え!』

 

『了解!』

 

カーク少佐の指事に従い、艦隊は動き出した

ヴァンとダニカは、ベースジャバーを使ってMAとスコルを追撃

艦隊と直哉達、エゥーゴMS隊はティターンズ艦隊と交戦を始めた

しかし、戦闘は長くは続かなかった

双方共に一大戦闘後であり、物資は消耗し艦も少なからず損傷している

MSのビームライフルを受けて、シラクサが落伍

アレイオーンもカタパルトが破損した

しかし、ティターンズ側はサラミス級二隻が艦橋大破により落伍

更には、MSも大半が戦闘不能に陥り、エゥーゴ側の陸戦部隊によりアレキサンドリア級を制圧し降伏した

しかし、艦隊司令官だったニシザワ中佐は服毒自殺していた

そして、エゥーゴ側は

 

『え? ルシアン大尉が負傷!?』

 

『ええ。機銃の一発がコクピットに当たって、右足を膝から喪失したわ』

 

グリプス戦役を初期から戦っていたルシアン・ベント大尉が、右足を失う重傷を負っていた

 

『ルシアン大尉は?』

 

『既に、艦に収容済み。今は治療中よ。なんとか、サイバネティック化は間に合いそうだけど、しばらくは戦闘は無理ね』

 

レイチェルの報告を聞いて、直哉達は頭を抱えた

ルシアン・ベントというベテランパイロットを失うのは、エゥーゴとしては手痛い損失だ

この後がどうなるか分からないから、尚更だった

 

『機体のほうは?』

 

『コクピットブロックを交換するのに、約二十分という処で、パイロットはオビノ少尉にするとのことよ』

 

『オビノ少尉か……』

 

オビノ少尉ならば、同じ仕様のリックディアスに慣れている

充分に乗りこなせるだろう

アレイオーン隊では、腕にスラスターバインダーが増設されており、原型機体よりも機動性が上げられている

オビノ少尉も最初は手こずってはいたが、今では自分の手足のように操縦している

 

『後は、二人次第か……追跡は?』

 

『ミノフスキー粒子が濃くて、捕捉は……』

 

直哉からの問い掛けに、レイチェルは顔を伏せた

まさしく、成否は二人に預けられた

状況が動いたのは、それから約一日後だった

ヴァン隊は衛星軌道にてハティとスコルを捕捉

戦闘を開始

アーネストはガンダムスコルの性能をフルに発揮し、ヴァンとダニカの二人を圧倒

アーネストは二人を戦闘不能に陥らせると、ハティと共に大気圏突入コースに入り始めた

そう、アーネストは最初から中性子ミサイルを廃棄するつもりだったのだ

自分達と共に

それにヴァンが叫んでいると、奇跡が起きた

機能を止めた筈のケストレルが、ロスヴァイセの意志を受けて再起動したのだ

そしてサイコミュでバインダーを操り、ビームサーベルでスコルの両手足を切断

体当たりさせて、スコルを助けたのだ

これは、ケストレルにロスヴァイセの脳波データが残されていたこと

更に、ロスヴァイセの強化措置が最大級に施されていたからこそ起きた奇跡だった

直哉達が到着した時、ケストレルは喪失されたもののヴァンは無事

ダニカは機体は中破していたが、無事だった

二人の奮戦により、悪魔のような作戦は阻止された

実を言うと、直哉は戦域から離れていくコア・スクァードを捕捉していた

その中から感じる、二人分の感謝の念と共に

こうして、グリプス戦役は幕を下ろした

しかし、休む間もなく新たな戦闘に直哉達は参加することになる

通称、第一次ネオ・ジオン戦役に


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