ISGジェネレーション   作:京勇樹

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UC、戦争多すぎぃ


刻に抗う者達9

遅く合流した二機のリックディアス

ルシアン・ベント機とソウイチ・オビノ機と協力したことにより、バーダーのMA

ラクシャサを一時撃退すると、直哉達とデルフォイ隊は予定より早いが、コンペイトウに進撃を開始した

しかし、ティターンズの抵抗も激しく、中々コンペイトウに取り付けないでいた

全体的に見ると、戦況はエゥーゴが優勢気味だった

しかし膠着状態になり、状況は停滞

双方の動きが止まった

動きが無いまま、数時間が経過した

その状況が変わったのは、機体の補給が終わった時だった

作戦本部から通信で、コンペイトウ内で決起した連邦兵達がティターンズに押されている

と来たのである

しかも、その戦力にはダニカの名前も確認された

それを知った彼らの動きは早かった

小型の強襲揚陸挺を用意し、デルフォイとサラミス級のシラクサ、カタニア。三隻分の陸戦隊をコンペイトウにMSと一緒に突入させる作戦を立案した

ティターンズはその名前の通りと言うべきか、MSに比重を置いており、歩兵戦力が乏しいのだ

事実、先の地上の基地攻略戦でも、陸戦隊を投入して僅か二十分でティターンズの歩兵部隊は全滅し、基地は掌握されている

更に言えば、今回はコンペイトウ内部で決起が起きている

その制圧に歩兵を割いている現状で、更にエゥーゴの陸戦部隊

しかも、彼らは一年戦争時から生き残っているベテラン揃い

特に、デルフォイの陸戦部隊は一年戦争時からMSの撃破すら記録している精鋭中の精鋭

コンペイトウに突入すれば、内部に蟻の巣のように張り巡らしてある坑道を使ってMSの撃破も出来るだろう

そんな彼らを投入するために、全員で策を考えた

まず、強襲揚陸挺

これを覆うように、隕石型のダミーバルーンを配置し、慣性で進ませる

つまり、強襲揚陸挺も慣性航行だ

この時、デルフォイ隊と直哉達もダミーバルーンの影に隠れて慣性で近づいていく

この時、慣性移動している彼らを気付かせないために、カタニアとシラクサの艦載MSの内の半数を、陽動に出す

そして一定の距離に近付いたら、一気に最高速でコンペイトウに突入する

チャンスは一度だけの、正に一発勝負

そして、作戦は開始された

静かに進む強襲揚陸挺とMS隊

そこから少し離れた場所にて、カタニアとシラクサのMS隊がティターンズのMS隊相手に、派手に動いて戦っている

そんな彼らの無事を祈っていた

その時だった

シラクサのMSの一機を、高速で飛来したMAのクローが掴んだ

しかも、ゆっくりと握り潰した

接触回線で、握り潰したネモのパイロットの悲鳴と嘆願

それを聞いていた筈だ

MA

ラクシャサの推定出力ならば、簡単に握り潰せた筈なのに

 

『あんたは、ふざけるなぁ!!』

 

気付けば、ヴァンがそう叫びながらラクシャサに突撃していた

どうやら、我慢出来なかったようだ

 

『ハハハハ! ここで出会うなんてねぇ! 余程、日頃の行いがいいんでしょう!』

 

この時、直哉達は初めてバーダーの声を聞いた

その声から察するに、闘いを楽しんでいる

相手を、殺すことを

それが許せなくて、ヴァンはバーダー操るラクシャサへと突撃していった

直哉達も続こうとしたが、それは横合いからマラサイと新型機のバーザムに邪魔された

数は六機

バーザムは形はかなり違うが、ガンダムmkー2の簡易量産型らしい

だからと言うべきか、その性能は量産型機体の中ではかなり高いほうだ

だが、ガンダムに敵う程ではない

直哉は斬りかかってきたマラサイの腕を掴み、攻撃を防止すると同時にそのマラサイを楯にした

そのマラサイは振り払おうと蹴りを放ってきたが、それはいつの間にか抜いていたビームサーベルで切り飛ばされた

直哉はその勢いのまま、マラサイの頭を破壊した

マラサイはエゥーゴが運用しているMS

リックディアスのコピー、改修機だ

だから、コクピットの位置は同じ

頭なのだ

コクピットを破壊されたマラサイは、動きを停止

直哉はそのマラサイを蹴り飛ばし、敵討ちをしようと近付いてきていたバーザムに当てた

それによりバーザムはバランスを失い、ただのいい的だった

それを狙い、直哉はメガビーム砲を発射

バーザムを撃破、しかも運良く別のマラサイが脚部を喪失

バランスを失った

そのマラサイを腕部ガトリングで蜂の巣にすると、周囲を見た

どうやら、残っていた三機は一夏と弾が撃破したようだ

 

「俺達の中では、直哉が一番早く覚醒したな」

 

「宇宙への適応者。人類の上位存在たるNT……」

 

一夏と弾の言葉を聞いて、セシリアとシャルロットの二人は思う所があった

人間の上位存在のNT

それの戦闘力の高さは、最早明白だった

だが、本当に戦う為だけなのだろうか?

二人には、それが気になっていた

ふと気付けば、直哉達とデルフォイ隊はコンペイトウの近くまで来ていた

しかも、ヴァンとラクシャサはまだ戦っている

直哉達はヴァンの援護をしようとした

その時だった

ラクシャサがケストレルに狙いを定めて、メガ粒子砲の発射態勢に入った

しかしケストレルは回避行動をせずに、両膝と両肘のビームブレイド

更に、両手でビームサーベルを保持して迎撃態勢に入った

それは、常軌を逸した行為だった

なぜ回避行動をしないのか

殆どのメンバーには分からなかった

その時、直哉がある場所をピンポイントで拡大表示した

そこは、ケストレルの後方、約数十m

そこには、パイロットスーツを着た人影があった

そのパイロットスーツの色と発せられているビーコンから、誰かは直ぐに分かった

 

『ダニカ!』

 

『なに!?』

 

データリンクでダニカが居ることに気付いたのだろう

一夏が驚愕の声をあげた

その直後、ラクシャサがメガ粒子砲を発射

ケストレルは六本のビーム刃を前に集中させて、角錐状にした

そして、正面からメガ粒子砲に突撃した

ビーム刃とメガ粒子砲がぶつかり合い、激しく火花が散り、メガ粒子砲も拡散する

最初は拮抗していた、その激突

しかし徐々に、ケストレルが押され始めた

それに続くように、ケストレルの各所で小規模の爆発

 

『ヴァン君!』

 

直哉が声を上げた時だった

 

『力を貸せ……ケストレルッ!』

 

とヴァンが吼えた

その直後、ケストレルのツインアイが強く輝き、ビーム刃が力強く伸びた

そして、スラスターが力強く炎を吹かして、メガ粒子砲を切り裂いていった

 

『バカな!?』

 

『アアアァァァァァァァ!!』

 

バーダーの驚いた声に重なるように、ヴァンの雄叫びが響き渡った

その直後、ラクシャサをケストレルが貫いた

ラクシャサが爆発を起こすなか、ラクシャサの下部部分が分離した

どうやら、脱出機らしい

脱出機は方向転換すると、凄まじい速度で離脱していった

 

『野郎、逃がすか!』

 

『追うな……もう追い付かない』

 

一夏が追撃しようとしたが、それは直哉が止めた

それに気付けば、コンペイトウから降服信号弾が打ち上げられていた

どうやら、陸戦部隊が制圧したようだ

 

『それに、俺達には他にやることが有るだろう』

 

直哉はそう言いながら、機体を進ませた

その先には、ケストレルから分離したコア・スクァードがダニカの居た場所まで進んでいたのだ

しかもキャノピーを開けて、中からヴァンが出ていた

 

『さあ、ヴァン君にとっての姫様のお帰りだ……』

 

直哉はそう言いながら、ゆっくりと近付いていった

こうして、コンペイトウ攻略戦

別名、第二次ソロモン攻略作戦は幕を下ろしたのだった


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