ISGジェネレーション   作:京勇樹

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二日連続更新!


刻に抗う者達3

次に映ったのは、海上だった

どうやら、高速飛行しているようだ

機体数は、増えて九機

しかし、ジム改の姿が大きく変わっていた

肩が大きくなっており、背部にバインダーが増設されている

 

「あの機体、改修されてるね?」

 

「ワグテイルユニットだ。エゥーゴに協力してくれてるある企業が、連邦軍の次期主力機体の選定用にデータを欲しがってたから、データ収集をする代わりに、格安で貰い受けて、ジム改に取り付けたんだ。とは言うものの、基になった機体が旧式機体の寄せ集めだから、一部の機能にリミッターが掛かってるがね」

 

楯無が問い掛けると、直哉が説明した

更に気付けば、ジムキャノンⅡも変わっていた

ビームキャノン砲が右肩一門になり、左肩には大きなセンサーが装備されている

ジムキャノンⅡ・ホワイトコーラル

白珊瑚の名前を与えられた改修ユニットで、軍備縮小により旧式機体が配備されてる連邦軍に売り込むのを目的としている

ビームキャノンが一門になったから火力が下がったと思われるだろうが、むしろ向上している

収束率を変えることができ、狙撃の真似事も出来る

上半身に重量が偏ったことでバランス性は悪化したものの、全体重量で言うと、むしろ軽量化している

更に、ハイザックも改修されていた

頭部ユニットが変更され、策敵可能距離が向上している

そうこうしているうちに、目的地が見えた

海辺の基地だった

 

「今回の作戦は、ティターンズの基地を襲撃し、一時的にせよ基地の機能を麻痺させて、行動を制限させることだった」

 

「そのために、付近のユーコン級にも連絡して、連携することにしたんだ」

 

「MS総数九機、戦艦1、潜水艦1だな」

 

三人がそう説明した直後、戦闘が始まった

まず先に攻撃したのは、長距離攻撃能力を有する弾とジムキャノンⅡだった

二機はまず、緊急展開してきたハイザックとMSハンガーに対して砲撃を開始

あっという間に展開したジムⅡとハイザックは全機大破

MSハンガーも爆発した

それを合図に、ユーコン級のMS

ザクマリナーがSFSから次々と降下

施設の破壊を始めた

ケラウノス隊と直哉達は、巡回から急いで戻ってきたらしいジムⅡ部隊と交戦を開始

数は互角だったが、活躍したのは直哉だった

直哉機はSFSを必要とせず、MS単体で大気圏内を飛べる機体だ

SFSよりも小回りが効くために、死角たる下方から攻撃

次々と撃破した

そして、戻ってきたMS隊を全て撃破した時、信号弾が上がった

それは、事前に決められていた救援要請を示すものだった

 

『ザクマリナー隊から救援要請です!』

 

『向かおう!』

 

『了解!』

 

ルシアンの言葉に全員従って、信号弾が上がった地点に向かった

そこに見えたのは、中破した一機を庇いながら戦う二機を弄んでる一機の円盤形の機体だった

 

『アッシマーだと!? この基地に配備されてるなんて、聞いてないぞ!』

 

『いいから撃て! ザクマリナーから引き剥がすんだ!』

 

ルシアンの言葉を皮切りに、アッシマーに向けて射撃が集中した

しかし、アッシマーは素早く機首を翻し回避

急速上昇した

 

『僕が行きます!』

 

ヴァンはそう言って、SFSを急速上昇させた

そこから激しい空中戦闘が始まった

その間に、直哉達は中破していたザクマリナーと損傷しているザクマリナーをカバーしながら後退

 

『クソッ……援護したいが……』

 

『下手に撃ったら、ヴァン君に当たる』

 

直哉達の視線の先では、ジム改・ワグテイルとアッシマーが激しく空中機動戦闘を繰り広げている

アッシマーが正面からビームライフルを撃つが、それをワグテイルはSFSからドッキングアウトして回避

ビームライフルを連射

しかし、アッシマーはそれをきりもみ上昇して回避

切り返して真上から降下してきた

 

『ヴァン君避けろ!』

 

『ダメだ、当たる!』

 

ヴァンはアッシマーからのビームを回避しようとワグテイルを左右に動かすが、避けきるのは無理だと思った

しかし、アッシマーはビームを撃つことなくワグテイルの横を降下していった

 

『なんだ? 撃たなかったぞ?』

 

『機体のトラブルか?』

 

一夏と弾はいぶかしむが、直哉はアッシマーにビームライフルを向けた

しかしアッシマーは、素早くワグテイルを間に挟むことによって射撃を未然に防いだ

そのアッシマーに対して、ヴァンはビームサーベルを振り下ろした

だがしかし、アッシマーは軽く回避

そこで可変し、MS形態になりワグテイルにビームライフルを向けた

 

『させるか!』

 

ワグテイルは回避機動を取り、ルシアンがライフルを向けた

しかし、間に合わないと全員が分かっていた

だが、アッシマーは何もせずにMA形態になって離脱した

 

『離脱した……?』

 

『何がしたかったんだ、あいつは……』

 

ダニカと一夏がいぶかしんでる間に、ワグテイルはダニカ機の近くに着地した

 

『ヴァン、大丈夫?』

 

『ダニカ……僕、二回殺された……態と見逃された』

 

ダニカが問い掛けると、ヴァンは悔しそうにそう呟いた

 

『どういうこと?』

 

『あのパイロット、僕にオープンチャンネルで話し掛けてきたんだけど……もっと楽しませて下さいって言ってた……戦いを楽しんでた』

 

『なに、それ……』

 

『戦いを楽しんでた……か』

 

『ふざけた奴だな……』

 

戦いを楽しむ

それは、直哉達だけでなく、見ていたメンバーにも理解出来なかった

 

「戦いを楽しんでる奴は、ジェネレーションワールドでも何人か居た……」

 

「このアッシマーのパイロットだった、ユーイン・バーダー少佐。ヤザン・ゲーブル。そして、あいつ……」

 

「あの戦争狂もな……」

 

三人の脳裏には、赤い髪の男が浮かんだ

人間のプリミティブな感情に従う、戦争狂いの男が……

 

「しかも、あのパイロットは去り際に潜水艦を沈めた……」

 

「ある意味、因縁の敵になるな」

 

「そして、次の戦場に向かったんだ……ティターンズの地上基地攻略作戦に」

 

そして映ったのは、湿地帯の基地だった

そして、悲しい別れが起きる


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