映ったのは、上空から撮影されているらしい市街地だった
その時、地上から直哉達と後方のMS部隊に砲撃がされた
茶色い機体で、腕部と一体化した機関砲を撃ってきている
よく見ると片腕が無く、機体全体に損傷がある
動いているのが奇跡的な損傷だった
『一夏、弾、撃つな。味方だ』
『了解』
直哉が指示を出して二人が返答した直後、後方のMS部隊の一機
ジム改が信号弾を撃った
すると、砲撃していた機体
元ジオン公国軍水中機
アッガイは砲撃を止めた
そして、そのアッガイから通信が繋がった
『こちら、ケラウノスとスピリッツ所属のMS部隊です。無事ですか?』
『こちら、Uー332の者だ。ああ、あのザンジバル級からとは、縁があるな』
どうやら、ジム改の部隊は一度会ったことがあるようだ
通信してる間に、ジム改の部隊
ケラウノス隊は、乗っていたSFSから飛び降りて着地していた
「あ、三人の機体。また変わってる」
「直哉のは、前の機体の改修機?」
三人の機体に気付いて、鈴とシャルロットが視線を向けた
すると、三人の機体が拡大表示された
「俺の機体は、前に乗ってたフェニックスゼロの改修機。フェニックスゼロ・改だ。全体的に性能の底上げがされてる」
直哉がそう説明すると、改修前との性能差が比較表示された
約1、2倍といったところだろう
更に、両腕にガトリングが内蔵されたようだ
「俺の機体は、アルトロンガンダム。ビームトライデントとビームキャノン。火炎放射機と様々な武装が施された機体だな」
一夏が説明した通り、様々な武装が施されている
それを見て、鈴は内心で
(あたし向きかも)
と思っていた
「最後に、俺の機体はバスターガンダム。その名前の通りに、砲撃戦重視の機体だ」
弾がそう説明すると、機体の武装が表示された
その機体一機で、確実に中隊規模を相手に出きるだろう
『状況は?』
『奴ら、
直哉が問い掛けると、そのアッガイのパイロットが答えた
その説明を聞いて、直哉達はアッガイが指し示した方向を見た
確かに、大きな道路を挟んだビルの陰に、隻腕のズゴックが見えた
『敵の規模は?』
『確認出来たので、中隊規模は確実だ。増援が来てる可能性もある』
『約12機か………』
それを聞いたからか、ジム改のパイロット
ヴァン・アシリアイノはビルの上にダミーバルーンを射出した
射出されたダミーバルーンがMSの形に膨らんだ直後、マシンガンの弾が直撃して破裂した
『一機は近くに居ますね……ダニカ?』
『遠くに一機、スナイパータイプ確認………ジム・スナイバー系みたい』
ヴァンの呼び掛けに答えたのは、ハイザック・エピテンドルムに搭乗した少女
ダニカ・マクガイアだった
ダニカのハイザック・エピテンドルムは、頭部が通常機から喚装されており、それによって通常機よりも広い範囲を索敵出きるのだ
『それは、ダニカに任せよう。数は?』
『12機居ますね。間違いなく、中隊規模です』
隊長らしい男性
ダズル迷彩のジムキャノンⅡに搭乗のルシアン・ベントの問い掛けに、ダニカは淡々と答えた
数の差は、大したことはない
しかし、こちらは殆どが旧式
しかも、二機は損傷が酷い
下手に動けば、苦戦は免れない
少しすると
『ルシアンさん。俺達が前に出て、敵を引き付けます』
と直哉が言った
『いいのかい? 君達に、敵が集中するよ?』
『数の差を覆すのは、それくらいかと思います。それに、俺達だってスピリッツです。やってみせます』
直哉の言葉を聞いて、ルシアンは少しの間黙った
そして
『わかった。それで行こう。こちらも、出来うる限り援護する』
『了解……行きます!』
直哉はそう言うと、一夏と弾の二人を率いて突撃した
もちろん、三人を撃破しようとティターンズのMSも動き出した
機種はハイザックとジム・クゥエルだ
ジム・クゥエルを未だに使っているのは、ハイザックよりも機体の出力が高いからだろう
ハイザックはジオン系の技術と連邦系の技術が使われた、一年戦争後初の新規設計MSだ
しかし、二つの技術が中途半端に混じってしまい、その結果、新型機体なのに機体出力が低いという残念な機体だった
それにより、ビーム兵器の運用に制限があった
ビームライフルを使うなら、ヒートホーク
ビームサーベルを使うなら、ザクマシンガン改となるのだ
もし、二つを使おうとすると、あっという間に出力が低下
起動すら困難な状態に陥るのだ
それが理由で、ハイザックが配備開始されたというのに、ジム・クゥエルを好んで使うパイロットも居るのだ
なんとも、本末転倒な話だ
しかし、ハイザックはそれを補うために多種多様な武装が用意された
さらに、ザク系特有の汎用性と発展性の高さから複数のバリエーションが開発された
それにより、幅広い戦術が取れるようになった
突出した三機に対して、ティターンズは六機接近してきていた
恐らくは、包囲殲滅するつもりだろう
それを読んだのか、直哉は
『散開、
と指示した
その直後、三機は散開
機敏に動き出した
そんな三機を各個撃破しようと、二機ずつ接近してきた
まず、一機のジム・クゥエルが一夏機に近づいてビームサーベルを抜いた
その直後、そのジム・クゥエルを弾機のビームが背後から撃ち抜いた
そんな弾機を狙って、ハイザックがビームライフルを構えたが、それは直哉機が左側面から切り裂いて撃破
その直哉機を狙って、二機のジム・クゥエルがビームライフルで狙うが、それは一夏機がビームトライデントとビームキャノンで撃破した
残りの二機は後退しようとしたが、直哉と弾がビームライフルで撃破した
まさしく、ガンダム乗りに相応しい戦いだった
損傷無し
敵六機を、瞬く間に撃破した
残っていた六機は、一機がダニカ
残りの五機は四機の卓越した連繋と策で撃破したようだ
『付近に他の反応無し』
『よし、今のうちに離脱する。ルートは3だ』
『了解』
ルシアンの指示を受けて、全機体は離脱を始めた
「この後は、小規模の戦闘が何回か起きた」
「その全てが、ティターンズとの戦いだった」
「全部、圧倒的力で戦う力の無い人達を襲い、虐殺したんだ……スペースノイドを」
三機の戦闘
そして、三人の話を聞いて、誰もが黙っていた
余りにも理不尽で、あってはならない虐殺
それを、正義だと語って行うティターンズ
その在り方に、誰もが怒りを覚えた
「そして、俺達はある戦いに参加した」
「それは、ある島の防衛戦闘」
「その島に住んでいたのは、一年戦争で住んでいたコロニーを失った人達だった。無人島を開拓し、細々と暮らしていた……ただ、不法居住者だったから。反連邦政府武装組織を匿っていたから。たったそれだけで、ティターンズは戦艦を含めた戦力を差し向けたんだ」
三人がそう説明すると、小さな島が映った
今、尊き命を守る戦いが始まる
そして、人を越えた存在が現れる