ISGジェネレーション   作:京勇樹

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以後、三人は分隊行動を取ることが増えます
今回、三人はサイドストーリーに行きます


次の戦場

「デラーズ戦役後、俺達は少し休んでから次の戦場に向かった」

 

「ただし、次の戦場は2つの陣営から同時に依頼が来たんだ」

 

「片方は、あのジャミトフ・ハイマンが設立した部隊。ティターンズから……そして、もう片方は反地球連邦勢力。エゥーゴ」

 

三人の説明を聞いて、何人かは首を傾げた

 

「ティターンズ、エゥーゴ?」

 

「ティターンズはジャミトフ・ハイマンがジオン残党狩りを目的に設立したエリート部隊だ」

 

「それに対してエゥーゴは、ティターンズのやり方を快く思わない者達が集まって出来た武装組織だ……ただし、その兵員の殆どが同じ地球連邦の兵なんだ」

 

「つまりは、内乱だな」

 

簪が首を傾げると、三人がそう説明した

それを聞いて、殆どのメンバーが驚いていた

同じ軍なのに、内乱なんて

というところだろう

それに気付いたのか、三人が

 

「同じ地球連邦軍でも、産まれた国や地域はバラバラ」

 

「なにより大きいのが、地球産まれと宇宙産まれでの差別だった」

 

「アースノイドとスペースノイドでな……地球連邦内部だと、地球産まれの方が偉いって考えが強かったんだ」

 

と説明した

それを聞いて、全員が納得した様子で頷いた

そして、ラウラが

 

「つまりは、ティターンズが地球産まれ。エゥーゴが宇宙産まれの者達で組織されたんだな?」

 

と問い掛けた

それを聞いて、直哉が指を鳴らして

 

「ザッツ・ライト! 流石は元軍人だ。理解が早いな」

 

と誉めた

そして、三人は映し出されている宇宙を見ながら

 

「スピリッツは、平たく言えば傭兵だ。普通だったら、依頼料金が高い方に付く」

 

「そういう意味じゃあ、ティターンズの方が依頼料金は高かった」

 

「だけど、隊長と艦長は依頼の受諾を躊躇っていたんだ」

 

「なんで、躊躇ったんだ?」

 

三人の説明を聞いて、箒が首を傾げた

 

「ティターンズの創設者、ジャミトフ・ハイマン。それの副官のバスク・オム。この二人は地球至上主義者で、宇宙産まれの人達を見下す傾向が強かったんだ」

 

「それに、キナ臭い噂も多々あったしな」

 

「その噂を調査してた時に、一つの映像を入手して……スピリッツはティターンズの依頼を断ったんだ」

 

「一つの、映像?」

 

虚が気になったのか、三人に問い掛けた

すると三人は、辛そうな表情を浮かべて

 

「束さん。ファイル再生をお願いします」

 

「ナンバーは7183552」

 

「パスワードは、クライム」

 

と三人が頼むと、束はすぐに取りかかった

そして、始まった

それは、虚空の宇宙へ続くハッチだった

 

「これは…………格納庫の映像?」

 

「正確には、巡洋艦から出撃する機体の映像だな」

 

山田先生が問い掛けると、直哉が答えた

すると、その機体が射出されたらしく、周囲の光景が高速で変わった

少しすると、待っていたらしい紺色系統に塗装されたジム系の機体

ジム・クゥエルが居た

 

「この機体、ジム・クゥエルはティターンズ専用に開発された機体だ」

 

「じゃあ、この映像はティターンズの?」

 

「まあ、そうなるな」

 

直哉の説明を聞いたセツコが問い掛けると、一夏が頷いた

その時、一基のタンクが近づいてきた

そのタンク側面には、Gー3という字

ジム・クゥエルと撮影していた機体は、そのタンクを保持すると移動を始めた

そして少しすると、一つのコロニーが見えた

二機は静かにコロニーに近付くと、タンクからホースを伸ばしてコロニーに繋げた

すると

 

「………まさか!?」

 

「つっ!?」

 

簪と楯無は気付いたのか、声を上げた

作業し終わったのか、撮影してた機体が移動して巨大な窓

川から中を見た

そこに見えたのは、地獄だった

コロニーの住民達は苦しそうにのたうち回り、至る所に倒れ付している

その光景を見て、全員が口元を覆った

何人かは、目を反らしている

そこで、映像は途切れた

 

「通称、30バンチ事件……」

 

「表向きは、未知の病原ウイルスが発生し、コロニー一つが壊滅……それを閉鎖して、ウイルスの拡散を防いだとされる事件だ」

 

「だが実際は、反連邦政府運動家達が集まって集会をしてたコロニーに対する、住民すら巻き込んでの虐殺だったんだ………」

 

三人の説明を聞いて、誰もが言葉を失っていた

民間人を守るはずの軍隊が、民間人の虐殺を行う

本来それは、あってはならないことだ

 

「力こそが正義。ティターンズはそれを掲げて、ジオン残党狩りだけでなく、スペースノイドへの弾圧をしていた」

 

「一年戦争で住むコロニーを失ったスペースノイドが地球の人が住んでなかった森林や無人島を開拓し、静かに暮らしていた人達の集落をMSを投入して襲い、少しでも抵抗したら皆殺し……しなくても、集落は焼き討ちし、捕縛した人達は劣悪な環境下で死ぬまで働かせた……」

 

「別に、俺達(スピリッツ)は正義の味方じゃない。けど、ティターンズのやり方が許せなかった……だから、俺達はティターンズからの依頼を断り、エゥーゴに付いたんだ」

 

三人の説明を聞いて、全員が納得した様子だった

そんな中、ラウラはティターンズに激しい嫌悪感を覚えた

最初はその理由が分からなかったが、少しして気付いた

それは、同族嫌悪だと

ティターンズが、まるで嘗ての自分に重なったから

 

「そして、俺達は隊長の指示に従って分隊行動を取ることになったんだ」

 

「隊長達が宇宙で」

 

「俺達は、移動拠点を与えられて地上に降りたんだ」

 

三人がそう説明すると、映像が変わった

漆黒の宇宙から、青い空と海へ

そして、三人が出会ったのは、(とき)と巨人達に抗う者達だった


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