ISGジェネレーション   作:京勇樹

57 / 265
追撃2

「宇宙に逃げたガトーを追って、俺達も宇宙に上がった」

 

「しかし、宇宙に上がってすぐの戦闘で、ゼフィランサスは大破。コウ・ウラキ少尉は負傷。機体と少尉は月に運ばれて、治療と改修されることになった」

 

「なおゼフィランサスが大破した要因は、敵が強かったことも挙げられるが、一番大きいのは、機体が宇宙用の調整をされてなかったこと」

 

三人の説明を聞いて、何人かが怪訝そうな表情を浮かべた

 

「MSでも、宇宙と地上で違いがあるのか」

 

ラウラのその言葉に、三人は頷き

 

「宇宙世紀のMSの大部分が、地上と宇宙で機体構成が違ってたんだ」

 

「だから、地上用から宇宙用に機体構成の換装が必要だったんだ」

 

「そしてそれは、ゼフィランサスとて例外じゃなかった。機体のスラスターの換装とバランサーの調整が必要だったんだ」

 

と説明した

説明している間にも映像は進み、アルビオンとスピリッツ隊はデブリベルトに入っていた

デブリベルト

先の一年戦争で大破したコロニーの残骸が散乱し、ジオン残党の格好の隠れ家になっていた

そこでジオン残党を探すなど、砂漠に落ちてる小石を探すようなものだ

だがその最中に、艦隊をジオン残党

デラーズ・フリートに合流した、シーマ艦隊が襲撃した

ジオン残党の中でも、悪名高きシーマ艦隊

ジオン海兵隊でも腕利きで知られ、精鋭で知られている

しかし、そんなシーマ艦隊が行っていたのは、所謂汚れ仕事(ダーティジョブ)

コロニー落としに使ったコロニーの一つ

アイランドイフィッシュ

当時軍曹だったシーマ・ガラハウは、そのコロニーの制圧を命じられ、渡されたガスをコロニーに注入した

しかし、その注入したガスは催眠ガスではなく、ジオン公国軍が開発した毒ガス

GGガスだったのだ

シーマはコロニーの中でもがき苦しみながら死んでいく人々を見て、母艦に帰還するまで涙を流し続けた

その後もシーマ艦隊は、司令部から命じられた汚れ仕事をこなしていった

そして、敗戦による終戦から少し経った後

ジオン呼称、カラマポイントに集まったジオン敗残艦隊は、地球圏に残っての徹底抗戦か、暗礁宙域の資源小惑星アクシズまで後退して再起を図るかで議論された

そんな中でシーマ・ガラハウ(この時は中佐)は、アクシズまで後退するのを希望した

しかしそれは、シーマの上官となったアサクラ大佐によって拒否された

曰く

 

『貴様ら海兵隊は、栄光ある我がジオンの恥さらしだ。そんな貴様らには、アクシズへの後退権利などない』

 

とのことだった

この言葉にシーマは激昂し、乗機たるゲルググ・マリーネ(シーマ専用)に搭乗し、アサクラ大佐の乗艦に迫った

それを止めたのが、何を隠そう当時大尉だったガトーなのだ

ガトーは性能的に劣るリックドムⅡに搭乗し、シーマを止めた

そこから口論が始まり、どうなるかと思ったが、シーマの副官が

 

『もう、こんな連中なんざどうでもいい! 連邦軍に捕まったっていい! 帰りやしょう、俺達の故郷のマハルに!』

 

と言った

それを聞いて、シーマは自分の艦隊を率いて離脱

故郷たるサイド3のコロニーマハルへと向かった

しかし、彼女達は知らなかったのだ

故郷たるコロニーマハルは、既に無くなっていたのだ

一年戦争末期

ジオン公国軍総帥、ギレン・ザビは地球連邦軍に勝つためにコロニーマハルの住人を疎開させると、コロニーマハルを兵器に改造したのだ

それが、戦略兵器

コロニーレーザーである

ジオン公国軍はこのコロニーレーザーを使い、地球連邦軍艦隊に大ダメージを与えたのである

たった一発のコロニーレーザーで、地球連邦軍は艦隊の三割が消滅した

しかし連邦軍は、艦隊を再編成すると進軍を再開

作戦を開始

ア・バオア・クーを攻略

その後、そのコロニーレーザーは地球連邦軍によって接収され、コロニーマハルは、戻らなかった

それを知らなかったシーマ達は、コロニーマハルの有った場所に向かったが、コロニーマハルが無いことを知り絶望

海賊となって、三年を過ごしたのである

そんなシーマ艦隊が、なぜデラーズ・フリートに合流したのか

その理由を知るのは、この星の屑戦役の最後になり、三人は連邦の闇を知ることになる

閑話休題

ピンチに陥った艦隊を助けたのは、月から帰還したウラキと改修したゼフィランサス・フルバーニアンだった

そして戦闘後、アルビオン隊とスピリッツは補給を兼ねて月は月面都市のフォン・ブラウンに向かった

 

「月に、都市があるなんて……」

 

「凄い……」

 

現代では、月は未だに人の住める場所は無い

というより、宇宙は未開の地である

今は少しずつ宇宙ステーションが開発されているが、それも最初の想定より大分遅れている

その理由は、至って単純

それの開発費用すら、IS開発に回されているからだ

束が宇宙開発のためにISを開発したというのに、女性権利主義者達が足を引っ張るせいで未だに宇宙には到達出来ていない

それが我慢ならず、束は世間から姿を消した

単独でも、宇宙を目指すために

閑話休題その2

 

「宇宙に人工の大地のコロニーを作るんだから、月面に都市を作るなんて楽だと思うよ」

 

という束の話を聞いて、何人かは納得した様子で頷いた

しかし、その月面都市にて問題が発生

ウラキは一時、行方不明となった

その時にウラキが会ったのは、隻腕の男

ケリィ・レズナーだった

ウラキはそのケリィと過ごすうちに、自分の芯を見つけた

そして、ウラキはアルビオン隊に合流

月面にて、ゼフィランサスの再調整とGPー04とのトライアルを行っていた

再調整は済み、トライアルはゼフィランサスの優勢だった

だがその時、フォン・ブラウンの発進ゲートから一機の大型機

MA、ヴァル・ヴァロが姿を現した

このヴァル・ヴァロを操縦していたのが、ケリィ・レズナーだったのだ

このケリィ・レズナー、元はジオン公国軍のパイロットだった

それも、ガトーも敬愛するほどのパイロットだった

しかし、彼は隻腕

普通だったら、パイロットとしてはもはや引退するべきである

しかし、彼はガトー達が決起したのを知って動きだしたのだ

再び、ジオン公国軍人として戦おうと

そして、たまたま進行方向に居たのがウラキ達だった

これを受けて、スピリッツからトライアド隊が出撃

スピリッツ本隊は、他のジオン残党の襲撃を警戒した

 

『ちいっ! 速い!?』

 

『ビグロをベースにした、改修機体か? データベースに無いぞ!』

 

『相手はベテランか!?』

 

三人がそう言っている間にも、ヴァル・ヴァロは凄まじいスピードで動き回った

発生Gは凄まじいだろう

それを耐えているんだから、ケリィ・レズナーの腕が分かる

 

『待て! 俺は軍属じゃない! 俺は、AE社のテストパイロット……』

 

とGPー04のパイロットがいった時、近くに一夏機が着地

その二機の周囲に、ヴァル・ヴァロから赤い物体が落着した

 

『なんだ? ドロップタンク?』

 

何が落ちてきたのか分からず、一夏は動きを止めた

しかし、戦場に於いてそれは悪手だった

数瞬後、それが開き中から機械が露出

その直後、莫大な電気が放電されて、一夏機とGPー04に襲いかかった

 

『ガァァァァアァァァァ!?』

 

『一夏!?』

 

『クソッ!!』

 

一夏の絶叫を聞いて、二人は救出するために動きだした

その光景を見て、千冬、箒、鈴は思わず目を反らした

すると、真耶が

 

「まさかあれは、パイロットを直接攻撃するために!?」

 

と驚いた様子で声を上げた

それを聞いて、三人は平然とした表情で

 

「機体を撃破するよりも、何らかの手でパイロットだけを無力化するほうが手っ取り早いからな」

 

「それに、パイロットだけをやれば、機体を滷獲出きるしな」

 

「戦場じゃあ、よくある手だな」

 

と語った

そう話している間に、直哉と弾は一夏を救出

母艦へと向かった

そして戦闘は、スピリッツ本隊の防衛線を突破してきたジオン残党部隊

ガトーが現れたことにより、ケリィが離脱した

それにより、戦闘は終結

なお、AE社の発表によると、GPー04は破壊されたとのことだった

そして、間もなく彼らは出撃した

デラーズ・フリートの企みを阻むために

 




まだリクエストは受け付けてますので、割烹にお書きください

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。