ISGジェネレーション   作:京勇樹

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お待たせしました
一回書いたのが、アクシデントで途中まで消えるということが起きて遅れました


始まり

「空白の二年間……それを今から語ります」

 

そう言い出したのは、直哉だった

その表情は、懐かしむ様子だった

空白の二年間

それは言わずもがな、直哉達三人が行方不明だった二年だ

 

「あの雪の日……俺達三人はいつもみたいに、ゲームセンターに寄って、あるゲームをしていた」

 

「そのゲームの題名は、機動戦士ガンダム・戦場の絆」

 

一夏が告げた題名を聞いて、鈴が僅かに声を漏らした

鈴はその題名に聞き覚えがあったのだ

更に僅かにだが、簪まで反応していた

 

「それって、あんたらがよくプレイしてた……」

 

(少し前に流行った、全国ネット対戦ゲーム)

 

鈴の言葉を聞いて、弾は頷いて

 

「そう………それのプレイが終わった時だった……俺達の視界が真っ白に染まったんだ」

 

「そして、気付いたら俺達は全然違う場所に居たんだ……地球であって、俺達の地球じゃない世界……」

 

「その名前は……」

 

と直哉が言おうとした

その時

 

「ジェネレーションワールド」

 

と束が言った

三人が驚愕の表情を浮かべて束に視線を向けたが、束は気にする様子もなく

 

「ジェネレーションシステムにより形成された世界で、様々な世界や時代が入り乱れて、それに伴って数多くの人型機動兵器……MS(モビルスーツ)が開発、運用された」

 

と説明を続けた

 

「開発、運用されたMSの正確な種類の数は不明。けれど、軽く六百を超える種類が開発、運用された……そしてその中には特別な名前を冠するMSが誕生した……それが、ガンダム」

 

「ガンダム……それって……」

 

束の説明を聞いて、セツコが三人に視線を向けた

三人の機体名を、思い出したからだ

すると、束は指を鳴らして

 

「そう……三人が乗ってる機体でもある……けど、三機だけじゃない。他にも、何機もある……そして、それらガンダムに共通するのは、高い性能とそれを操る優れたパイロットだった……たった一機で、戦局を大きく変えるほどにね」

 

と語ると、三人に近寄り

 

「機体、貸してくれるかな?」

 

と手を差し出した

三人が疑うような視線を向けると、束は微笑んで

 

「大丈夫。変なことはしないって、約束するから」

 

と言った

それを聞いて、箒と千冬は驚いた

束は良くも悪くも、唯我独尊だ

興味の無い人間の扱いは、それこそ路傍の石ころと同じだ

故に、約束なんて守らない

それは、過去に実証されている

現在、世界中に467個あるISコア

しかし、それは本来だったら500個ある筈だったのだ

しかしある日、束は467個目のコアを作り終え渡した直後に行方不明となったのだ

それが、束が国際指名手配されている理由だ

 

「本当に、約束出来ますか?」

 

直哉が問い掛けると、束は頷いて

 

「不死鳥に誓うよ」

 

と答えた

それを聞いて、三人にはある機体が脳裏に過った

不死鳥の名を冠する、自分達の、MS隊の総隊長の機体を

 

「わかりました。お貸しします」

 

直哉がそう言って機体の待機形態を取り出すと、一夏と弾も同じように取り出して束に手渡した

束は待機形態を受け取ると、ポケットの中からバスケットボールサイズの機械を取り出した(○次元ポケット)

そして、その機械を手近な机の上に置き、束は三人の機体と機械を繋いだ

それを見て、箒が

 

「姉さん……それは?」

 

と問い掛けた

すると束は、調整を続けながら

 

「機体の映像記録を投影する束さんの発明……名付けて、《戦士達の足跡》!」

 

と告げた

そして、調整が終わったのか

 

「そこのメガネっ子、照明を消してくれるかな?」

 

とジュリに頼んだ

 

「あ、はい」

 

頼まれたジュリは、言われた通りに照明を消した

照明を消した直後は暗くなったが、空中に映像が投影されたことにより明るくなった

部屋中に映し出されたのは、漆黒の宇宙だった

 

「これは……」

 

宇宙(ソラ)か……」

 

「俺達にとったら、第二の故郷だな」

 

セシリアの呟きに一夏と弾が返答した直後、宇宙を様々な人形兵器

MSが飛んでいった

 

「なに!?」

 

「今のは……」

 

「ジムにジム・コマンドにジム・キャノンか……」

 

「間違いない……ア・バオア・クーだ」

 

鈴の驚愕を無視して、三人は落ち着いた様子で呟いた

そうしている間にも、今度は一つ目の機体群と交戦を開始

瞬く間に、宇宙に炎の華が咲き始めた

 

「一夏、これは一体……」

 

訳が分からないのか、千冬が問い掛けた

すると、一夏は

 

「これは、宇宙世紀0079年初頭から始まった一年戦争。それの最終戦のア・バオア・クー攻防戦だ」

 

と説明した

 

「一年戦争?」

 

「その名前の通り、一年で終わった戦争だ」

 

簪が首を傾げると、弾がそう説明した

すると、ラウラが

 

「一年で終わった戦争か……だったら、人的被害はそれほどではないだろ?」

 

と言った

だが、直哉は首を振って

 

「開戦から半年もしない内に、十億人以上が死んだよ」

 

と言った

それを聞いて、ほとんどのメンバーは息を飲んだ

半年もしない内に、十億人以上が死んだ

そんな世界規模の戦争

彼女達にとっては、半世紀近く前の世界大戦規模しか知らないのだ

 

「その原因となったのが……コロニー落とし」

 

「コロニー……落とし……?」

 

直哉の言葉をおうむ返しに言うと、シャルロットの背中にゾクリと悪寒が走った

なぜだか、核爆弾と同格に恐ろしいと思ったのだ

 

「コロニーとは、なんだ?」

 

ラウラが問い掛けると、全員の前に映像が表示された

円筒形のような物や、砂時計な形、岩とくっついた物まで様々だった

 

「コロニーっていうのはね、人口が増えすぎた人類が宇宙に建造した人工の大地だね。一基で大体、十数万人が住める巨大な建造物だよ」

 

と束が説明した

その説明に全員が頷いていたが、真耶がハッとした様子で

 

「待ってください……コロニー落としとは、まさか……」

 

と三人に視線を向けた

三人は束に視線を向けると

 

「束さん。ジェネレーションワールドの地図データは出せますか?」

 

と問い掛けた

束は頷き

 

「はいはーい」

 

と地図を表示させた

それを見て、ほとんどのメンバーは地球の地図だと思った

しかし、一ヶ所に違和感を感じた

それは、ある島国だった

 

「ねえ、オーストラリアの形……変じゃない?」

 

「ああ……なんだか、抉れてるような感じだな」

 

「あそこって確か……オーストラリアの首都があった場所じゃなかったっけ?」

 

と口々に喋り始めた

そして、楯無が三人に視線を向けて

 

「あれが、コロニー落としの跡ね?」

 

と問い掛けた

三人は頷くと、神妙な表情を浮かべて

 

「ええ、その通りです」

 

「しかも、落ちたのは一基だけじゃない……何基も落ちた」

 

「それによって起きた災害や二次災害を含めて、十億人以上が死んだ……」

 

と語った

それを聞いて、誰もが押し黙った

 

「それを皮切りに、地上での戦闘が激化……宣戦布告した軍。ジオン公国軍により、次々と都市は陥落しました」

 

「もちろん、宣戦布告された地球連邦軍もヤられてばかりではなかった。ジオン公国軍が投入し、多大な戦果を上げていたMS《ザクⅡ》を鹵獲。研究を開始」

 

「そして、完成したのが……あらゆるガンダムの祖……RXー78ー2……通称、ファーストガンダム」

 

三人がそう言うと、一機のMSが表示された

赤青白のカラーリングが特徴的な、デュアルアイとV字形の頭部センサーが特徴の機体だ

 

「これが、ガンダム伝説の始まりの機体だ」

 

 


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