ISGジェネレーション   作:京勇樹

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熱中症やら仕事疲れで寝てしまい、遅れました


終結

「散開、立体機動挟撃(クロス・シザース)!」

 

「「了解!」」

 

直哉の指示に従い、一夏と弾は散開

一夏は正面から

弾は上から

直哉は下から福音に迫った

しかし、それでは左右が開いているのでは?

もちろん、直哉達も気づいている

だから

 

「ファンネル!」

 

「ドラグーン!」

 

弾機は翼が分離し、独立移動砲台のドラグーンとなって福音の右側へ

直哉機は翼下のスリットから、次々と小さいファンネル

フェザーファンネルが射出された

その数、三十

それが、福音の左側に展開した

福音はそれを撃墜しようとするが、ファンネルとドラグーンは素早く動き回り当たらない

しかも、流れ弾がシャルロット達に当たらないように全て撃墜している

それはまるで、光によって作られた壁だった

ほぼ隙間なくビームによって壁が形勢されて、福音のビームが撃墜された

自分達だけでなく、仲間も守る

それこそが、強者の証

直哉達は、それを当然のように遂行する

それが当たり前だから

当然だから

福音はファンネルとドラグーンの撃墜を諦めたのか、まず正面の一夏にシルバーベルを発射した

しかし一夏は、避ける素振りすら見せない

盾で防ぐにも限界がある

その時だった

 

「ビット!」

 

一夏機の腰部分に付いていたアーマー

GNソードビットが外れて、それが一夏の前で円を描くように展開したのだ

その直後、一夏の前に光のシールドが作り出された

その光のシールドによって、福音の攻撃は全て防がれた

すると僅かだが、福音の動きが鈍った

それは、この戦場に於ては致命的な隙だった

 

「TRANSーAM!」

 

一夏はトランザムを起動し、一気に福音との距離を詰めた

福音は一夏を迎撃しようと、シルバーベルを拡散状に撃った

しかし、それは悪手だった

一夏はビームとビームの間をすり抜けるように、最高速で駆け抜けた

そして間合いに入ったらしく、一夏はGNソードⅢを構えた

それを見て、福音はシルバーベルでの迎撃を諦めてビームクローを構えた

 

「オオォォォォ!」

 

そして、一夏は烈迫の気合と共にGNソードⅢを振るい、福音はその一撃をビームクローで受け止めた

そして、一夏がGNソードⅢを振るう度に福音はビームクローで受け止め、その度に激しい火花が散った

そこから、しばらくは剣劇が続いた

しかしある時、一夏が振るった一撃で福音のバランスが僅かに崩れた

それを見て、一夏はGNソードⅢを大きく振りかぶった

だが、それは誘い込みだったのか、福音の右足の爪先からビーム刃が現れた

そして、一閃

その一撃は、一夏機の胴体を切り裂いた

筈だった

福音は、あまりの手応えの無さに混乱した

確かに直撃した筈なのに、まるで空気を斬ったようだった

数瞬後、一夏機がサラサラと崩れた

量子化

一夏機の切り札である

その現象が理解出来ないのか、福音は動きを止めた

数秒後、一夏機が福音の背後に現れた

 

「貰ったぁぁぁぁぁ!」

 

一夏はそう叫びながら、福音の後頭部から伸びているコードに狙いを定めてGNソードⅢを振るった

しかし、福音の機動の高さ故か、切れたのは半分ほどだった

 

「ちぃっ!?」

 

一夏は舌打ちして離れようとしたが、それより早く福音がシルバーベルを撃とうと構えた

量子化の欠点

それは、連続しては使えないのだ

一定時間のインターバルを置く必要があるのだ

福音が知ってるとは思えないが、福音は量子化出来ない一夏を狙って攻撃しようとした

しかし、一夏は慌てていない

 

「忘れたか? 俺だけじゃないぞ?」

 

一夏がそう言った直後、上と下から

 

「させるかよ!」

 

「っらあ!」

 

直哉と弾がビームサーベルで、福音の翼を切り裂いた

それにより、攻撃は強制的に中断されて、機動性も大幅に落ちた

その隙を逃さず、一夏は一気に福音の後ろに回り込んだ

そして、残りのコードを見て

 

「こんな物………っ!」

 

と、コードを切り裂いた

すると、まるで電気が走ったように福音の体が硬直してから、頭部の機械が外れて、長い金髪が現れた

それと同時に、展開されていた福音も消えて、女性が落ちそうになったが、それは一夏が抱えた

そして、外れたヘルメットは直哉がキャッチした

 

「一夏、彼女は?」

 

「………大丈夫みたいだ。傷もない」

 

弾が問い掛けると、一夏は軽く女性の体を見てから答えた

すると、作戦に参加した専用機メンバーが集まり

 

「………どういうことだ?」

 

「無人機じゃ……なかったの?」

 

と困惑していた

事前情報では、福音は無人機だと教えられていたからだ

しかし実際は、無人機ではなく有人機だった

すると、カオルが

 

「この人は、アメリカの代表のナターシャ・ファイルスじゃねえか」

 

と驚いた様子で声を上げた

 

「間違いないのか?」

 

「ああ。公開されてる写真と一緒だ………なに?」

 

直哉の問い掛けに答えた直後、カオルは首を傾げた

 

「カオル様、どうされました?」

 

ジュリが問い掛けると、カオルは少し間を置いてから

 

「彼女のデータが、消されてる………」

 

と言った

どうやら、アメリカのデータバンクにアクセスしたらしい

 

「本当なの?」

 

「ああ……多分、都合が悪くなったんだろうな………」

 

シャルロットからの問い掛けに対して、カオルは頷きながら答えた

そして、直哉の持っている機械のヘルメットに視線を向けて

 

「直哉、それは?」

 

と問い掛けた

すると直哉は、それを空中に放り投げて

 

「イカれた開発物……だよっ!」

 

と答えながら、ビームサーベルで真っ二つに切り捨てた

直哉が切り裂いたヘルメットは、二つに別れてクルクルと回りながら海に落ちていった

直哉はヘルメットが海中に消えたのを確認すると、カオルに顔を向けて

 

「カオル、帰還指示を頼む」

 

と指示を促した

それを聞いて、カオルは頷いてから

 

「作戦終了! 総員、帰還する!」

 

と告げた

その指示を聞いて全員、隊列を組んで帰路に就いた

こうして、彼女達の初めての戦争は幕を下ろした

 


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