ISGジェネレーション   作:京勇樹

45 / 265
どうだ


新たな力

仰向けに倒れた嘗ての愛機

ジムキャノンⅡの肩に寄りかかっていた弾は、ふと人の気配に気付いた

 

「ん………?」

 

ゆっくりと目を開けると、弾は気配のした方向に顔を向けた

そこに居たのは、自分と年の近い青年だった

身長は180ほど

短い茶髪にアメジスト色の瞳

何よりも、優しそうな顔

その人物を、弾は知っていた

 

「キラ・ヤマト………!?」

 

キラ・ヤマト

ジェネレーションワールドでも、最強級に挙げられるパイロットの一人であり、今弾が乗っている機体の原型機体

フリーダムガンダムのパイロットだ

そのキラ・ヤマトがなぜ、今目の前に居るのか分からず、弾は茫然とした

しかし、キラ・ヤマトはそんな弾を気にせず

 

「力が欲しいかい?」

 

と問い掛けた

予想外の事態に数瞬固まるが、弾はすぐに持ち直して

 

「ああ………仲間を守れる力が、欲しいな」

 

と答えた

だが、少しすると首を振って

 

「仲間だけじゃないな……友達を、出会った人々を、なによりも………大切な人を守れる力が欲しい!」

 

と告げた

すると、キラ・ヤマトは微笑んで

 

「その答えを聞きたかった」

 

と言って、手を差し伸べた

その手を、弾が掴んだ

その直後、弾の頭の中で

 

《セカンドシフト バースト・ストライクフリーダム》

 

と声が聞こえた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「デルタカイが呪われた機体というのは、気づいてるよね?」

 

と直哉に問い掛けたのは、見た目が瓜二つの兄弟の一人だ

直哉は知らない筈なのに、知っている気がした

直哉が頷くと、もう一人が口を開いた

 

「ナイトロシステム………人を人じゃなくすシステム……だが、デルタカイだってガンダムだ……だから、パイロット次第で人の未来を切り開く力になる……」

 

彼がそう言うと、三人の横に膝立ちのデルタカイが現れた

 

「お前は信じるか? ………人の未来を、思いを……?」

 

その問い掛けを聞いて、直哉は微笑みを浮かべて

 

「ああ、信じるさ………人々の未来を、思いを……そして、可能性を」

 

と答えた

すると、二人は笑顔を浮かべて

 

「なら、託すよ」

 

「人々の可能性の獣の力を」

 

と言った

すると、デルタカイのツインアイが光って

 

《セカンドシフト ガンダムデルタカイ・フレスベルグ》

 

と声が聞こえた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「お前は、ガンダムで何を為す?」

 

一夏にそう問い掛けたのは、浅黒い肌にショートカットの黒髪が特徴の青年にして、一夏の機体の原型機

ダブルオーライザーのパイロット

刹那・F・セイエイだった

 

「ガンダムでか………」

 

ボロボロで横向きに倒れている機体

ピクシーに背中を預けながら、一夏は星空を見上げた

ジェネレーションワールドで一夏は、様々な格闘型のガンダムに乗った

そんな中でエクシア、そして、ダブルオーライザーに出会った

その二機を乗り継いでいきながら、一夏は色々な戦場を駆け抜けた

そんな中で、数多の悲劇を見てきた

余りにも理不尽な悲劇を

ただ静かに、密かに暮らしていたのに

不法居住だから

反政府活動に賛同したから

元敵を匿っていたから

そういった理由で、巨大な暴力で殺された

理不尽に巻き込まれて、無関係の人達も死んだ

だから………

 

「理不尽な暴力から、一人でも多く助けたい………悲しみと戦争を無くすために!」

 

それが、一夏の決意だった

一夏のその答えに満足したのか、刹那は薄く笑みを浮かべて

 

「なら、共に行こう……ガンダムと共に」

 

と言いながら、一夏に手を差し伸べた

その手を、一夏が掴んだ

すると

 

《セカンドシフト ダブルオーザンライザーXXXX(イクスフォス)

 

と、頭の中で声が聞こえた

 

そして少年達は、新たな力をその手に

かの世界へと舞い戻る

少年達を待つ者達が居る世界へと




なお、直哉の前に現れた二人は、アクロス・ザ・スカイの兄弟です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。