ISGジェネレーション   作:京勇樹

36 / 265
直哉の肩の傷痕に触れます


それぞれの海

別館の男子用更衣室に到着すると、一夏達は着替え始めた

その途中、カオルが

 

「なあ、直哉。そういえば、その肩のキズはなんだ?」

 

と直哉の肩にある薄い傷痕を指差した

それを聞いて、直哉はああ、と言ってから

 

「ジェネレーションワールドでな、敵の特攻機体から母艦を守ったんだが、迎撃が間に合わなくって、直撃を喰らったんだよ。そしたらコクピット内部で爆発が起きて、鉄片で肩の付け根から斬れた」

 

と説明した

それを聞いて、カオルは目を見開いて

 

「じゃあ……その腕は、義手、なのか?」

 

と問い掛けた

 

「いや、本物だよ。負傷後すぐに母艦に回収されてな、奇跡的にコクピット内に残っていた腕を接合したんだ。きちんとくっつくか分からなかったが、無事にくっいたんだ」

 

直哉がそう説明すると、カオルは安堵した表情を浮かべた

そうこう話している内に、四人は着替え終わって外に出た

直哉は買った水着の他に、上にTシャツを着ている

肩の傷痕を見せないためだ

四人が姿を表すと、女子達が

 

「あ、神崎君達だ!」

 

「うわ、凄い筋肉!」

 

「ねえ、私の水着、変じゃないよね!?」

 

と騒ぎだした

しかし、四人は無視して準備体操を始めた

すると、先に着替えていた鈴が近寄ってきて

 

「あんた達、あのブイまで遠泳しない?」

 

と冲にあるブイを指差しながら、提案してきた

それを聞いて、一夏と弾は笑みを浮かべて

 

「面白そうだな、いいぜ!」

 

「勝ってやる!」

 

と言うが、直哉とカオルは首を振って

 

「悪い、俺はパスな」

 

「俺も」

 

と拒否した

 

「あ、そう? まあ、いいわ。一夏、弾、競争よ!」

 

「っしゃあ!」

 

「やぁぁってやるぜぇぇ!」

 

直哉とカオルは三人を見送ると、中途半端だった準備体操を終わらせた

すると

 

「直哉ー」

 

とシャルロットの声が聞こえて、直哉は振り向いた

そこには、あの水着を着たシャルロットが居た

だが他にも、奇妙な姿が見えた

 

「似合ってるぞ、シャルロット」

 

とりあえず、直哉はシャルロットに素直に感想を述べた

するとカオルが

 

「なあ、そのタオルミイラはなんだ?」

 

とシャルロットの背後を指差した

すると、シャルロットはああ、と漏らしてから

 

「ほら、ラウラ」

 

とタオルミイラ

ラウラを前に出した

 

「うう……」

 

くぐもってはいるが、その声は確かに、ラウラだった

 

「ラウラはどうしたんだ?」

 

直哉が問い掛けると、シャルロットは苦笑を浮かべて

 

「水着見られるの、恥ずかしいんだって」

 

と説明した

 

「恥ずかしいだぁ?」

 

「うん……」

 

カオルとシャルロットが話している間に、直哉がラウラに近づいて

 

「ラウラ……それを脱がないと、一夏に見せられないぞ?」

 

と囁いた

すると、ラウラはビクッと震えた

それを見て、直哉はダメ押しに

 

「一夏に誉められたくないか?」

 

と言った

その直後、ラウラはタオルを脱ぎ捨てた

タオルの下から表れたのは、黒を基調にした水着だった

所々にあしらわれたフリルやリボンがアクセントになっており、いつもはストレートにしている髪を兎みたいにしており、まるで黒兎だった

 

「ど、どうだ……」

 

ラウラは恥ずかしいらしく、顔を真っ赤にしている

カオルと直哉はじっくり見ると

 

「なかなか似合ってるぞ、ラウラ」

 

「だな」

 

と誉めた

誉められたからか、ラウラは安心した様子で深々と溜め息を吐いた

すると、カオルが

 

「しっかし、IS学園って女子のレベル高いよなぁ」

 

と言いながら、周囲を見回した

直哉達の周囲では、様々な水着を着た女子達が色んな遊びに興じていた

鈴と同じクラスのアメリカ人、ティナ・ハミルトンはその巨乳を派手なビキニで隠しながら、ビーチバレーをしており、セツコはセパレートタイプの水着を着て、ビーチフラッグをしていた

中には、それ水着なの?

という姿の女子

ぶっちゃけ、のほほんさん(某電気鼠)がスイカ割りをしている

 

「いやぁ、眼福眼福……あ、写真撮ろうっと」

 

カオルはそう言うと、どこからかカメラを取り出して写真撮影を始めようとした

その時だった

 

「カオル様……そういうことは、やめてくださいって………」

 

「つっ!?」

 

ジュリの地を這うような声が聞こえて、カオルは振り向こうとした

だがそれより早く

 

「言いましたよねぇ!!」

 

「がはぁっ!?」

 

ジュリの走りによって加速化されたドロップキックが、直撃した

 

「いいもんねぇ!! 俺には、祖国の砂浜で待ってくれる女の子達がばぼぼ………」

 

ジュリに蹴り飛ばされたカオルは、見事に10m近くぶっ飛んで、海中に沈んだ

一連の光景を見ていた直哉は

 

「おいおい、カオル………んな断末魔、初めて聞いたぜ?」

 

と笑っていた

が、シャルロットは慌てた様子で

 

「よく笑っていられるよね!?」

 

と突っ込んでいて、カオルが沈んだ場所まで戻ってきていた一夏達は

 

「ひ、人って、こんなに飛ぶものなの……?」

 

「え、衛生兵を!?」

 

「メディック! メディーック!?」

 

と混乱していた

浮き上がったカオルは、力なく漂っている

そんなカオルの回収に、どういう訳か手慣れている簪が向かい回収

そして、IS学園一年生御一行は海を満喫し、海の幸を堪能して、一日目を終えた

この時、誰にも予想出来ていなかった

戦場は、すぐ近くまで来ていることに………


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。