ISGジェネレーション   作:京勇樹

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新しいスタート

翌日、直哉は一人で教室に向かった。

最初はシャルロットと一緒に来ようとしたが、シャルロットが

 

『直哉は先に行って。僕は用事があるから』

 

と言って、先に行かせたのだ

最初は首を傾げたが、直哉は先に教室に来た

なお一夏も居たが、力なく机にうつ伏せになっていた

どうやら、コッテリと絞られたらしい

 

(自業自得だ)

 

と直哉は思った

弾も教室に居たが、少し顔が赤い

別に体調が悪そうではないので、大丈夫だろう

しかし何があったのかは、直哉には分からない

その時、チャイムが鳴って山田先生が入ってきた

よく見ると、かなり疲れた様子である

何があったんだろうか? と直哉は首を傾げた

すると、山田先生は深々とため息を吐いてから

 

「はーい……ホームルームを始めまーす……」

 

と告げた

そして、再びため息を吐いて

 

「えー……皆さんに、転校生……いや、編入生? を紹介します……どうぞー……」

 

と言って、ドアに視線を向けた

 

「失礼します」

 

そう言って入ってきた人物を見て、クラスの生徒は全員固まった

何故ならば、入ってきたのは………

 

「シャルロット・デュノアです。よろしくお願いします」

 

女子の制服を着たシャルロットだったからだ

 

「デュノア君は正確には、デュノアさんでした……はぁ……また、部屋割り考えないと……」

 

シャルロットが自己紹介すると、山田先生は肩を落としながら呟いた

その直後、教室に女子達の驚愕の声が響き渡った

曰く

 

「おかしいと思った! いくらなんでも、立て続け過ぎだもん!」

 

「ジーザス! 神は死んだ!」

 

「なるほど。美少年じゃなくて、美少女だったのね」

 

「ちょっと待って! 神埼君が気付かなかったわけないじゃない! 同じ部屋だったんだから!」

 

「というか昨日、男子の入浴時間なかった?」

 

と女子達は叫びだした

それを聞いて、一夏は立ち上がって

 

「俺は関係ないからな!?」

 

と即座に否定した

そして、直哉の机の方に視線を向けた

だが

 

「居ねぇ!?」

 

直哉の姿はなかった

なんと直哉、事態の推移が自分に悪いと察すると、伝説の傭兵宜しく静穏脱出任務を敢行

教室後方のドアまで、後少しという地点まで来た

その時、轟音を伴ってドアが吹き飛んだ

 

「なんとー!?」

 

直哉は直感でドアを回避して、吹き飛ばしただろう人物に視線を向けた

そこに居たのはISを纏い、憤怒の表情を浮かべた鈴だった

 

「い・ち・かぁ………!?」

 

鈴が一夏を睨むと、衝撃砲の砲口が開いた

それを見て、一夏は顔を青ざめて

 

「待て!? 俺は関係ないんだって!!」

 

と叫んだが、鈴は聞き入れず

 

「問答無用!!」

 

と一夏に狙いを定めた

撃たれると思い、一夏は窓のほうに走ろうとした

しかしその時、ズバーンという音が響き渡った

 

「やめんか、バカ者!」

 

「あ痛ぁ!?」

 

どうやら、千冬がその手に持った出席簿で殴ったようだ

しかしながら、ISの防御機構を突破するとは

どういった素材で出来ている出席簿なのだろうか?

 

「ち、千冬さん………」

 

鈴が顔面蒼白になっていると、千冬は血管を浮かび上がらせて

 

「凰……無許可でISを展開するとは、いい度胸だ……」

 

凄まじいオーラを纏いながら、鈴を睨んだ

 

「凰、解除しろ」

 

「はい……」

 

千冬の言葉に従い、鈴はISを解除

そんな鈴の首根っこを、千冬は掴んで

 

「山田君。後は頼んだ」

 

と言うと、教室から去った

あまりの状況に、殆どの人物が呆然としていると

 

「大丈夫か?」

 

と言いながら、避けた拍子にバランスを崩して倒れていた直哉に手を伸ばした人物が現れた

 

「ラウラ?」

 

ラウラに軽く引っ張られて、直哉は立ち上がった

そして、直哉が埃を払っていると

 

「織斑一夏………お前を、私の嫁にする!」

 

と爆弾発言をかました

 

「ラウラ………普通は婿だ。いや、そもそも……その知識を教えたのは誰だ?」

 

一夏はあきれ果てた様子でそう呟いた

すると、ラウラは

 

「頼れる元副官だ」

 

と答えた

 

「元副官?」

 

ラウラの言葉を疑問に思い、直哉達は首を傾げた

するとラウラは、目を伏せて

 

「私と私が率いた黒兎隊は……軍籍剥奪と専用機剥奪の上に、国外追放されたんだ」

 

と告げた

その話を聞いて、直哉達は驚いた

まさか、ドイツ軍きっての精鋭部隊を切り捨てるとは、予想してなかったからだ

しかし、ラウラは直哉達を見上げて

 

「だが、そんな私達を受け入れてくれた国もある」

 

と言った

それを聞いて、直哉達はカオルを見た

カオルは笑みを浮かべて、ピースをしていた

どうやら、オーブが受け入れたらしい

確かに、ラウラの行動に問題があったとは言え、ラウラ達黒兎隊は精鋭部隊だ

そのラウラ達を受け入れれば、腕利きの少ないオーブには大きなプラスになるだろう

そうこうして、新しい日常が幕を上げた

だが、騒動というのは、待ってはくれない

突如として、ラウラは片膝を突いて

 

「これからは、ビックボスと呼ばせてくれ!」

 

と直哉に告げた

その言葉に殆どのメンバーが固まっていると、直哉が

 

「誰から教わった?」

 

とラウラに問いかけた

するとラウラは、自信満々といった様子で

 

「我が頼れる元副官だ!」

 

と答えた

それを聞いて、直哉は

 

「よし、わかった。今度そいつに会わせろ。高町家式肉体言語(O☆HA☆NA☆SHI☆)が必要と見た」

 

と言った

いつ会えるか分からないが、その元副官の運命が決まった

そして、誰も欠けることなく、新しい日常は進んでいく

しかし、悪意はすぐそばまで近付いていた


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