はい
『つっ……大分減ったが、まだ来るか！』
『文句言ってる暇無いよ、ちーちゃん！』
再出撃した千冬と束の二人は、長年の経験から互いをカバーしていた
束が撃ち漏らした敵を千冬が切り捨て、その千冬を撃破しようとした敵を束が吹き飛ばす
それを、何度も繰り返していた
そこに、今までと違う敵が近づいてきた
その機動性は、ガガを超えていた
『この機動性……ガンダムタイプか！？』
『見つけた！ 機体は……ゲルプレイダー！！』
二人の視線の先には、怪鳥と呼べるＭＡ形態の機体
ゲルプレイダーが、高速で迫ってきていた
『アハハハ！ よう、織斑千冬！！ 競技じゃない最強を決めようぜぇ！！』
ゲルプレイダーのパイロット
オータムはそう言って、ミョルニル改を繰り出した
その一撃を回避すると、千冬は
『なんだあいつは？』
と不思議そうに首を傾げた
その時、束が
『ちーちゃん、あいつだよ……いっくん達を誘拐するように指示した奴』
と言った
それは、第二回モンドグロッソの時のことだと、千冬はすぐにわかった
すると千冬は
『そうか……ならば……ここで、因縁を清算しないとな』
と言って、長刀を構えた
そこに、ＭＳ形態に変型したゲルプレイダーが腕の複合盾を構えて
『死ねぇぇぇぇぇ！！』
と叫びながら、初高速連装砲を撃った
しかしそれを、千冬は難なく回避
そして
『束。しばらく雑魚を任せた……』
と言って、突撃した
それを聞いた束は
『はいはーい♪ それじゃあ、束さんの本気……見せちゃおうかな！』
と言って、母艦に向かうガガの迎撃を開始した
そして、千冬は
『アハハハ！ 死ね！ 死ねぇ！！ 死ねぇぇぇぇぇ！！！』
『強化された末路か……いっそ憐れだな』
殺意だけで戦うオータムを見て、そう呟いた
そして
『ＴＲＡＮＳーＡＭ！』
切り札を発動
一気に肉薄した
その千冬機に対して、ゲルプレイダーはミョルニル改を放った
そのミョルニル改を、千冬は機体をロールさせて回避
しかも、ワイヤーを切断し使用不能にした
『てめぇぇぇぇぇ！！』
『いちいち、五月蝿い！』
オータムは怒声を張り上げるが、それを千冬は文字通り一蹴
ゲルプレイダーに蹴りを繰り出して、近くを通っていたガガにぶつけた
それにより、背部の翼とスラスターが損傷
ゲルプレイダーは、可変機構に致命的な損傷を負った
『クソがぁぁぁぁぁぁぁ！！』
オータムは初高速連装砲を乱射しながら、残ったスラスターを噴かして千冬機に接近した
それを見た千冬は
『それは、悪手だ』
と言って、軽く回避
そして
『その機体は本来、一撃離脱戦闘用に開発された機体……しかも、接近戦闘用の武装は、後一つ』
と言った
その直後、ゲルプレイダーは千冬機の肩を掴み
『終わりだぁぁぁぁぁ！！』
と声を張り上げた
そして、腰部分にあった武装
近接戦闘用クローを展開
射出して、千冬機にビームスパイクを撃ち込もうとした
だが
『だから、遅い！』
千冬はゲルプレイダーの腕を切断
更には、射出された近接戦闘用クローを二つとも破壊した
『これで、残った武装は一つ……それは！』
千冬はそう言って、小太刀のＧＮサーベルを抜刀
ゲルプレイダーの頭を切り飛ばした
『ツォーンだったか？ これで、武装は無くなったな』
『な……あ……』
その圧倒的戦闘力の差に、オータムは固まっていた
その間に、千冬はＴＲＡＮＳーＡＭを停止し、再び長刀を保持した
『お前は覚えてないだろうがな……三年前、お前が誘拐させたのはな……私の弟とその友達だ』
と言って、振り上げた
そして
『その罪……今ここで、償え』
と言って、長刀を振り下ろした
『畜生がぁぁぁぁぁぁぁ！？』
千冬の振り下ろした長刀は、ゲルプレイダーを容赦なく切り裂いた
そして、爆散したゲルプレイダーを見ながら
『それに、今の私は世界最強ではない……今の私は、弟達にすら勝てないんだからな』
と言って、束の援護に向かったのだった
今のスピリッツメンバーで、《あいとゆうきのおとぎばなし》の世界に行く……