ISGジェネレーション   作:京勇樹

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肉親対決1

『くっそ……どこも混乱状態だな!』

 

と悪態混じりに言ったのは、ムラサメのパイロット

ダリル・ケイシーだった

そしてダリルは、ガガの体当たりを回避

後ろからビームを撃ち、撃破した

そこに、一機のアストレイ弐型が近づき

 

『仕方ないっすよ。あの大砲と特攻で、大分損耗が出たっすから』

 

とフォルテ・サファイアは言った

二人はIS時からの連繋を活かし、旗艦たるイズモと旗機たるアカツキを守っていた

その時、警報音が鳴り響いた

それで気付いた

自分の方に、敵機が近付いてきていることに

しかも、ガンダムタイプ

 

『あの機体は……カラミティ!? 叔母さんか!』

 

『裏切り者の貴女に、叔母さんなんて呼ばれたくないわね』

 

ダリルに近付いたのは、ブラウカラミティ

ダリルの叔母たる、スコールの機体だった

 

『叔母さん! あんたは、なにがしたいんだよっ!』

 

『何がしたいかなんて……もう分からないわよぉぉぉ!!』

 

スコールの返答を聞いて、ダリルはスコールが正気を失ってることに気付いた

重度の強化で、破綻してしまったのだ

こうなってしまったら、最早戻ることは叶わない

ならば、せめて

 

『アタシが……楽にしてやるよっ!!』

 

『貴女に出きるのかしら、レインんんんん!?』

 

スコールは叫ぶようにダリルの本名を呼ぶと、その火力を一斉に解き放った

はっきり言って、暴虐の嵐とも呼べる濃密な弾幕

単機の火力としたら、MAに匹敵するほどの驚異だろう

回避を失敗すれば、あっという間に蜂の巣になるのは確実

 

『ちいっ!』

 

それをダリルは、大きく回避

そして、ビームライフルを撃った

しかしそのビームを、ブラウカラミティは身軽に回避

見た目の重武装に見合わぬ身軽さだった

 

『火力と機動の両立ってか!? そいつは本来、二律背反だろうが!』

 

『アハハハハハハ!!』

 

ダリルは舌打ち混じりに悪態を吐き、スコールは笑い声を上げていた

この時ダリルは、イズモやアカツキから少しずつ離れていた

それは一重に、戦闘に巻き込まないためだ

ブラウカラミティの火力は、イズモと言えども、当たれば撃沈は免れないだろう

さらに、アカツキはビームに対しては絶対的とも言える防御を発揮する

だが、実弾に関しては話しは別だ

直撃を受けたら、撃墜されてしまう

もしどちらかが墜ちたら、オーブ軍の士気は瓦解する

それを回避するために、離れたのだ

幸いにも、ムラサメは機動性が高い

ダリルはムラサメを戦闘機形態にして、漆黒の宇宙を飛んだ

そして、ある程度離れたのを確認し

 

『行っけぇ!』

 

と腰部装甲内部から、ミサイルを放った

勿論だが、有効打になるとは思っていない

 

『そんな攻撃ぃぃぃぃ!』

 

スコールは自身に迫るミサイル四発を、弾幕で全て迎撃した

だがそれは、ダリルの狙い通りだった

 

『これは!?』

 

スコールがミサイルを撃墜した直後、スコール機の周囲を濃密な煙が覆った

しかも、ただの煙ではなかった

 

『チャフスモークか!?』

 

カメラだけでなく、レーダーも潰すチャフスモークだった

 

『何処かしら、レインんんんん!!』

 

スコールはそう言いながら、当てずっぽうに砲撃を放った

その時

 

『隙ありっす!』

 

スコール機の真下から、煙幕を突き破る形でフォルテ機が現れた

しかもすれ違い様に、ビームサーベルを一閃

左腕を、肩から斬り飛ばした

 

『ぐっ! このガキがぁぁぁぁぁ!』

 

スコールは怒声を上げながら、離れていくフォルテ機に狙いを定めた

だが

 

『これで終わりだ、叔母さん……』

 

その左側から、ダリル機が現れた

その手には、出力済みのビームサーベルが握られていた

死角となった左側

即応は、不可能だった

それを悟ったからか、スコールは笑みを浮かべ

 

『先に逝くわね、オータム……』

 

と言った

その直後、ダリル機が振るったビームサーベルが、背中側からブラウカラミティを両断

ブラウカラミティは、爆散したのだった

 

『あばよ、叔母さん……世界の敵になった亡霊……』

 

ダリルはそう言うと、フォルテ機と共にイズモとアカツキの防衛に戻ったのだった


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