ISGジェネレーション   作:京勇樹

253 / 265
暗躍した者の終焉

セシリアとシャルロットがサーシェスと交戦している間に、三人はクルーゼとリボンズと交戦開始

その時、新ソレスタル・ビーイング号の中では

 

「えぇい……あの化け物共め……撃破されているではないかっ!」

 

と全体的に青白い印象の一人の男が、廊下をバーを使って進んでいた

その男の名前は、ロード・ジブリール

ジェネレーションワールドの二次CE世界に置いて、幾度となく自分の欲に従って戦火を拡大させた男

そして何より、反コーディネーター団体

ブルー・コスモスの当主になった男だ

しかもCE世界では、幾度となく仲間を見捨てて一人で逃げ続けた男でもある

今も、自分のシャトルが格納されている場所に向かっていた

そこに向かえば、危機に陥りつつある今の場所から逃げられる

まだ、手はある

世界を自分の手に収める方法はまだある

自分にそう言い聞かせて、ジブリールは格納庫のドアを開けて中に入った

そして、青に塗装されたシャトルに乗り込み、シャトルを起動しようと操作を開始した

 

「動けよ……私は、こんなところで死ぬわけにはいかんのだ!」

 

ジブリールはそう言いながら、シャトルを起動させた

そして、遠隔操作でハッチの解放を開始した

ハッチが開いていくと、空気が粘性を伴いながら音速で吐き出されていく

それを見ながらジブリールは

 

「いいぞ……やはり私は、世界に必要とされている!」

 

と確信染みた声を上げた

そしてジブリールは、開ききったハッチから漆黒の宇宙(ソラ)に機体を発進させた

だが、その直後

 

『ごめんなさいね……あなたみたいな男……生かしておくわけにはいかないのよ』

 

とシャトルの前に、一機のガンダムタイプ

AGF天ミナ改が姿を現した

 

「貴様は、誰だ!?」

 

『日本の対暗部用暗部、更識家の当主……更識楯無』

 

ジブリールの問い掛けに、楯無はそう答えた

そして、ライフルの銃口を突き付けて

 

『貴方よね……ロシア、アメリカ、ドイツの三国にスピリッツや自分達のを混ぜた航路と、機体の構成データを売り渡したの』

 

と言った

それを聞いたジブリールは、目を僅かに開いた

それは確かに、彼が三国に売り渡した情報だった

 

『スピリッツから貴方の存在を聞いた後、残った部下と簪ちゃんに頼んで調べたのよ……そしたら、彼等から聞いたのとまったく同じ手口だったから、ピンと来たわ……貴方が居るってね』

 

楯無が言ったのは、情報操作による開戦の機会を得ること

それは、ジブリールが得意としていることだった

画像の加工と意図的に流す情報による情勢の偏向

そして起きたのは、戦争だった

世界を舞台にした、大戦

第三次世界大戦

 

『私はね、貴方みたいな自分の欲だけで大勢の人達を巻き込む人が……一番嫌いなのよ』

 

楯無はそう言って、ビームを撃った

そのビームは、ジブリールの乗っていたシャトルに命中

ジブリールは、世界から消え去ったのだった

それを見届けた楯無は、ポツリと

 

『まあ、おかげで……簪ちゃんと仲直り出来たから、それだけは感謝しといてあげるわ』

 

と言った

楯無と簪の仲違い

それは、ほんのスレ違いからだった

今から約三年前、楯無は簪に

 

『簪ちゃんは、そのままでいてね』

 

と言ったのだ

その意図は、簪は優しいままでいてねという意味だ

しかしそれを簪は

 

『簪ちゃんは、無能のままでいてね』

 

と意訳してしまったのだ

その原因となったのが、更識家内で起きていた比較だった

楯無は天才肌で、多少やれば何でもこなし、苦手なことが無いように見える

まあ実際はそう見せているだけで、苦手なことはある

しかしそれに気付かず、使用人達は楯無と簪を比較した

それが原因で、簪も自分と楯無を比べてしまった

そしてある日に、簪と楯無はケンカしてしまったのだ

その日から、楯無と簪は距離が開いてしまった

本当に、些細なスレ違い

だが、ジブリールが売り渡した情報のことを精査している時に、キチンと話し合えて、仲直り出来たのである

そして楯無は、ジブリールが脱出してないのを確認し終えて戦域に戻ろうと機体を振り向かせて、スラスターを噴かしたのだった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。