ISGジェネレーション   作:京勇樹

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集結

「不味いことになった……」

 

「まさか、中性子ミサイルとは……」

 

「しかも、数百発だと?」

 

それは、織斑夫婦から得た情報と小惑星基地から回収し、プロテクトを解除して得た情報から擦り合わせた確度の高い情報だった

しかも、それは既に運び出されていた

その行き先は不明

だが、間違いなく地球に近い場所だろう

そしてもう1つ

それは、織斑夫婦が開発に携わった量子コンピューターだった

聞いた話では、本体はかなり大きいらしい

そして、その端末はサイズは様々

最小で、MSに搭載可能らしい

それらを、リボンズ達が手に入れた

もはや、猶予は無いだろう

もしかしたら、リボンズ達の計画は最終段階に入ったのかもしれない

だから、小惑星基地を放棄した

しかも、G3ガスを使ってまで

それはつまり、リボンズ達の計画は最終段階に入ったことを指し示す

 

「問題は、今の居場所ですね……」

 

「残る怪しい場所は、プラトー・ワンとグランド・ゼロ……」

 

「今の状況からだと、プラトー・ワン……だけど、量子コンピューターのサイズが分からない……」

 

エリス、直哉、フィオはそう言って、腕組みした

すると、弾が

 

「あの二人は、リボンズ達の今の居場所は知らなかったんですか?」

 

とマークに問い掛けた

すると、マークは

 

「ああ……どうやら、最終段階までは知らされていないらしい」

 

と言った

やはり、基本的に人間を見下すリボンズらしいやり方だった

人間を、道具としてでしか見ていない

 

「リボンズ達はどこに……」

 

と箒が呟いた

その時

 

「GNリポーズ……」

 

と一夏が呟いた

 

「なに?」

 

「思い出してください。あの最終決戦時、奴等はソレスタル・ビーイング号を光学迷彩で隠していました! 恐らく、今回もそれで隠れている可能性が高いです!」

 

マークが問い掛けると、一夏がそう言った

それを聞いて、マークは

 

「それがあったか!」

 

と言って、適度な宙域を探した

そして

 

「可能性が高いのは……ラグランジュ1……プラトー・ワンとグランド・ゼロの間だ!」

 

と指差した

その後マークは、オーブ軍にその宙域の写真を撮影してもらうように要請を出した

その結果が届いたのは、丁度地上からオーブ軍の艦隊が上がってきた日だった

そしてマークは、その写真と事前に撮影していた天体写真を照らし合わせた

 

「これは……」

 

「ズレてるな……」

 

「ミラ・ルナ」

 

「少々待ってください……」

 

マークが呼び掛けると、ミラ・ルナはそう言ってパソコンの操作を始めた

そして、数秒後

 

「出ました……予想最大直径は20kmです!」

 

「20kmだと!?」

 

「ソレスタル・ビーイング号より大きいな……」

 

流石に予想外の大きさに、スピリッツの誰もが驚いた

すると、地上から上がってきたカヲルが

 

「だが、やるしかないな……でなければ、中性子ミサイルの雨が地上に降ることになる」

 

と言った

確かに、やるしかない

すると、ゼノンが

 

「行き先は決まった!」

 

と言った

それを聞いて、その場に集まっていたスピリッツとオーブ軍側の隊長格達は姿勢を正した

それを見たカヲルが

 

「我々はこれより、敵宇宙要塞の攻略作戦の準備に掛かる! もはや、一刻の猶予もない! 全員、無駄無く動け!!」

 

と号令を下した

それを聞いて、オーブ軍側は一斉に動き始めた

各隊長格はインカムを取りだし、部下に下命

艦長達も自分の艦に通信を繋ぎ、艦の補給状況の確認を開始

そしてスピリッツは、既に万全態勢にある

スピリッツのモットーは、何時でも万全に態勢に整えること

常に、次の作戦に備えているのだ

その時

 

「隊長、お久し振りです」

 

と一人のオーブ軍女性士官が、ラウラに声を掛けた

その女性は、かつてのラウラの部下

 

「クラリッサ……私は、もう隊長ではないぞ」

 

「いえ。我々の隊長は、ラウラ隊長のみです」

 

クラリッサ・ハルフォーフだった

しかも階級は、一尉だ

どうやら、最大で中隊の隊長のようだ

 

「クラリッサ一尉……部隊は?」

 

「我々黒ウサギ隊は、既に完了しています。機体も、特別に用意してもらいました」

 

クラリッサはそう言って、端末をラウラに手渡した

その端末に表示されていたのは、換装機能を有したガンダムは完全量産型機体

 

「ジーライン……この性能は、かなりだな」

 

「はい。今オーブでも一部エース部隊に少数配備され始めた機体です」

 

ラウラの呟きを聞いて、クラリッサはそう言った

見た目は、ジェネレーション世界で開発された機体にそっくりである

しかし、その中身は全くの別物だった

今のオーブが有する最高峰の技術を、詰めるだけ詰め込んだ機体だった

推進機関や武装

そして何より、流石にスピリッツには及ばないが、搭載されている核融合炉

正に、エースに相応しい機体だった

しかも、黒ウサギ隊には全部で9機も配備されている

期待の度合いが分かる

そこに

 

「よお!」

 

と更に一人来た

 

「ダリル先輩!」

 

それは、ダリル・ケイシーだった

どうやら、階級が上がったらしく、二尉の階級章を着けていた

 

「階級、上がったんですね?」

 

「おうよ! 試験、頑張ったからな。それに、フォルテがアタシの部下になったからな」

 

「フォルテが?」

 

ダリルの話を聞いて、ベルベットが驚いていた

すると、フラフラと小柄な少女

フォルテ・サファイアが流れてきた

 

「あわわわわ……動きにくい……」

 

「だから、体幹鍛えろって言っただろうが」

 

流されてきたフォルテを、ダリルは襟首を掴んで引き留めた

そして

 

「まさか、初の宇宙戦が大規模戦になるとは思わなかったが、よろしくな」

 

と言ってきた

そして、スピリッツとオーブ軍は出撃した

未來のために


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