ＩＳＧジェネレーション

会敵

アメノミハシラから出発して、数日後

スピリッツは、暗礁宙域に到着した

そして、スピリッツは各部隊毎に行動を始めた

暗礁宙域では纏まって行動するより、各部隊レベルで動いたほうが、見つけやすいと判断したからだ

当然ながら、リスクもある

暗礁宙域は別名、デブリ帯(ベルト)

デブリ帯は、至る所にデブリ

宇宙ゴミが散乱している

そのデブリにより、視界が悪い

加えて言えば、そのデブリは常に動いている

位置の把握を怠れば、そのデブリと衝突

死ぬ場合もある

だから、通常宙域で戦うよりも、気を使う必要があった

それは、移動速度にも出ていた

特に、まだ宇宙に慣れきっていない彼女達は、移動速度が半分近くまで落ちていた

『これが、暗礁宙域……』

『動きづらいな……』

『……でも確かに、隠れるには打ってつけ』

『そうだな』

暗礁宙域を見て、彼女達は口々に感想を述べた

すると、直哉達が

『きちんとデータリンクは生きてることを確認しろよ』

『いつ、何が起きるか分からないからな』

『普段以上に気を使え』

と忠告した

その直哉達は、彼女達より前を進んでいる

普段より多少は速度は落ちてるが、動き自体は大差ない

やはり、慣れの差が大きいだろう

それを見つつ、彼女達は周囲を見回した

何処に敵が隠れているのか、分からないのだ

ならば、視線を巡らせるしかない

視線の動きにセンサーが反応し、敵の反応を探した

だから、それに気付いた

シャルロットは、視界の端で何か光ったような気がして、ＨＵＤ(ヘッドアップ・ディスプレイ)にその部分を拡大表示させた

そして見えたのは、こちらに砲口を向ける移動小型砲台

(ドラグーン)だった

その瞬間、全員を全てを燃やすような殺気が襲った

それと同時に

『全機散開！　乱数(ランダム)回避！！』

と直哉達三人が同時に言い、彼女達は瞬時に従った

その直後、あらゆる砲口から光条が襲いかかった

直哉達は勿論、彼女達も何とか回避

すると弾が、ある方向を見ながら

『てめぇか、クルーゼ！！』

と相手の名前を呼んだ

その先には、雪崩の天帝

ニクス・プロヴィデンスが、威風堂々とした姿で佇んでいた

すると直哉が

『いや、まだ居る……そこ！』

とビームマグナムを発射

ある一つの大きい隕石を砕いた

その後ろから現れたのは、大きい者という名前を与えられたＭＡ

ペル・グランデが居た

ペル・グランデは、ファントム・ペインが開発したＭＡだ

そのコンセプトは、空間把握能力が無くともドラグーンが扱えること

そのコンセプトは、ザフトで開発されたスーパードラグーンに酷似している

しかし、決定的に違うことがあった

それは外科手術で、三人の脳を直接繋いだことだ

それぞれがＸ軸、Ｙ軸、Ｚ軸を計算し、それに従って動かすように開発されている

それにより、機体と接続されたパイロット達は、実質使い捨てだった

それ故に、配備されていたのは極一部のみだった

スピリッツはかつて一度、交戦したことがあった

そのデータは共有されていたので、初見の直哉も気づけた

更に言えば、直哉、シャルロット、セシリアの三人は脳内に声が響いていた

《殺して……》

《僕を……》

《私を……》

《殺して……！！》

と死を懇願する声が

恐らくは、戦術ＡＩによって支配されているのだろう

それはまるで、あの海の再来だった

しかしあの時と違うのは、頼れる仲間が居ること

『０１から０３はクルーゼを……他は、あのペル・グランデ(デカぶつ)を……お前ら、悲しき子供達を解放してやれ……』

直哉はそう告げると、二人を率いてクルーゼ機に突撃

直哉の言葉を聞いて、ラウラが

『承知した……撃破する！』

と言って、仲間達を率いて突撃を開始した

実はこの時、他の部隊もそれぞれ敵が襲撃

交戦状態に入っていた

つまりは、待ち伏せ

待ち伏せする理由は、おおよそ二つ

一つは、罠

そしてもう一つは、足止め

どちらかは、直哉達には分からない

だが今、目の前に居ることは確か

ならば、倒せば敵の戦力は大きく減少することに繋がる

そう確信し、直哉達はクルーゼに突撃した

敵の企みを、阻止するために

これ以上、狂った犠牲者を出させないために