ISGジェネレーション   作:京勇樹

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反省会からの

宇宙に上がった翌日

 

『さて……大丈夫か?』

 

と問い掛けたのは、直哉だ

そんな直哉機の前には、機能停止状態で漂ってる無数の機体が漂っている

それは、後から合流してきたヴィシュヌ達だ

ヴィシュヌ達全員を相手に、直哉が単機で模擬戦をしたのだ

結果はもちろん、ヴィシュヌ達の惨敗

一発も当てられずに、彼女達は全員負けたのだった

 

『……動きが、シミュレーター以上だったわよ……』

 

『そうか……これが、別格ってやつか……』

 

乱とロランの二人は、半ば絶望していた

だが、直哉は

 

(本気じゃないんだがな……出力制限掛けてたし……武装も、模擬戦用だし……)

 

と思っていた

すると、ヴィシュヌは

 

『分かっていましたが、動きが見えませんでした……』

 

と落胆していた

なお武装だが、直哉機は模擬戦用に実弾類は外し、CGで着弾を再現

ビームライフルやサーベルは、レーザーを使って行い、被弾したら動きに制限を掛けるようになった

それは、彼女達も同意だ

だが直哉は、更に制限として機体の最大出力を六割まで制限

だが、圧勝だった

はっきり言って、腕の差が激しいのだ

腕で近いのは、弾単機にボロ負けした彼女達だろう

だが彼女達は、既に実戦を経験している

そういう意味では、ヴィシュヌ達より上だろう

 

『さてと、動きの制限を外すが……推進材は残ってるか?』

 

『待ってください……私は、残り僅かですね……ステーションまでは、ギリギリでしょう』

 

直哉が問い掛けると、ヴィシュヌはそう言った

どうやら、推進材を大幅に消費しているようだ

すると、他のメンバーも似たようなものらしい

それを聞いた直哉は

 

『分かった。一度、戦術データリンクを繋いで、確認する』

 

と言った

今まで行っていた模擬戦だが、データリンクを切っていたのだ

互いの居場所が分からないように

そして、少しすると

 

『本当にギリギリだな……乱なんかは、ほぼ残ってないな』

 

と溜め息混じりに言った

それから直哉は

 

『仕方ない。俺が引っ張るか』

 

と言った

それを聞いて、ベルベットは

 

『貴方、推進材は……』

 

と問い掛けて、固まった

そして

 

『半分以上残ってる……』

 

『うっそぉ……』

 

『これが、ベテランか……』

 

直哉機は、推進材が七割近く残っていたのだ

そう言っている間に、直哉機はワイヤーを全員の機体に掛けた

そうして、外れないのを確認してから

 

『んじゃ、戻るぞ』

 

と言って、アメノミハシラに帰還したのだった

その後、一同はある会議室に集まっていた

これから、反省会をするのだ

 

「さて……なぜ負けたと思う?」

 

と直哉が問い掛けると、ロランが

 

「機体性能を、活かせなかったな……」

 

と悔しそうに言った

すると直哉が

 

「まあ、それも一因だな。まあ、それは追々……はい、ヘル先輩」

 

直哉は、挙手したベルベットを指摘棒で当てた

するとベルベットは

 

「データを見てみたのだけど……機動に隔絶した差があるわ」

 

と言った

それを聞いた直哉は

 

「ほう……続きをどうぞ」

 

と促した

 

「貴方は必要最低限の機動で、回避や方向転換をしている。だけど私達は、無駄な機動が多すぎるわ……だから、その隙を突かれて撃破された」

 

ベルベットのその言葉を聞いて、直哉は拍手した

そして

 

「お見事です、ヘル先輩」

 

とベルベットを賞賛した

 

「まず、そちらが無駄な機動をしているのは推進材残量から明らかだ。このままじゃあ、宇宙で迷子になる……更に言えば、いい的だ」

 

直哉はそう言いながら、自身の機動と全員の機動を表示させた

違いは、一目瞭然

方向転換は一瞬で行い、スラスターは必要な時しか噴かしていない

更に、攻撃も移動しながら

決して、足を止めていない

 

「宇宙は地上と違い、遮蔽物は限られてる。しかも空気や重力が無い……だから、一度ついた加速は余程のことが無い限り止まらない」

 

直哉がそこまで言うと、ヴィシュヌが

 

「なるほど……その一度ついた加速を上手く使い、方向転換も勢いを殺さないで行う……ということですね?」

 

と直哉に問い掛けた

その問い掛けに、直哉は手を叩き

 

「お見事。それが、宇宙戦の基本だ」

 

と言った

それを聞いた乱音が

 

「それで基本かぁ……気が遠くなりそう」

 

と呟いた

しかし、ロランが

 

「だが、生きるために必要なんだ……習得しよう」

 

と言った

その言葉を最後に、反省会は終了

一同は解散した

その後直哉は一人、展望フロアでプカプカと浮かんでいた

その目は、漆黒の宇宙(ソラ)に向けられていた

その時

 

「何か用かな、ヴィシュヌ、ヘル先輩」

 

と直哉は言った

気付けば、廊下からヴィシュヌとベルベットの二人が入っていた

すると、ベルベットが

 

「……よく、私たちと分かったわね?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、直哉は

 

「一度会った人の気配は、覚えているので」

 

と答えた

そして直哉は、AMBACで二人の方に体を向けて

 

「それで、どう言った用件で?」

 

と再び問い掛けた

すると、まずはヴィシュヌが一歩前に出て

 

「学園では、命を救ってくださり、ありがとうございます」

 

と頭を下げた

それを聞いた直哉は、少ししてから

 

「あぁ……クルーゼのビームを弾いたことか……」

 

と呟いた

するとヴィシュヌは

 

「それもですが、あの巨大機体からの砲撃もです……貴方が防いでくれなければ、私たちは間違いなく死んでいました……」

 

と言った

確かに、それも直哉がやったことだ

だが、直哉は

 

「まあ俺としたら、当然のことをしたまでなんだがな……まあ、受け取っておこう」

 

と返した

それを聞いたヴィシュヌは、何か言おうとした

しかし、それをベルベットが制止して

 

「私からは、質問があるわ」

 

と言った

そしてベルベットは、一拍置いてから

 

「貴方は……いえ、貴方達は……あの敵を、知っているの?」

 

と直哉に問い掛けた

それを聞いた直哉は

 

「その質問の意図は?」

 

と問い掛けた

するとベルベットは

 

「先程貴方は、クルーゼと言ったわ……それは恐らく、敵の名前……そして何より、シミュレーターのデータ……一番古い記録が、二年前になっていたわ……だけど二年前、貴方達は行方不明になっていた……だったら、その二年の間に貴方達はあの敵と遭遇していたことになるわ」

 

と言った

すると直哉は

 

「お見事……その通りだ……俺達は、二年間もああいった敵達と戦ってきた……MSで……ガンダムで戦い続けた……」

 

と言った

すると、ヴィシュヌが

 

「二年間……しかし、二年前にMSが確認されたという情報は……」

 

と呟いた

すると、ベルベットが

 

「……余りにも馬鹿馬鹿しいけど、予測はあるわ……MSが、本当は異世界の兵器だったというね」

 

と言った

それを聞いて、ヴィシュヌは驚きで固まり、直哉は

 

「……大正解です、ヘル先輩」

 

と素直に賞賛した

 


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