ISGジェネレーション   作:京勇樹

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南極戦2

『箒、合わせなさいよ!』

 

『そっちこそ!』

 

二人はそう言いながら、それぞれビームサーベルとビーム青龍刀を展開

ネロブリッツに突撃した

ネロブリッツ相手では、ビーム砲やビームライフルは実質的に封じられている

接近戦しかないのだ

だが、接近戦闘で弱い訳がない

ネロブリッツは、鈴機が振り下ろしたビーム青龍刀の柄を掴んで受け止め、箒機の方に蹴り飛ばした

箒機はそれをギリギリで回避し、ネロブリッツにビームサーベルを振り下ろした

たがその一撃は、ネロブリッツが展開したビームサーベルによって防がれた

そして二機は鍔迫り合いを始め、箒機はネロブリッツを少しずつ押し始めた

実はこの二機、NJCを積んでいる機体だった

しかし、駆動炉に違いがあった

ネロブリッツは常温核融合炉に対して、箒機

原型機のインフィニット・ジャスティスは、ハイパーデュートリオンエンジンと呼ばれるハイパワーエンジンを搭載していた

だから、出力差では箒機の方に分があった

 

『はあっ!』

 

そしてとうとう、箒機はネロブリッツを押し飛ばした

すると、AGF天ミナが起き上がり

 

『助かったわ、箒ちゃん』

 

と楯無が、感謝の言葉を言った

すると箒は

 

『今の内に離脱を。そして、他の援護に』

 

と言った

それを聞いて、楯無は

 

『確かに……これ以上居ても、邪魔になっちゃうわね』

 

と納得したように言った

すると、真耶が

 

『では、私はあのMAと交戦している神崎君達の援護に向かいます』

 

と言って、離れていった

それを見て、楯無は

 

『それじゃあ、また後でね』

 

と言って、離れた

それを確認した箒は、視線をネロブリッツに戻した

ネロブリッツはクリスタルアームを展開させており、迂闊にビームは撃てない

しかし、それはかえって好都合だった

箒はまだ、それほど射撃が得意ではない

そして鈴機だが、蹴りの衝撃で気絶してしまったのか、動かない

 

(私だけで、なんとかするしかないか……)

 

箒はそう判断して、操縦捍を握り直した

その直後、ネロブリッツが動いた

スラスターを噴かして、突撃してきた

ネロブリッツはビームライフルを連射してきたが、箒は盾で防御し、ビームサーベルを構えた

すると、ネロブリッツがビームサーベルを振るってきたが、箒はしゃがんで回避

ビームサーベルを振り上げた

その一撃は回避され、ネロブリッツは箒機の背後に着地

箒は素早く反転しながら、更に一閃

それをネロブリッツは、後退して回避

それを見た箒は、両側腰部アーマーに装着されていたビームブーメランを掴み、投擲した

僅かな時間差で投げられたブーメランは、左右からネロブリッツに迫った

一本目は弾かれたが、二本目は回避せざるをえなかったらしい

しかし、ブーメランというのは戻ってくる武装である

実際、ネロブリッツが避けた二本目のブーメランは、ある程度飛行した後、くるりと戻ってきた

それを見た箒は、再びビームサーベルを保持し、突撃した

ネロブリッツは迎撃に手を割かなければいけなくなり、攻撃出来ると判断したのだ

するとネロブリッツは、ビームブーメランに対して、ビームライフルを発射

ブーメランを破壊し、すぐに振り向いて箒機が振り下ろしたビームサーベルの一撃を、間一髪で盾で受け止めた

体勢的には、ネロブリッツが不利

だがネロブリッツは、クリスタルアームを動かした

クリスタルアームは主に、ビームを屈折させる為の武装である

しかし、それ自体が巨大な鈍器にもなるのだ

クリスタルアームを回避したら、ビームライフルで撃たれるのは必至だろう

箒はマズイと思った

その時

 

『させないわよっ!!』

 

と鈴機がビーム青龍刀を投擲し、クリスタルアームの根元に命中

クリスタルアームは、破壊された

破壊された衝撃で、ネロブリッツはバランスを崩した

それを見た箒は、ネロブリッツの側頭部に蹴りを当てて転倒させ、ビームサーベルを胸部に突き立てた

その一撃が決め手となり、ネロブリッツは機能を停止させたのだった

箒はネロブリッツが動かなくなったのを見て、立ち上がった鈴に

 

『大丈夫だったのか』

 

と問い掛けた

すると、鈴は

 

『まあ確かに、あいつの蹴りでほんの一瞬意識を失ったけど、すぐに戻ったのよ。後は、チャンスがくるまで気絶したフリをしてたってわけよ』

 

と言った

鈴の作戦勝ちだろう

それが無ければ、箒とて危なかった所だ

そして鈴は、自身が投げたビーム青龍刀を回収

二人して、機能停止しているネロブリッツを見下ろした

下手すれば、それは自分だったのだから

 

『今だから分かるが、これが戦争か……』

 

『私達も、気を抜かないでいきましょう』

 

二人はそう言って、仲間達の援護に向かった

場所は変わり、ラウラと簪の二人はガイアと交戦していた

ガイアは人型形態と獣形態への変形を駆使し、二人を翻弄していた

 

『あいつ、動きが早い!!』

 

『あの見た目……バクゥとやらを参考にしているのか!? こういう足場では、あっちの方が有利か!』

 

二人はそう言いながら、ビームを撃ち続けていた

しかし、ガイアの足が早く、中々当たらなかった

そして、ラウラの考察は正解だった

ガイアはバクゥとラゴウの運用データを参考にしており、不整地での運用に比重を置いた機体だった

まさに、今のような足場ではガイアの方が有利だった

ガイア

大地の神の名前が与えられたガンダムは、ザフト軍が開発した新世代機の一機だった

そしてガイアは、格闘戦能力も高く開発された機体だ

不整地での機動性の高さと格闘戦能力の高さで、二人を翻弄していた

地の利は、ガイアにあった

だが、任された以上は二人は諦めるつもりはなかった

ラウラは軍人として

簪は、裏に関わる家系の出として

 

『この戦争を……』

 

『終わらせる!』

 

二人はそう言うと、ガイアに突撃したのだった


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