ISGジェネレーション   作:京勇樹

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歴史の立会人

休暇も終わり、外に出ていたメンバーはエウクレイデスに帰還

次の作戦地域

ユーラシア大陸統括支部、キルギスに向かった

そのキルギスでは、亡国機業の激しい抵抗が予想された

しかし、最早引けない

その段階は、とうに過ぎ去ったのだから

今回の作戦は、HALO(ヘイロー)

断じて、ハロではない(本音が読んだ)

しかも、普通のHALOではない

なんと、艦ごと行うHALOだった

そのためにエウクレイデスは、成層圏まで上昇

そして、降下を開始した

今回、先陣を切るのはヴァルキリー隊

二番手をアサルト隊

三番手にトライアド隊

最後に、リトル隊が降下する

そこに合わせて、一斉に榴散弾ミサイルを発射

対地制圧した後、一気に制圧するというものだった

余りにも、大胆不敵な策

下手したら、エウクレイデスを失いかねない

しかし、有効そうな手段だった

それを立案したのは、カムナだった

経験豊富なカムナらしい策だった

大胆にして緻密

知将と呼ばれたカムナらしかった

 

『さて、大胆なフリーフォールの始まりだ……楽しもうぜ』

 

『そんなこと出来るの、あんたら位よ』

 

一夏の言葉にそう答えたのは、鈴だった

確かに、そんな余裕はないだろう

そして

 

『降下開始!』

 

エウクレイデスは、一気に降下開始した

格納庫内の機体に乗っていた彼女達は、逆Gによる不快感を耐えてタイミングを待った

その時、艦が大きく揺れた

 

『艦長』

 

『安心しろ、敵の対空砲火だ。直撃は無し』

 

ニキの短い問い掛けに、カムナはそう答えた

歴戦の猛者だからこその、冷静な会話だった

なぜ冷静なのか

そもそも、簡単に当たるようなヘマはしていない

降りる時にECMを起動し、更にダミーバルーンを展開

そして、IRジャマーを起動させている

三重の対策

そしてなにより、熟練の操舵手(リヒティ)による回避しながらの降下

それにより、当たらないでいた

そして

 

『予定高度に到達! 各隊、降下開始!』

 

と指示が下された

その指示に従い、ヴァルキリー隊が降下を開始

続いて、アサルト隊

そして、トライアド隊が出た

すると彼女達が見たのは、凄まじい密度の弾幕だった

その密度に、体がすくむ

だが

 

『固まるな! 固まると死ぬぞ!』

 

と一夏機が、弾幕を張っていた機銃の一基を潰した

その直後、凄まじい数のミサイルがエウクレイデスから発射された

そのミサイル群は、まるで流星群のように地に向かった

そして、ある一定の高度に達したタイミングで中から数えるのがバカらしい程の子弾が解放された

それらが地面に次々と着弾し、火の華が連鎖的に咲いた

そして散華すれば、そこはまさに焼け野はらだった

その焼け野はらに、次々と着地

しかし、予想外に敵の反撃は無かった

 

『なに? さっきのミサイルで、展開してたMSも全滅?』

 

『そう……なのか?』

 

と彼女達が言ったが、直哉達は

 

『ニキさん』

 

『ええ……嫌な予感がしますね』

 

と短く会話していた

その直後だった

以前と同じように、数ヶ所で爆発が起きた

その爆発が起きた爆発から現れたのは、異形と呼べる機体だった

長い両腕に、少し短い両足

その機体を、直哉達はよく知っていた

 

『バイアラン!?』

 

それは、グリプス戦役後期に開発された機体だ

バイアランはグリプス戦役時に、変型しないで単独で大気圏内を飛行するために開発された

グリプス戦役時は、開発期間が短かったのも重なりたった数機しか製造されなかった

 

『散開! 地表滑走(サーフェイシング)!』

 

ニキの指示の直後、直哉達を含めた古参はスラスターを噴かして地表を滑走

散開した

それに僅かに遅れて、彼女達も動いた

そこに、バイアランが襲撃してきた

 

『あの動きは……』

 

『普通のパイロットじゃない!』

 

『あれだけじゃない……来るぞ!』

 

直哉の言葉の直後に、ニキがそう声を上げた

その直後、新たな機体が現れた

黄色の装甲に、鈍重そうな見た目の機体だった

その機体を見て、イーリスが

 

『はっ! なんだ、こいつ! デブい機体だな!』

 

と言って、殴り掛かった

だがその機体は、鈍重そうな見た目とは裏腹に機敏に機動

イーリス機の一撃を、容易く回避した

そして、腰部前面装甲内部から隠し腕が現れて、ビームサーベルを振るった

その一撃を、イーリスはなんとか回避した

 

『こいつ!?』

 

『下がってください! そいつは、エースだ!』

 

そう言ったのは、マリアだった

そして、その敵機に後退した直後居た場所にビームが走った

そして、その敵機

ジ・Oに直哉機が切り込んだ

その一撃は、隠し腕が振るったビームサーベルで弾かれた

そして、直哉は

 

『貴様も居たのか……シロッコ!!』

 

とその名を告げた

すると、ジ・Oのパイロット

パプテマス・シロッコが

 

『彼が作りだす世界を、見てみたくなったのさ……歴史の立会人としてな』

 

と語ったのだった


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