ISGジェネレーション   作:京勇樹

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制圧戦

エウクレイデスが到着して約三十分後、ロスアラモスに展開していたMS部隊は沈黙

直哉達はナターシャとイーリスの二人と共に、最重要施設に突入した

 

「侵入者だ!」

 

「止めろ!」

 

と言って、中に居た兵士達が展開し足止めしてきた

だが

 

「邪魔だ!」

 

「どけ!!」

 

直哉達の敵にならなかった

直哉達は確かにパイロットだが、スピリッツは少数精鋭部隊

全員が陸戦を可能としている

その練度は、特殊部隊に匹敵する

実際、迎撃に出てきた兵士の悉くが無力化か撃破されている

そして、倒した相手から武器を借りつつも直哉達は目標地たる司令部を目指した

すると、弾が

 

「これ、本当に司令部に向かえてるんだよな?」

 

と飛び出してきた一人の兵士を壁に叩き付けてから、言った

すると直哉が

 

「間違いないだろう……迎撃が少しずつ激しくなってるしな」

 

と言った

その直後、進路先の壁が吹き飛んで一機のISが姿を現した

ISというには、余りにもゴツい機体だった

そのISは通路の中央に来ると、全身と両手に保持している火器を構えた

その瞬間、五人は一斉に左右の曲がり角に隠れた

それと同時に、激しい銃火が放たれた

 

『なんだありゃ!?』

 

『配備した奴は正気かしら? あれは、拠点迎撃用IS、アヴェンジャーよ!』

 

弾が言ったのに被せるように、ナターシャがそう言った

すると、全員の視界にそのデータが表示された

拠点迎撃用IS、アヴェンジャー

コンセプトは、見た通りに重装甲と重火力である

装甲の堅さは、ミサイルの直撃にも耐えるほど

そしてその総火力は、単機で中隊規模を相手に出来る程とされている

 

『弾切れを期待したいが……』

 

『それは期待しない方がいいぜ。あいつは確か、量子空間内に弾薬精製ファクトリーが有るらしいからな』

 

一夏の呟きに、イーリスがそう言った

確かに、そうでなければずっと撃ち続ける訳がない

すると直哉が

 

『一夏、弾……』

 

『久々に展開だな』

 

『使用制限は、ミサイルとグレネード。後は、大口径ビーム砲か』

 

三人はそう言った

その直後に、IS化していた方の機体を展開

突撃した

三人が突撃したのに気付いた相手は、火線を集中させた

しかし、先頭の一夏はビットを使ったGNフィールドも展開していた

只の実弾で貫通される程、GNフィールドは脆くない

三人は肉薄して、すれ違い様にビームサーベルで次々と切り裂いた

しかし、仮にも重装甲を誇るアヴェンジャーだ

一撃では終わらなかった

そしてそれは、三人も重々承知していた

三人はすぐに反転

再び、ビームサーベルを振るった

そして三人は、壁や天井を蹴って強引に軌道を変更

次々と、ビームサーベルを振るった

それは、デブリベルトで編み出した連携

スカーレット・ジェイル

紅の檻

ビームサーベルの残光がまるで、紅い檻のように成るから名付けられた連携だった

そして約十数秒後、アヴェンジャーは機能を停止

パイロットだった女性は、倒れた

それを確認した三人は、機体を解除して

 

「御二人共、進みますよ」

 

と隠れて見ていた二人を呼んだ

そして、一連の光景を見ていた二人はぽつりと

 

「よく、無事だったな……」

 

「彼等が、一流だからよ」

 

と呟いた

その後五人は、仕掛けや迎撃を全て突破

そして、最奥

司令部に到着した

五人は、司令部のドアに仕掛けが無いのを確認した後に渕をなぞる用に爆弾を仕掛けた

そして、ある程度離れると

 

「点火」

 

と起爆した

その直後、重厚なドアは爆発で壊れて倒れた

そして、三人はゆっくりドア付近まで近づいて道中の兵士から奪った小銃の先にヘルメットを引っ掻けてドアの端から見えるように出した

その直後、激しく銃撃がされてヘルメットは吹き飛んだ

 

「やっぱり居たか」

 

「最低で、分隊か」

 

「面倒だから、使うか」

 

三人はそう言うと、腰に下げていた缶のような物を外した

そして、ピンを抜いてレバーを外した

そうして

 

「1」

 

「2の」

 

「3!」

 

とカウントを合わせて、投げ入れた

その直後、中から激しい光と音が響き渡った

 

「フラッシュグレネードね」

 

「随分と、手慣れてるこった」

 

ナターシャとイーリスがそう言っている間に、三人は中に突入

中に居た兵士を悉く無力化したのだった

そうして、突入開始して約一時間でロスアラモスの司令部を掌握した

 

「さて……話してくれるんなら、一番楽なんだがな……ま、無理か」

 

そう言った一夏の前には、椅子に両手両足を縛られた一人の男が居た

このロスアラモスの責任者

ロッカート・ケイテッドだ

そして、一夏の両手にはナックルダスターと一体化した刃渡り30cmに届くだろうコンバットナイフがあった

そのナックルダスター部分には、夥しい傷跡が刻まれている

使い込まれている証だ

一夏はそれを、両手で器用に回している

その時だった

一人の両手が拘束されていた兵士が、一夏目掛けて走り出した

体当たりするつもりだろう

しかし一夏は、それを跳躍して回避

そして、一閃

その兵士の首を、切った

 

「言っておくが、抵抗したら殺す……」

 

と低い声で言ったのは、入り口付近の壁に背中を預けていた直哉だった

その直哉の右手には、コンバットショットガンが握られている

もちろん、相手から奪った物だ

直哉はそれを、くるりと回して装弾

ロッカートに向けた

 

「それに、貴様のことは調べがついてる……亡国機業欧米統括支部責任者……本名、グラン・ザルツ」

 

直哉がその名前を呼ぶと、ロッカート

否、グランは目を見開いて

 

「な!?」

 

と驚愕の声を上げた

そして、直哉が告げた名前と役職を聞いた兵士達がざわめいた

それを、一瞥して

 

「弾」

 

と弾を呼んだ

すると弾は、その兵士達の中から数人引き摺り出した

それを、見て一夏が

 

「えっと……技術仕官のロイド・ロナルドに通信士のカナリア・シャオズ……それに、副責任者のトト・カリア……全員、亡国機業のスパイか」

 

と言った

すると、その三人は身を強張らせた

それを見て、直哉は

 

「傭兵と侮るな……俺達には、独自の情報網がある……貴様らのことも調べがついてる……さあ、吐いてもらおうか」

 

とグランに突き付けていたショットガンの引き金に、指を掛けた


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