ISGジェネレーション   作:京勇樹

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新たな依頼と

帰投して翌日、スピリッツはオーブ軍基地のある一角に居た

呼ばれた理由は、回収した機体に関する情報と吸い出した情報に関してだった

機体に関する情報は、彼女達が基地に入るためのIDカード作製の間に聞いた

 

「アシュタロンとヴァサーゴのパイロットとされていたのは、国籍不明の約12歳程の子供二名でした……子供達は四肢を切断され、機体と神経が接続されていました……更に頭蓋が開かれ……戦術AIと接続されていました……」

 

とジュリが説明した

それを聞いて、全員が怒りを露にした

その為に、何人を犠牲にしたのかと

すると、彼女達が入ってきた

どうやら、IDカード作製が終わったらしい

すると、それを確認したジュリは

 

「では、あの二機から得た情報を教えます……あの二機は間違いなく、テロ組織……亡国機業が関与しているようです……幾つか、今まで回収した部品と共通する点がありました」

 

と説明を開始した

そして、続けて

 

「次に、出撃に使ったのはどうやら空母のようです」

 

と言った

どうやら、相手も空母を有してるようだ

 

「機体のカメラ映像の復元ですが、その空母と思われます」

 

ジュリはそう言うと、モニターにその映像を表示させた

映ったのは、どうやら端っこらしい

赤い装甲が見える

その僅かに見えた艦影を見て、マークが

 

「ちっ……やってくれる……同型艦とはな」

 

と舌打ちした

それは、直哉達もすぐに分かった

正しく、アークエンジェルと同型だった

恐らく、駆動炉は違うだろう

 

「今現在、人工衛星を用いて航路の割り出しを行っています」

 

ジュリがそう言うと、モニターは消えた

すると、壇上にカオルとウズミが姿を現した

それを見て、スピリッツは全員、一斉に敬礼した

すると、ウズミは

 

「楽にしてくれて構わんよ」

 

と言った

それを聞いて、スピリッツは一斉に敬礼を止めて楽な姿勢を取った

それを見て、ウズミは全員を見回して

 

「今回の諸君の奮闘により、国民の犠牲は皆無だ……感謝する」

 

と言って、軽く頭を下げた

すると、代表としてゼノンが

 

「自分達に出来ることをしたまでです」

 

と言った

すると、ウズミが

 

「さて、本題に入ろう……」

 

と言った

それを聞いて、スピリッツは真剣な表情を浮かべた

 

「今現在、連合側とは停戦に至っている。しかし、長くはないと予想している……余程、オーブが邪魔らしい」

 

ウズミはそう言って、その会議室から外を見た

そして

 

「次の侵攻規模は、今回より上がってくるだろう……そこでスピリッツには再度依頼したい」

 

と言った

それを聞いて、マークは

 

「その依頼内容は?」

 

と問い掛けた

すると、ウズミが

 

「再度侵攻してきた場合の、連合の撃退。並びに、オーブ軍パイロット達への教導になる」

 

と告げた

それを聞いたマークは、ゼノンと視線を合わせた

そしてゼノンが頷くと

 

「その依頼、確かに引き受けました」

 

と言った

それを聞いたウズミは、満足そうに頷いて

 

「ありがとう。依頼を引き受けてくれた礼に、宿はこちらで手配しよう……では、詳しくはカオルから話してくれ」

 

と言って、その部屋から出た

するとカオルは、マークに近寄り

 

「まず依頼の確認より先に、一つ確認したい。そちらから、機体を一機提供してもらえないか?」

 

と問い掛けた

それを聞いて、マークが眉をひそめると

 

「実は一人……GNドライヴの機体が欲しいと言ってきたんだ」

 

とカオルが言った

すると直哉が

 

「エーカー三佐か」

 

と断定し、カオルは頷いて肯定した

すると、ラナロウが

 

「なるほどな。奴さんレベルなら、ムラサメでも不満に感じるか」

 

と言った

オーブ軍にて制式採用されている、可変式MS

ムラサメ

はっきり言って、量産型機体の中ではかなりの性能を有する機体である

しかし、ジェネレーションワールドでもスーパーエースと呼べるグラハムにとっては、物足りなかったのだ

 

「気持ちは分かるがな……俺たちは傭兵であって武器商人ではないのだが……」

 

「ああ、重々承知している」

 

カオルがそう言うと、マークが唸ってから

 

「そもそも、一機だけ性能が掛け離れていたら運用に大きく影響が出るだろ。整備にしても、連携も」

 

と指摘した

すると、カオルは頷いてから指を立てて

 

「だから、代替案……彼等を、スピリッツに入れてほしい」

 

と言った

その直後、新たに三人入ってきた

一人は、予想通りにグラハム

二人目は、グラハムの副官になったナターシャ

そして、予想外の三人目

イーリスだった

 

「いいのか、カオル? エーカー三佐はオーブのエースの一人だろ?」

 

直哉がそう問い掛けると、カオルは頷いて

 

「悔しい話だが、今のオーブの技術を以てしてもエーカー三佐の要求するレベルの機体を開発出来ないんだ……」

 

と言った

オーブの技術力は、この世界では頭一つ飛び抜けている

その技術力でも、グラハムの要求する機体は開発出来ないらしい

 

「だからこそ、教導を依頼したい。今でなくとも、将来のエースを確保するために」

 

カオルはそう言うと、深々と頭を下げた

それを見て、マークが唸っていると

 

「分かった。受け入れる方向で行こう」

 

とゼノンが言った

 

「ゼノン、いいのか?」

 

「彼程のエースの腕を殺すのは、惜しい……だったら、彼等を受け入れる方向で調整し、オーブ軍パイロット達に教導を施して、将来のエースを確保した方が建設的だろうて」

 

マークの問い掛けに、ゼノンはそう言った

そして、カオルの肩に手を置いて

 

「その歳で、一軍の将……そちらの気苦労を察する……我々に出来ることは、全てやろう」

 

と言った

今のカオルは、オーブ軍の軍服姿だった

そして襟にある階級章が示すのはオーブ軍の総大将だった

それに気付いたらしい

カオルは、ゼノンの言葉を聞いて

 

「感謝します」

 

と告げた

この後、三人のスピリッツ入りが正式に決定

スピリッツは、オーブ軍パイロットへの教導をすることにした


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