ISGジェネレーション   作:京勇樹

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残酷な真実

オーブ軍の迎撃により、連合は大打撃を受けて撤退

その後、一部オーブ軍はスピリッツの援護をしようと向かった

しかし見たのは、遥か格上の戦いだった

事実、不用意に近づいたアストレイの小隊が流れ弾を受けて大破した

 

『これが、同じMSの戦闘だと言うのか……』

 

『動きが、違い過ぎる……』

 

スピリッツとリボンズ達の戦闘を見て、オーブ軍パイロット達はそう呟いた

すると、グラハム機が着地して

 

『ボーっとするな! 負傷したパイロットを回収したのなら、後退しろ!』

 

と忠告した

その直後、一発のビームが一機のアストレイに迫った

しかしそのビームは、黄金のMS

アカツキが弾いた

すると、そのアカツキのパイロット

カオルが

 

『お前達は後退し、市街地に被害が出てないか確認しろ!』

 

と指示を出した

それを聞いて、オーブ軍は後退を開始

市街地に向かった

そして、戦闘は

 

『TRANSーAM!』

 

とリボンズや一部がTRANSーAMを発動し、激化

それは最早、カオルやアサギ達にも手出し出来ない領域になった

そして、リボンズ達に呼応するように

 

『TRANSーAM!』

 

とスピリッツ側もTRANSーAMを起動

高機動戦闘に入った

戦域を数機が赤い残像を伴って移動し、交差する度に激しく火花が散る

それほどの戦闘、グラハムは

 

『やはり、GNドライヴ機が欲しいな……』

 

と呟いた

彼もTRANSーAMの性能は、よく知っている

知っているからこそ、歯痒かった

同じGNドライヴと機体ならば、援護出来たのにと

すると、ナターシャが

 

『そんなに違うのですか、あの機能は』

 

とグラハムに問い掛けた

すると、グラハムは

 

『あの機能は、TRANSーAMという……一時的にだが、機体の性能を三倍近くまで引き上げる機能だ』

 

と説明した

 

『そんなにですか!?』

 

『だがその分、パイロットに要求される技能や負担も高い……ムラサメも良い機体なのだがな』

 

グラハムの話を聞いてナターシャは、TRANSーAMを起動して戦っている一同を見た

一夏機は率先してリボンズ機と交戦し、直哉と弾は積極的に援護している

その時、ガデッサの砲撃が一夏機を貫いた

 

『あぁっ!?』

 

それを見たナターシャは、思わず悲鳴染みた声を上げた

しかし

 

『大丈夫だ』

 

とグラハムが言った直後、一夏機がサラサラと消えた

 

『あれは!?』

 

『あの機体のTRANSーAM発動時の奥の手……量子化だ』

 

グラハムが言った数秒後、リボンズ機の背後に一夏機が出現

剣を振り下ろした

が、リボンズも反応

流石に二度目だからか、振り向いてビームサーベルを抜刀し防いだ

しかし、一夏はそれを予測していたように左手でリボンズ機の腕を掴み、投げた

それを狙い、直哉機と弾機がビームライフルを構えた

しかし次の瞬間、エンプラスが機首のビーム砲を発射

二機はギリギリで回避したが、絶好の機会を失った

その間に、リボンズ機は距離を取り

 

『やはり、簡単には決着は付かないみたいだね』

 

とオープンチャンネルで言った

それを聞いて、マークが

 

『そのようだな……しかし、そちらはエネルギーはギリギリじゃないのかな?』

 

と問い掛けた

リボンズ機やガデッサに搭載されている、疑似GNドライヴはオリジナルと違い有限式である

一度TRANSーAMを使えば、粒子残量が心許ないはずである

 

『まあ、まだ持つけれど……ここは退かせてもらうよ』

 

リボンズはそう言うと、後退しようとした

スピリッツとしては、討てる時に討ちたいのが本音だ

だから、全機は一斉に構えた

しかし次の瞬間、リボンズ機が腰部装甲内からハンドグレネードのような物を投擲した

それを確認したスピリッツは、一斉に防御態勢に移行した

そしてそれは炸裂したのだが、ただのハンドグレネードではなかった

それは、EMPグレネードだった

勿論、MSにはEMP対策が施されている

グレネードサイズでは機能停止はしないが、センサー類に一時影響が出た

センサーが回復した時、リボンズ達は居なくなっていた

どうやら、逃げられたようだ

 

『マザー』

 

『ダメです。ロストしました』

 

ラナロウが呼び掛けると、ミラ・ルナがそう言った

それを聞いたマークは

 

『奴等とは、長くなりそうだな……』

 

と呟くと、砂浜に頭部を向けた

砂浜には、アシュタロンとヴァサーゴが中破レベルで倒れていた

どうやら、勝ったらしい

 

『あの機体から、何らかの情報を得られればいいが』

 

マークはそう言うと、砂浜に機体を着地させた

それに続くように、空中戦をしていた機体は次々と着地

そして、ラナロウと直哉がそれぞれ胸部に取り付いた

コクピットハッチを開けて、中を確認するためだ

 

「開けるぞ、マーク」

 

『こちらは、大丈夫だ』

 

「いいか、お前ら」

 

『オーライ』

 

『何時でも』

 

ラナロウと直哉が問い掛けると、それぞれそう答えた

それを聞いた二人は、コクピットハッチを強制解放させて中に拳銃を向けた

そして、すぐに下ろした

 

「……野郎……」

 

「道理で、遠慮なく置いていった筈だ……」

 

二人はそう言うと、下ろした拳銃を構えて発砲した

そして

 

「シャルロット達や先生達は見るな」

 

と告げた

そして、調度正面に布陣していたエリスは見た

中には、数多のコードに繋がれた約1m程のカプセルがあった

それは、《子供なら四肢を切断すれば入るサイズ》だ

そして、コクピット内には血溜まりが出来ていた

 

『……オーブ軍に連絡して、回収してもらおう』

 

マークはそう言うと、シャルロット達を優先して帰投させた

そして、直哉は小さく

 

「済まない……恨むなら、俺を恨んでくれて構わない……」

 

と言うと、機体に乗った

こうして、第二次(ある意味第四次)オーブ攻防戦は終結

連合とオーブの間で、停戦協定が結ばれたのだった


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