ISGジェネレーション   作:京勇樹

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スピリッツがリボンズ達と交戦していた時、態勢を立て直した連合軍はスピリッツが布陣している地域を迂回

オーブ軍本部を目指していた

彼等の認識は、スピリッツだけが要注意という認識だった

確かに、オーブ軍のMSパイロット達は熟練度は総じて低い

しかしそれは

 

『全軍……撃てぇ!』

 

優秀な指揮官が居れば、覆される

カヲルの号令の直後、ビームやミサイルが雨霰と放たれた

放たれた弾幕は、飛行MS隊や港湾を進んでいた連合軍MS隊に次々と直撃

物言わぬ鉄屑に変えていく

 

『射線を被らせるな! データリンクでターゲットが重複してないか確認しろ!』

 

『了解!』

 

カヲルの指示を聞いて、オーブ軍は従った

その指示により、連合軍はただただ被害を増やしていた

しかしその時、一機の飛行MS

ヘリオンが、ディフェンスロッドでミサイルを防御

損傷を負いながらも、突撃してきた

そして、脚部武装プラットフォームからミサイルを発射

その殆どが迎撃されたが、一発が迎撃をすり抜けて一機のアストレイ二型に直撃した

撃破されたことに意識が向いたのか、数機が射撃を停止した

そしてそれは、致命的な隙になった

連合軍も弾幕に隙間が出来たのに気付き、そこを集中して進撃

オーブ軍も弾幕を集中させたが、遂に接近を許した

だが

 

『マユラ、ジュリ!』

 

『了解!』

 

小隊長たるアサギの指示に従い、ジュリ機とマユラ機が動いた

格闘戦闘が得意なマユラ機が前に出て、機動格闘戦闘を開始した

両手にビームサーベルを持ち、斬っては刺しを繰り返す

そしてジュリ機は、そんなマユラ機をカバーしていた

マユラ機から離れた位置に居る敵を優先的に攻撃し、マユラ機が被弾する確率を下げた

すると、アサギが

 

『あんたら、ボーっとしない! 撃ちなさい!』

 

と他のオーブ軍機に檄を飛ばした

すると、一機のパイロットが

 

『しかし、下手に撃てばラバッツ二尉に当たります!』

 

と言った

しかし、アサギが

 

『味方の攻撃に当たるほど、マユラは鈍くないわよ!』

 

と言って、ビームライフルを発射

マユラ機を背後から切ろうとしていた、ティエレンを撃破した

しかも今のは、マユラがビームを避けたのだ

すると、マユラが

 

『そういうことだから、撃ちなさい!』

 

と言って新たに、ジンを切った

それを見て、他のオーブ軍機も攻撃を再開した

そして上空では、あるムラサメが率いる部隊が上空を進んでくるディンやグゥルに乗ったジン、シグー

更に、空挺降下に使うらしい大型輸送機を撃破していた

その中隊を率いるのは、グラハム・エーカー三佐だった

グラハムはムラサメを戦闘機形態で突撃しながら、ビームライフルや尾翼ビーム砲を発射

それでディンやシグーを吹き飛ばし、一気にジン機の下方に飛んだ

そして、MS形態に変形と同時にビームサーベルを抜刀し

 

『人呼んで……グラハム・スペシャル!!』

 

とジンを一撃で切り捨てた

なお、グラハム機は通常機と違い、スラスターのリミッターが緩和されている

それにより、掛かる最大Gは14になる

そしてグラハム・スペシャルというのは、機体が空中分解寸前になるほどの機動を指す

グラハムがジンを撃破した直後、他のムラサメが大型輸送機に向けて一斉にミサイルやビームを発射

撃破した

それを確認したグラハムは

 

『ファイルス二尉とダルク三尉、アラベル三尉は付いてこい。他は小隊単位で散開し、遊撃!』

 

と指示を出した

それに従い、中隊のうち三機がグラハム機の後ろに着き

、他の部隊は散開した

すると、二番機

ナターシャ・ファイルスが

 

『三佐……本当に良かったんですか? 私を副官にして』

 

とグラハムに問い掛けた

そして続けて

 

『私が女性権利主義者だと、思わないのですか?』

 

と問い掛けた

すると、グラハムは

 

『君から感じたのは、純粋に空への憧れだった……私は、これを運命の出会いだと感じた……同志のな……同じ空に憧れを持つ者としてな……乙女座の私は、運命を感じずにはいられなかった』

 

と答えた

すると、ナターシャは

 

『……ありがとうございます』

 

と感謝の言葉を告げた

そしてグラハムは

 

『これより我々は、スピリッツの援護に向かう! 遅れるな!』

 

と言うと、激しく銃火が交わる地域に向かった

そしてナターシャは、オーブ軍と一線を画する次元の戦闘を見た

至近距離で放たれたビームを、マークは機体をロールさせて回避しビームサーベルを一閃

しかしその一撃は、ヤークトアルケーの爪先から出力されたビームサーベルにより防がれた

次の瞬間、ヤークトアルケーの腰部から小型の自律兵装

GNファングが射出された

それの動きは早く、視認するのがやっとだった

しかしそれを、エリスは乱数回避で全て回避

両手にビームライフルを保持すると、メガビーム砲と合わせて発射した

しかしそれを、ヤークトアルケーは機体を複雑に動かして回避

バスターソードを肉薄してきたクロスボーンガンダム・フルクロスに振り下ろした

それをラナロウは、機体を捻って回避

ムラマサブラスターを突き出した

だがその一撃を、ヤークトアルケーは倒立の要領で回避

それはまさしく、エース同士の戦いだった

それを見たナターシャは

 

『次元が……違う』

 

と絶句した

すると、グラハムが

 

『あれは、介入出来んな……機体性能が違い過ぎる』

 

と言った

その直後、一発のビームが二人とは別のムラサメの主翼に命中した

 

『MS形態になり、離脱しろ!』

 

とグラハムが怒鳴るように言うと、その機体は少ししてからMS形態になり離れた

グラハムはそれを見送り

 

『少年達の援護も出来んとは……!』

 

と歯痒そうに呟いた

そして、この戦闘は佳境を迎える


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