ISGジェネレーション   作:京勇樹

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脱出後

海中に潜行して、数分後

直哉機は、一夏機と弾機に支えられて艦底部の緊急回収用ハッチからエウクレイデスに収容された

そして、MSハンガーに運び込まれると

 

「離れて~。胸部装甲を強制解放させるから~」

 

と本音が言って、コンパネを操作した

その数秒後、インジェクションボルトが炸裂し、胸部装甲が外れた

被弾の影響で胸部装甲に歪みが発生

その影響で、ハッチが開かなくなっていたのだ

それを本音は、一目見ただけで察した

そして、艦側からの強制権限により胸部装甲を強制解放させたのである

そして、シャッターが中から蹴り壊されて

 

「まあ、この程度で済んで御の字か」

 

と言いながら、直哉が出てきた

しかし、左目上に傷があり出血していた

それを見て、彼女達が息を呑んでいると

 

「大丈夫だ。頭や額の怪我は、派手に出血しやすい。少し切れただけだ」

 

直哉はそう言いながら、ワイヤーガンでゆっくりと降りた

そして、本音に顔を向けて

 

「ごめんな、のほほんさん。機体を頼む」

 

と言った

すると、本音は

 

「お任せだよ~! なおなおは、早く治療してきな~」

 

と言った

それを聞いて直哉は、ハンガーから出て医務室に向かった

そして医務室に着いたのだが、医務室は

 

「赤い札の人が優先です!」

 

「慌てないでください! 全員治療しますので!」

 

避難者達で混雑していた

それを見た直哉は、深々と溜め息を吐いた

すると、ベルベット・ヘルが来て

 

「貴方は……避難者じゃないわね?」

 

と直哉に問い掛けた

その問い掛けに、直哉は

 

「ああ。MSパイロットだ……先程帰投したところでな」

 

と返答した

すると、先に帰投していた真耶とヴィシュヌの二人が来て

 

「神埼くん!」

 

「頭から、血が!」

 

と慌てていた

それを直哉は、片手を上げて

 

「大丈夫だから、落ち着いて。コクピット内部で起きた小規模爆発で、破片が飛んできて、少し切れただけだ」

 

と説明した

しかし、今の直哉は顔の左半分が血で真っ赤である

見た目的に、大変アレである

だからか、二人は

 

「治療します!」

 

「すいません! 少し退いてください!」

 

と直哉の手を引いて、中に入っていった

すると直哉は、溜め息混じりに

 

「いや、俺は最低限止血してくれれば、後回しで構わないんだが……」

 

と言ったが、二人は無視して直哉を医務室に入れた

すると、楯無が

 

「あら、直哉君じゃない」

 

と言いながら、手を振った

どうやら、楯無が治療している一人らしい

 

「いや、俺は後回しで良かったんだがな」

 

直哉がそう言うと、楯無は

 

「その見た目じゃあ、避難者達が驚くから無理ねえ」

 

と言いながら、直哉の診察を始めた

 

「傷は……額左側の裂傷のみね……はい、ちょっと痛むわよ」

 

「む」

 

一言直哉に言ってから、楯無はテキパキと直哉の傷を治療した

そして、数分後

 

「はい、これでよし」

 

と包帯をピンで止めた

すると、直哉が

 

「少し大げさじゃないか?」

 

と楯無に問い掛けた

すると、楯無は

 

「仕方ないでしょ? 予想より、傷口が広かったんだから」

 

と返した

そして、パソコンを操作していると

 

「貴方程の実力者が被弾するなんて……相手は相当だったってことね」

 

と呟いた

すると、直哉が

 

「リボンズ・アルマークと、その部下たるイノベイド二名……まあ、ウルトラエース級だな。この程度で済んで御の字だ」

 

と言った

それを聞いて、楯無は

 

「……怖くないの? 死ぬことが」

 

と問い掛けた

その問い掛けに直哉は

 

「それは怖いですよ」

 

と告げた

その答えが意外だったのか、楯無はキョトンとしていた

すると直哉は

 

「怖いですが、俺達の戦い如何によって、人々の命が決まる……だったら、怖くても戦いますよ。それは、俺だけでなく、一夏や弾も一緒です」

 

と言った

そして、立ち上がり

 

「だから俺達は、戦場に立ちます……傭兵として」

 

と言って、そこから出た

それを見送った楯無は

 

「……私も、決めないとね」

 

と呟いた

そして、直哉が廊下に出て歩いていると、左手首に巻いていた小型通信機が鳴ったので出た

 

「はい、神埼です」

 

『今、大丈夫か?』

 

相手はカムナだった

 

「はい、治療も終わりましたから。大丈夫です」

 

直哉がそう言うと、カムナは

 

『ではすまんが、第一会議室に来てくれ。VIP達が、感謝したいそうだ』

 

と言った

それを聞いて、直哉は

 

「わかりました。行きます」

 

と言って、会議室に向かった

そして、少しして

 

「入ります」

 

と直哉は、第一会議室に入った

そこにVIP側はエリザベスⅢ世、キャロライン、エト、そして一人の女性が居た

そしてスピリッツ側は、今来た直哉の他に、艦長のカムナ、CP長のエレン、メカニックチーフのケイが居た

すると、カムナが

 

「皆さん、彼がトライアド中隊隊長の神埼直哉です」

 

と直哉を紹介した

すると直哉は、敬礼しながら

 

「初めまして。自分がトライアド中隊隊長の神埼直哉です」

 

と名乗った

すると、まずエリザベスⅢ世が

 

「怪我しているようですが、大丈夫ですか?」

 

と直哉に問い掛けた

その問い掛けに直哉は

 

「は、問題ありません。お気遣い感謝します」

 

と返答した

すると、エトが

 

「君の腕前は、娘から聞いている……その君ですら、被弾するのか……」

 

と驚いていた

すると直哉は

 

「相手は格上のウルトラエース級でしたので。むしろ、この程度で済んで御の字です」

 

と返答した

そして、キャロラインが

 

「他の方々は、どうしたのかしら?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、直哉は

 

「他の者達は、機体の整備に立ち会っているか休憩しています。自分は負傷していたので、医務室に行って、ハンガーに戻る途中でした」

 

と答えた

それは嘘ではない

機体の修理に掛かる時間を聞くためだ

すると、最後の女性

日焼けした肌に、短く切り揃えられた金髪が特徴の女性が

 

「お前さん、確かIS学園の生徒だった筈だよな? やけに軍人みたいだな」

 

と言った

それを聞いて、直哉は

 

「貴女は?」

 

とその女性に問い掛けた

すると、その女性は

 

「アタシはアメリカ代表のイーリス・コーリングだ」

 

と自己紹介した

それを聞いて、直哉が首を傾げながら

 

「アメリカ代表が、なぜEUに?」

 

と問い掛けた

すると、イーリスは

 

「上の連中にナタルのことを問い質したら、EUのアメリカ大使館駐在武官ってことで異動させられた」

 

と告げた

すると直哉は

 

(アメリカで、ナタル? 彼女じゃないとしたら、もしかして)

 

と考えてから、イーリスに視線を向けた

 

「もしかして、ナターシャ・ファイルスさんですか?」

 

直哉の告げた名前を聞いて、イーリスは直哉に詰め寄り

 

「ナタルを知ってるのか!?」

 

と問い掛けた

すると直哉は

 

「彼女ならば今、オーブに居ます」

 

と教えた

 

「オーブ? なんでオーブに?」

 

イーリスが首を傾げると、直哉はイーリスに彼女に起きたことを教えた

すると、イーリスは舌打ちし

 

「あのヘルメットが原因かっ! 本国の技研の連中、次に会ったらぶん殴ってやる!」

 

と憤りを露にした

それを聞いた直哉は

 

「今何をしているのかは、詳細には分かりません。ですが、オーブに到着したら問い合わせてみましょう」

 

と言った

それを聞いて、イーリスは

 

「ああ、頼んだ」

 

と言った

それを聞いて直哉は、カムナの隣に立った

そして、代表してか女王が近寄り

 

「この度は、急な依頼を引き受けてくださり、感謝します」

 

と感謝の言葉を告げた

そして続けて

 

「貴方方でなければ、我々は助からなかったでしょう」

 

と言った

確かに、リボンズ達が来たことを考えると、スピリッツが行かなければ、全滅していただろう

すると、カムナが

 

「間に合って良かった。最短ルートを選んだ甲斐がありました」

 

と告げた

そして続けて

 

「今、本艦隊はこのように大きく迂回するルートを選び、オーブに向かっています。到着には、数日を要します」

 

とモニターに表示されたルートを説明した

そして、女王を見ながら

 

「その間、皆様には窮屈な思いをしてもらうことになりますが、ご了承ください」

 

と言って、頭を下げた

すると、女王は

 

「構いません。急な依頼を出したのは、こちらですから」

 

と了承するように、頷いた

それを聞いたカムナは、頷いてから

 

「中隊長、皆様の案内を」

 

と直哉に指示した

それを聞いて直哉は

 

「了解しました……皆様、こちらです」

 

と案内を始めた

そしてスピリッツは、オーブに向かう


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