ISGジェネレーション   作:京勇樹

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一夏たちの機体は改造機です


考察と再会

千冬達が一夏達を見つけて、数十分後

 

「どうだ、山田君。何かわかったか?」

 

と千冬は、機器を操作している真耶に問い掛けた

 

なお、彼女たちが居るのはIS学園の地下深くにある機密ブロックであり、そこに入れるのはごくわずかである

 

「駄目ですね……セキュリティーが硬くて、名前以外は……」

 

真耶はそう言いながら、首を振った

 

なお、彼女が操作している機器には、三つのアクセサリーのような物が嵌まっている

 

一番左に嵌まっているのは、青い炎を彷彿させるペンダント

 

真ん中に、二本の剣が交差しているペンダント

 

右には赤い翼をかたどった、ペンダント

 

千冬の問い掛けに、真耶は左のを指差して

 

「まずこれが、ガンダムデルタカイ・EX」

 

次に真ん中を示し

 

「これが、ダブルオーライザー・セブンスソード」

 

最後に赤い翼のを指差し

 

「最後にフレイム・フリーダムガンダムです」

 

真耶が言った名前を聞いて、千冬は眉をひそめた

 

「ガンダム? それは、昔に放映していたアニメだろ?」

 

千冬の言葉に、真耶は頷いた

 

「はい。私も弟が見ていた記憶があります。ですが、実際に名前はその通りです」

 

真耶がそう言うと、千冬は数秒間黙考して

 

「あいつらに直接聞いたほうが早いな……」

 

と呟いた

 

その頃、場所は変わって保健室

 

「おい、いい加減に起きろ」

 

直哉はそう言いながら、いびきをかきながら寝ている一夏を蹴った

 

蹴られた一夏は、ゆっくりと起き上がると直哉を見て

 

「おう、おはよう……」

 

と寝ぼけた様子で、片手を上げた

 

「よし、寝ぼけてるのはよくわかった……歯ぁ食いしばれ」

 

直哉はそう言うと、右手を一夏の頭目掛けて振り下ろした

 

「んで、起きたか?」

 

「おう……」

 

直哉からの問い掛けに、一夏は頭を抑えながら頷いた

 

「さて、弾よ……なにかわかったことは?」

 

直哉が問い掛けると、窓際に立っていた弾が

 

「ああ、ここはどこかの学校の保健室みたいだな……」

 

弾は窓際に立って、外を眺めながら言った

 

「やっぱりか……人の気配がかなり多いからな……で、一夏。そろそろ気づいたかな?」

 

弾の言葉に直哉は頷くと、視線を一夏に向けた

 

「ああ……ようやく気づいた……この纏わりつくような重力……」

 

一夏の言葉に直哉は頷き

 

「そんじゃま、答え合わせといきますか?」

 

と言うと、一夏と弾は頷いた

 

そして、三人でせーのと音頭を取ると

 

「「「地球」」」

 

と言った

 

「まあ、地球なのは良しとしよう」

 

「でもよ、俺達はいつ地球に降りた?」

 

「機体が無事なら、オートパイロットで母艦に帰投するよな……」

 

直哉、一夏、弾の順に議論していると、ドアが開いた

 

「起きたのか、お前達」

 

そう言って入ってきたのは、千冬と真耶だった

 

「あ、千冬姉」

 

「お久しぶりです」

 

「どうもー」

 

千冬の姿を見た三人は、三者三様の挨拶をした

 

その数秒後、揃って首を傾げた

 

「え……千冬姉?」

 

「だよな……」

 

「ってことは……」

 

三人はそこで顔を見合わせると

 

「「「戻ってこれたー!!」」」

 

と言って、歓喜の声を上げた

 

しかし、それも仕方ないだろう

 

二年間もの間、焦がれに焦がれた故郷に帰ってこれたのだから

 

そんな三人の様子に、真耶はポカンとして、千冬は

 

「おい」

 

と声を掛けるが、三人は気づかずに喜びあっている

 

「おい……おい!」

 

千冬が続けて声を掛けるが、三人はまったく気づかない

 

すると、千冬のコメカミに青筋が浮かんで

 

ズバーン×3

 

千冬の出席簿攻撃(ここでは、私がルールだ)が炸裂した

 

「話を聞け……いいな?」

 

「「「イエス・マム」」」

 

千冬の言葉に三人は一糸乱れずに、敬礼しながら返事した

 

「まず、お前達はこの二年間どこに居た? 色々な機関がお前達を探したが、見つからなかった」

 

千冬からの問い掛けを聞いて、三人は顔を見合わせると

 

「話すことには話すけど……」

 

「信じられるかはなぁ……」

 

「まあ、突拍子もないけど……」

 

三人はそう言うと、同時に

 

「俺達、異世界に居ました」

 

と告げた

 

「異世界……だと?」

 

三人の言葉を聞いて、千冬は片眉を上げた

 

「そ、通称ジェネレーションワールド」

 

「地球に限りなく似てるけど、全然違う世界」

 

「人型機動兵器を使って、戦争が起き続けた世界……俺達はその世界で二年間、戦い続けました」

 

弾、一夏、直哉の順で言うと、千冬と真耶は固まった

 

「つまり、お前達は……」

 

「戦場に立ってたということですか……?」

 

二人が問い掛けると、三人は無言で頷いた

 

「なにを考えてる! 自ら死地に赴くなど!?」

 

「なんで、安全な場所に居なかったんですか……?」

 

千冬は怒鳴るように、真耶は驚きながら問い掛けた

 

「他人事とは思えなかったんだ……」

 

「なに?」

 

一夏の呟くような言葉に、千冬は眉をひそめた

 

「確かに、この日本は基本的に平和だよ……」

 

「けど、今も世界のどこかでは争いが起きてる」

 

「その事実から、目を背けてはいけないと思ったんです……」

 

三人が立て続けに言うと、千冬と真耶は黙った

 

なぜならば、三人の目に強い意志が宿った光を見たからだ

 

それだけ、三人が本気と悟ったのだ

 

そして、数秒間沈黙が続くと直哉が手を叩いて

 

「そういえば、ここはどこですか?」

 

と問い掛けた

 

「ここはIS学園だ」

 

直哉からの問い掛けに千冬が答えると、三人は驚きで固まった

 

「IS学園って、あのIS学園?」

 

一夏が問い掛けると、千冬は頷いて

 

「ああ、インフィニット・ストラトスを学ぶための学園だ」

 

と言った

 

「なんでそんな所に……」

 

弾が唸っていると、直哉は首を傾げながら

 

「俺達が乗ってたガンダムはどこですか?」

 

と問い掛けた

 

直哉の問い掛けを聞いて、一夏と弾が

 

「あ、そういえばそうだ」

 

「どこに格納したんですか? あんなに大きな機体を」

 

と問い掛けた

 

すると、千冬は真耶に視線を向けた

 

その視線を受けて、真耶は三人に近づいて持っていたケースを開いた

 

その中にあったのは、先刻まで二人が調べていたあの三個のペンダントだった

 

真耶は、中を三人に見えやすいようにしながら

 

「これらに、見覚えはありますか?」

 

と問い掛けた

 

それらを見た瞬間、三人は直感的に察した

 

それらが、自分達が乗っていたガンダムだと

 

そして、三人は迷うことなく、直哉は青い炎のを、一夏は剣が交差したのを、弾は赤い翼のペンダントを取った

 

「迷わなかったな」

 

千冬が問い掛けると、三人は頷いて

 

「自分の愛機を間違える奴なんて居ない」

 

と断言した

 

その発言を受けて、千冬が

 

「念のために、それを使えるのかを調べる。付いて来い」

 

と言ってから、歩き出した

 

「付いて来てください」

 

真耶に呼ばれて、三人は歩き出した

 

こうして、この世界に帰還して初めて、三人は機体を動かすことになる


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