ISGジェネレーション   作:京勇樹

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現るは

敵大隊が後退していったのを確認したトライアド中隊は、避難民の収容を手伝おうと後退していた

その時だった

 

『02、03!』

 

『ああ、この重圧(プレッシャー)は……』

 

『来るぞ!!』

 

と直哉達が言った

そして

 

『04、高度下げろ!!』

 

『つっ!』

 

直哉の忠告を受けて、セシリアは海面ギリギリまで機体を下げた

その直後、先程までセシリア機が居た高度を、一発の粒子ビームが走った

 

『粒子ビーム!?』

 

『まさか、GNーXタイプ!?』

 

『09! 指揮を預ける! 部隊を後退させて、避難民の収容に向かえ!』

 

『了解! この相手は……まさか!?』

 

『詮索する前に、行け!!』

 

直哉はそう言って、一夏機と弾機と共に反転

その敵機を視認した

 

『サーシェス!』

 

『さあ、楽しもうぜ! 戦争をよぉ!』

 

ヤークトアルケー

アリー・アル・サーシェスだった

 

『ヤークトアルケーだが、微妙に機影に誤差あり……改修されてるか!』

 

『対Gリミッター、解除! 仕掛けるぞ!』

 

直哉の指示を受けて、一夏機と弾機はリミッターを解除

サーシェスに突撃した

その直後

 

『逝っちまいなぁ! ファングゥ!!』

 

『乱数回避!!』

 

そこは、一瞬にして激戦の様相を呈した

計16基のファングが空を縦横無尽に走り、直哉達に対して攻撃を仕掛ける

それを直哉達は、複雑な機動をもってして回避

ファングの破壊とサーシェスに攻撃を仕掛けた

しかし、サーシェスはそんな簡単に撃破出来る相手ではない

直哉達の攻撃を容易く回避し、両手下部に追加されたGNビームガンを連射した

もちろん、直哉達はそれを回避

反撃に転じた

 

『散開、立体機動挟撃(クロスシザース)!!』

 

直哉の指示の直後、一夏機と弾機は左右に展開

直哉は、上に向かった

その布陣は、以前に福音に対してやったのとは違った

一夏機と弾機は、ライフルを連射した後にサーベルとソードを展開

突撃した

その間に、彼女達はIS学園にまで後退

着地した

 

『トライアド9から、フェニックス1!』

 

『大丈夫だ、把握している。しかし、予想以上に怪我人が多い……』

 

ラウラがマークをコールすると、マークは冷静にそう言った

確かに、体育館や地下シェルターから続々と怪我人が運ばれてきていた

その時

 

「ブリュンヒルデ! なぜ、こいつらを呼んだ!?」

 

と一人の女性が千冬に近づいた

負傷しているらしく、頭には包帯が巻かれている

すると千冬は

 

「先に言った筈だ。私には、生徒を守る義務がある。そのために、最善を選んだだけだ」

 

と淡々と告げた

すると、その女性は

 

「だが奴等は、我々の敵だ!」

 

と声を上げた

その直後

 

「そうやって、無駄に戦った結果があれだ!! 貴様らに煽動され、戦場に出た結果、あいつらはあんな重傷を負ったんだ!!」

 

と千冬は、運び出されている怪我人達を指差した

確かに、千冬が戦いたくないと言った生徒達は守っていた

しかし中には、女性権利主義者達に煽動されて戦場に投入された代表候補生達も居た

女性権利主義者達は、その中で専用機を持たなかった者達にIS学園に配備されていた機体を与えて前面に出させていた

弾除けとしてである

その結果、重傷者が大多数出て地下シェルターや体育館に収容されていた

死者が出てないだけ幸いだが、中には片腕があらぬ方向に曲がってしまっていたり、頭の半分を包帯で覆っている代表候補生も居た

千冬は、女性権利主義者達が生徒達を無理矢理投入する前にスピリッツを呼んだのである

 

「し、しかし……」

 

「しかしも何もあるか! 死にたいなら、貴様達だけで死ね! この学園を墓石代わりにくれてやる! それで満足しろ!」

 

千冬はそう言って、その女性権利主義者を突き飛ばした

その時

 

「貴様ら、それ以上動くなぁ!」

 

と怒鳴り声が聞こえた

視線を向けると、ISを纏った一人の女性権利主義者がライフルを展開

一人の少女

蘭に向けていた

 

「それ以上動いてみろ! こいつの頭を」

 

とそこまで言った時だった

 

「はぁっ!」

 

「せいっ!!」

 

と声が聞こえて、二人の少女がその女性権利主義者のライフルを破壊し、吹き飛ばした

その隙に、別のISを纏った代表候補生が蘭を確保

後退した

そして、その赤い髪の代表候補生は

 

「貴女、耳塞いでて」

 

と蘭に言った

その言葉に従い、蘭は耳を塞いだ

それを確認したのか、その代表候補生は

 

「発射」

 

と端的に告げて、ミサイルを次々と発射

その女性権利主義者の纏っていたラファール・リヴァイヴは機能を停止した

すると、マークが

 

『すまんな、君達。手間が省けた』

 

と感謝の言葉を告げた

すると、その代表候補生達

ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー

凰乱音

そして、ベルベット・ヘルが

 

『構いませんよ』

 

『あいつら、気にくわなかったしね』

 

『それに、やってることも気に入らなかったから』

 

と言った

すると、一連を見ていたからか不安そうな表情をする人々が居て、避難行動が遅くなった

そこに

 

『皆、不安がらないで!』

 

『今は、避難をしてください!』

 

と双子の代表候補生

ファニールとオニールのコメット姉妹が言って、歌い出した

彼女達は祖国でも双子のアイドルとして活動していて、有名だった

そんな彼女達の歌を聞いて、避難民達は避難行動を再開

二隻に乗り込んでいった

すると、先に二隻に上がっていた本音と虚

楯無達が

 

「入っても、立ち止まらないでね~」

 

「奥に向かってください!」

 

「元気な方で力のある方は、怪我人の補助をお願いします!!」

 

と誘導していた

その時

 

「おーい、この三機も搬入してもらっていい?」

 

と束が、移動ラボのアームで三機のISを持ってきた

それは、白式、火孅

そして、灰色の塗装と緑色のラインが入った機体

龍閃だった

すると千冬が

 

「束、お前も来ていたのか」

 

「そだよー! 束さん用の機体が間に合わなかったから、せめて手伝いにってね」

 

と言った

そして、束は

 

「あ、そうそう。地下区画から、これも持ってきたよ」

 

と桜色の塗装のISを出した

それが、嘗て千冬が使っていたIS

暮桜だった

暮桜を見て、千冬が

 

「石化から、復帰したのか!?」

 

と驚いていた

暮桜は千冬が引退した時、原因不明の石化現象が起きてISとして使えなくなった

しかし、ISの機能のシールドは展開出来たので、学園の防御シールドとして利用していたのである

千冬の言葉を聞いて、束が

 

「まあねえ。前々から、プログラム組んでたから。その一つがヒットしたよ」

 

と言った

そして束は

 

「言っておくけど、これでこの学園のシールドは無くなったからねー!」

 

とマーク機に言った

それを聞いて、マークは

 

『了解した……避難状況は?』

 

と問い掛けた

すると、協力していた別の代表候補生

クーリェ・ルククシェフカとロランツィーネ・ローランディフィルネィが

 

『い、今……約八割!』

 

『やはり、怪我人の搬入が遅れているね。ISで運んだ方が早そうだ!』

 

と言った

すると、マークは

 

『分かった。トライアド隊、機体の優先操縦権を俺達に回して、ISを展開。手伝ってやれ』

 

と彼女達に指示を出した

その時

 

『マザー1より、スピリッツ各員に通達! 北西の方角から、新たに2機接近……これは……プロヴィデンスとガラッゾ!!』

 

と報告が入った

その方向は、今直哉達が交戦している空域である

いくら直哉達とはいえ、サーシェスだけでなく更にウルトラエース二人は厳しいだろう

すると、マークが

 

『ジェミニ、リトル、行け!』

 

と指示を出した

 

『了解!』

 

『行っくよー!』

 

マークの指示を聞いて、四機は飛翔

直哉達の援護に向かった

避難は、まだ続く


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