ISGジェネレーション   作:京勇樹

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開戦

専用機持ち達が全員甲板に集まると、壇上に上がっていた今回の国連軍前線指揮官

アメリカ軍IS部隊指揮官、エイナ・マッケンジー中佐が

 

「我々はこれより、テロ支援国たるオーブに出撃し、世界の敵。オーブ首脳陣を撃滅。オーブを正しい姿に解放する! 諸君はその偉業を成した戦士として、歴史に名を残すだろう! 諸君の奮闘に期待する!!」

 

と演説をした

その姿は、自分が正しいと信じて疑わない者だった

しかし、何人かは

 

「自分で調べてもいないくせに……」

 

「こんな戦い……何の意味があるのよ」

 

と呟いた

どうやら、違和感を覚えている者も多少居るらしい

しかし、専用機持ちというのは国に属している

上からの命令に逆らえる訳がなく、嫌々ながらに参加しているのだ

そして、エイナは上に着ていた軍服を脱ぎ捨てて

 

「総員、IS展開!」

 

と命令した

その命令に従い、全専用機持ち達は機体を展開した

それを確認してから、エイナはIS用リニアカタパルトに進み

 

『出撃!!』

 

と告げて、いの一番に出撃

その後に続いて、エイナの部下達が次々と出撃した

エイナと部下達三名が使っている機体は、アメリカ製第三世代機

蜘蛛の恐怖(アラクネ・フォビア)である

これは、アメリカ製第二世代機のアラクネを発展強化させた機体である

以前と違うのは、第二世代時ではあった専用脚部ユニットを排除

その代わりに、脚部を大型化しスラスターを内蔵

そして、背部の装甲脚を発展強化させた

具体的には、装甲脚を数を増やし、中にスラスターを内蔵して機動性を向上

更に、以前はマシンガンとカタール限定だったが、多種多様な武装を装備出来るようにした

それにより、汎用性と全面的な性能の強化に成功

アメリカの発表によれば、世界でも最高峰の第三世代機だとのこと

今現在は試験運用中らしく、四機のみらしい

その後に続いて、ドイツ軍が出撃

機体は、ラウラ達黒兎隊から剥奪した黒き雨(シュヴァルツェア・レーゲン)黒き枝(シュヴァルツェア・ツバイク)

そして、簡易生産型の黒き風(シュヴァルツェア・ゲイル)である

それを運用するは、新生黒き兎隊

隊長のヴィラルタ・フリードリヒ大尉

副隊長のリーゼロッテ・ヴェルトール中尉

そして、アイネリーゼ・ハインリッヒ曹長となっている

そして、ロシア

ロシアはIS学園生徒会長にして更識家当主

更識楯無が出撃していった

その後に、召集された世界各国の専用機持ち達が出撃していった

なお後方には、代表候補生が集められている

流石に、学生達を最前衛に配置は控えたらしい

その時だった

 

『こちらは、オーブ国防軍……通達する……貴官等は領海ならびに領空に近づいてきている。直ちに転進せよ、繰り返す、直ちに転進せよ。さもなければ、迎撃する』

 

と女性の声で通達されて、接近する機影が見えた

それは、リバースデルタ翼機

ムラサメだった

その数は四機

ただし、その内三機は色が塗られている

それぞれ、黒

白、黒、赤

そして、白地に青いラインが入ったカラーリングだった

それを見て、エイナが

 

『ふん。今さら、そんな戦闘機ごときでどうにかなると思っているのか』

 

と侮蔑した様子で呟いた

そして、部下達に

 

『構わん。まず最初に、あいつらを血祭りにしてやれ!』

 

と号令を下し、領空に浸入した

その直後

 

『警告はしたぞ』

 

と楯無は、聞き覚えのある声を聞いた

そして、楯無が声を上げようとした

その時、エイナの部下の一人が装甲脚にミサイルランチャーを展開

発射させた

普通だったら、勝つことは不可能だった

だが、そこに居るのは不可能を可能にする技量を持つパイロットと普通の戦闘機ではない

ムラサメは普通の戦闘機ではない

次の瞬間、真下に降下

海面スレスレまで降下した直後に、今度は一気に上昇

ミサイルはムラサメに追いつかず、海面に激突

爆発した

しかしそれよりも、驚きの光景が展開していたIS部隊全員の視界に入った

見た目戦闘機だったムラサメが、一瞬にして人型に可変した

20mに迫る巨人に変わったのだ

驚くな

というほうが無理だろう

実際、大半の専用機持ち達が固まった

こうして、この世界に於いて初めて、MSが姿を晒した


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